05
OCT/2015

入籍する・しないで違いはあるの?事実婚のお金のアレコレ

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社会保障の権利はあるけれど、独身とも既婚とも違うところがある?

形式にとらわれることなく、あえて婚姻届を出さない結婚の形の事実婚。一般的な結婚である法律婚に比較するとまだまだ件数は少ないものの、事実婚を選択するカップルも増えています。社会的な認知が進むにつれて、一部の法律でも一般的な結婚(以降、法律婚)同様な権利や義務がおかれています。

そのひとつが健康保険、厚生年金などの社会保障制度。戸籍上の婚姻関係にはない夫婦でも事実婚の関係にあれば、社会保険制度上は「配偶者」とみなされます。つまり、どちらか一方の年収が130万円未満かつ扶養者(被保険者)の収入の半分未満(同居の場合)などの条件を満たせば、もう一方の配偶者の健康保険の扶養に入れますし、厚生年金の被扶養者(国民年金の第3号被保険者)になる資格もあるのです。万が一、離婚した場合の年金分割だって、法律婚と同じく要件を満たせばOKです。

婚姻の意思がない同棲とは異なり、配偶者同様の権利があるのは事実婚の特権と言えるかもしれません。とはいえ、戸籍上で婚姻関係を把握することができない事実婚では、扶養に入るためのステップが法律婚よりも多くなってしまいます。まずは事実婚関係を証明し、認定を受けることから始まります。事実婚関係の認定がおりれば、その次が生計維持関係等の認定です。

事実婚関係の認定要件は2つ。「当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること」および「当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること」。

役所に婚姻届を出さない事実婚ですが、当事者の合意を第三者に認めてもらうためにはやはり何らかの公的証明が必要になりそう。夫婦間では住民票。夫(未届)、妻(未届)として住民票を届け出ましょう。また事実婚の夫婦の間にできた子供が父親の健康保険の扶養に入る場合は、父親の認知届が必要となるのです。

事実婚にキビシイ税制

配偶者同様の権利を認める社会保険に対し、税制は事実婚に甘くはありません。現在の日本の税制は、あくまでも法律婚主義。画一的な規定をして、徴税の便宜を図っているのです。

法律婚主義の考えにおいて、事実婚の二人は互いに配偶者にはあてはまらないという認識になります。

そうなると所得税上の「配偶者控除」は受けられません。しかし大抵の場合、事実婚を選択する男女は共に働き、経済的にも自立をしていることがうかがえます。国民生活白書(内閣府、平成17年)でも「夫婦別姓を通す」「戸籍制度に反対」「夫は仕事、妻は家事という役割分担を排除」が事実婚を選択する理由として大きな割合を占めています。

そもそも配偶者控除は、年間の給与収入が103万円(年間所得が38万円)以下の場合に受けられるもの。あえて事実婚を選択する夫婦なら、配偶者控除を必要としない人が多そうですね。

しかし、医療費控除を忘れないで。医療費控除は、自分以外に生計を一にする配偶者やその他親族のために支払った年間の医療費を合算して、一定の金額の所得控除を受けることができるというもの。実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補填される金額を差引き、さらに10万円を差引いた残りの金額が医療費控除の対象となります。ただし、その年の総所得金額が200万円未満の人は、10万円の部分を「総所得金額の5%の金額」に置き換えます。

つまり、医療費控除を受けるには、実際に支払った年間の医療費から保険金等で補填される額を引いた残りの金額が、10万円もしくは「総所得金額の5%」を超えることが必要だということ。世帯分をまとめれば対象となるけど、個人単位では対象とならない……なんて場合が多そうです。

生計を一にしても民法上の配偶者ではない事実婚は、税制では婚姻関係が認められず、このようなデメリットがあるのです。

法律婚と事実婚、お金の面での線引きをしよう

税制についてもう少し確認しましょう。法律婚と事実婚の線引きは、相続税や贈与税の部分で出て来ます。

相続税で言えば、事実婚の配偶者は法定相続人にはなりません。事実婚の配偶者に遺産を遺したい場合は遺言で遺贈することは可能ですが、事実婚の配偶者には「配偶者の税額の軽減」を利用できません。「配偶者の税額の軽減」とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、「1億6千万円」もしくは「配偶者の法定相続分相当額」の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度。余程の大資産でない限り、法律婚ならかからない相続税なのに、事実婚ではかかってしまうのです。

贈与税に関しては、「贈与税の配偶者控除」の特例を受けれません。この配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるというもの。将来配偶者が住居や家賃の支払いに困らないようにとの心遣いも、税金の面では認められません。

長年一緒に暮らし、一緒に財産を築いていく者同士でも、アレコレとお金の線引きがされている事実婚。それでも事実婚を選ぶなら、家庭内でもお金の線引きをしておく方が賢明でしょう。日常のお金の使い方や将来のための財産作りなど、しっかり2人で話し合いましょう。パートナーでありながら、おひとりさまの覚悟も大切です。

(@niftyわたしのマネー術編集部)
※2014年9月に取材・執筆された記事を原文ママ転載しております。

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