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NOV/2014

パート社員から始めて正社員へ、というもう一つの選択肢

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パート社員から始めて正社員へ、というもう一つの選択肢

専業主婦→パート社員→正社員というキャリアプラン

アベノミクスの一環で配偶者控除の縮小、または撤廃が検討されています。妻が配偶者控除を受けている世帯では「これから自分たちの生活はどうなるんだろう?」と不安に思う気持ちが募っているのではないでしょうか。

そんな中、妻が家計を助けるためにパート社員として働き始める、というのは多くの人が考える一つの選択肢でしょう。また、例えば子供が幼稚園や小学校に入るまでは子育てに専念し、高校受験が終わるまではパート社員として働き、一番教育にお金がかかる高校・大学進学時にはしっかり正社員として働いて稼ぎたい、というライフプランも考えられると思います。ただ、一度退職して専業主婦になってしまうと、なかなかこんな希望通りにはいかないと思ってしまう方も多いかもしれません。

パートタイム労働法で開かれている門戸

実は平成20年度から施行されたパートタイム労働法が、このような希望をもつ女性の後押しをしています。この法律はパートタイム社員(有期雇用社員)と正社員(無期雇用社員)の同一労働同一賃金などを謳っていますが、実情とあまりにかけ離れているためか、その多くが「努力義務」にとどまっています。しかし、会社が絶対に実施しなければいけない「義務」もいくつかあるのです。

その一つが、会社が正社員雇用をするときに、まず既に働いているパート社員に応募するチャンスを与えなさい、という条文です(改正法第12条)。講じる措置の例としては、以下のようなものがあり、行っていないときちんと実施するように労働監督署から指導を受けますし、パート社員が労働監督署に相談することもできます。

・正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパート労働者に周知する。
・正社員のポストを社内公募する場合、既に雇っているパート労働者にも応募する機会を与える。
・パート労働者が正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。
(厚生労働省ホームページより引用)

例えば、パートとして働いている会社が毎年定期採用をしているなら、パート社員も応募できるのです。もちろん、応募したからといって必ず採用されるとは限りませんが、少なくともパート社員に門戸が開かれているということは知っておくべきだと思います。

少し前にユニクロを展開するファーストリテイリングがパート社員の正社員雇用を推進すると発表して話題になりましたが、そもそも正社員雇用をするときには現在雇用しているパート社員に正社員を希望するかどうか聞かなくてはいけない、という法律がずいぶん以前からあったのです。

さらに、来年4月からはパートタイム労働法が再度改正施行され、一定の条件のもと、パート社員に対し差別的な取扱いをしないよう義務づけられることになっています。

会社もパート社員を正社員にするメリットは大きい

ときどき「どうせ私はパートだから」という声を聞くこともありますが、パート社員だからという理由で自分を卑下する必要はまったくありません。私の経営する会社でもそうですが、世の中にはパート社員から始めて正社員や管理職になる女性もたくさんいるのです。

パート社員を正社員雇用するメリットは、会社側にもたくさんあります。パート社員のうちに仕事に必要なスキルをじゅうぶん身につけてもらえば、正社員になったときに即戦力になってもらえますので、社会のことを何も知らない新卒者や、会社の企業文化や仕事に慣れない転職者を一から教育するより大幅に時間も手間も省けるのです。また、パート社員のとりまとめや教育など、最初から正社員の人にはわかりにくいパート社員の心理や悩みをよく知っていることも強みだと思います。

キャリアには一貫性が大切

いっぽうパート社員から正社員をめざすに方々にいくつか注意してほしいことがあります。

一つは将来のことを考えて業種を選んでほしいということです。現在、サービス業は人手不足で賃上げ競争になっています。「一生サービス業で働きたい」という希望があれば別ですが、「とりあえず時給のよいサービス業でパート社員になって将来は事務職で正社員になりたい」という考えではなかなか実現は難しいと思います。というのは、サービス業に求められるスキルと事務職に求められるスキルは違うからです。

(逆に、常に人で不足に悩む業種にターゲットを絞るという戦略はあります。シンガポールでも飲食業界は万年人手が足りないのですが、72歳になる夫の叔母は長年この業界で働いており、つい最近も転職をして条件のよい新しい仕事をゲットしました。)

もしも将来、事務職で正社員になりたい、というライフプランをもっているのでしたら、多少時給は低くても事務職に絞って仕事を探したほうが後々、その会社で正社員になるのも、別の会社に転職して正社員になるのも有利です。人事担当者は常にキャリアの一貫性を見ているのです。

また、ブランクはできるだけ少なく、転職回数もできるだけ少ないほうが人事担当者には喜ばれます。パート社員といっても多くの会社では正社員と同じかそれに準ずる仕事をしている方々がほとんどですので、しっかりとした経験があれば40代後半でもじゅうぶん正社員はめざせます。現在は定年が65歳ですので、例えば47歳で正社員になったとしても、18年間も働けるのです。これは新卒者が23歳で就職して41歳まで働くのと同じですから、どれだけ長いかわかると思います。

ライフスタイルと収入バランスを考えてキャリアプランを

ファイナンシャルプランナーの小屋洋一さんが、東洋経済ONLINEで「専業主婦は、『億ション』より贅沢だ」という記事を書いておられます。小屋さんの試算では、女性が30歳から60歳まで平均給与で働き続けた場合、無収入の専業主婦と比べて1億円以上の差がつくといいます。

しかし、例えば、35歳でパート社員として働き始めて10年働き(仮に年収130万円とします)、45歳で正社員になって60歳まで小屋さんのいう女性の平均給与の349万円で働いたとすれば合計で6,535万円になり、ずっと正社員として働き続けた人の2/3まで収入が近づきます。「子育てと仕事の両立に自信がない」と思っている方でも、この働き方ならそれほど無理をしなくてもできるかもしれないと思えるのではないでしょうか?

最近の国債発行高や円安の流れをみていると、少子高齢化の影響はもちろん、政治・経済の面からもさらに日本にとって厳しい時代が続くと予測せざるをえません。そんな中で女性の働き方に関する法律も刻々と変化していきますので、自分と家族の生活を守るためのライフプランを早目にたてて実践していくことが大切だと思います。

文/経営者・後藤百合子
※2014年11月に取材・執筆された記事を原文ママ転載しております。

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 後藤百合子さん

著者プロフィール
後藤百合子

早稲田大学卒業後、公益法人、マーケテイング会社を経て独立。マーケティングリサーチ、翻訳、広告制作・販促プランニング、書籍編集等を行う。1994年香港にわたり、日系商社に入社。営業・生産管理業務に従事。1998年後藤製紐株式会社入社。2000年代表取締役就任。同年中国工場を中国浙江省に設立。2009年東京営業所開設。2010年シンガポールに移住。2012年現地法人(Cordon Singapore Pte. Ltd.)設立、日本の若手デザイナーの製品をシンガポールを始め香港、マレーシアなどアジア市場に紹介・販売するディストリビュータ業を開始。

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