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SEP/2018

「自分らしさ」と向き合うと人生がどんどん良くなる――“女性が好き”本心を打ち明けて見つけた最良のパートナー【LGBTアクティビスト 増原裕子さん】

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自分にとって、最良のパートナーとは一体どんな人なのか?
言葉にしてはっきり説明できる人は少ないかもしれない。
高学歴で、高収入で、大企業勤めで……かつてはそんな人と結婚するのが良いとされた時代もあったけれど、そういう人が自分を幸せにしてくれるとは限らない。
結婚のカタチも、家族のカタチもますます多様化が進む中で、自分らしいパートナーシップのあり方とは何か模索中の人も多いのではないだろうか。

そんな中、LGBTアクティビストの増原裕子さんが築くパートナーシップは、私たちの目に眩しく映る。

増原裕子
株式会社トロワ・クルール
代表取締役
増原裕子さん

1977年、神奈川県横浜市生まれ。慶應大学大学院修士課程、慶應大学文学部卒業。ジュネーブ公館、会計事務所、IT会社勤務を経て起業。ダイバーシティ経営におけるLGBT施策推進支援を手掛ける。経営層、管理職、人事担当者、営業職、労働組合員等を対象としたLGBT研修の実績多数。著書に『ダイバーシティ経営とLGBT対応』など5冊がある

増原さんは、同性カップルとして初めて東京ディズニーシーで挙式を挙げ、渋谷区のパートナーシップ証明書を受理。2017年にパートナーシップ証明書を返還し、今年の5月には経済評論家の勝間和代さんとの交際を発表した。まだまだ同性カップルへの理解が十分とは言えない中で、なぜこんなにも自分の気持ちに正直に、堂々と自分らしいパートナーシップが築けるのだろう。かつては「男性との結婚も頭をよぎったことがある」と話す増原さんの話に耳を傾けてみよう。

「より良い人生を送れる人を増やしたい」という価値観が似ている

増原裕子 勝間和代
2018年5月に交際を発表した増原裕子さんと勝間和代さん。二人のSNSにはファンから祝福の声が相次いだ

勝間和代さんと最初に知り合ったのは2年半前くらい。その時に「そういえば勝間さんの本、いろいろ読んでたな」って思い出して。元々私は“カツマー”で、ファンだったんですよね。そこから勝間塾の中で交流するようになって、緊張しながらご飯会に行ったら実はおちゃめなことが分かったり。ギャップがいい感じだったんですよね。

前向きなパートナーシップを築いていくためには、相手へのリスペクトが不可欠。そのためには大きな価値観が一致していることが大切だと思っているのですが、勝間さんとは考え方が合理的なところや、「より良い人生を送れる人を増やしたい」という想いを持っているところが似ているんです。あとは健康への意識。彼女はすごい健康オタクなので、そういうところもいいなって。好きな人とは一緒に長生きしたいですしね。

増原裕子 勝間和代

勝間さん自身は昔から女性が好きだって気持ちはあったけれど、どうにもならないことだからと、これまでずっと気持ちに蓋をしていたそうです。だからLGBT関連のニュースや話題は無意識にシャットダウンして、スルーしていたみたい。勝間さんの友達にカミングアウトしているLGBT当事者はほとんどいなかったし、胸を張って生きている同性愛者がいるだなんて思ってもいなかったんですよね。そういう意味では、私と関わる中で思うことがいろいろあったのかもしれません。

お付き合いをオープンにしたら、友達からは「勝間さんのカミングアウトに驚いて、しかも相手があなたで二度びっくりした」という声がたくさん届きました(笑)。私の周りはLGBT当事者が多いですし、ネガティブな反響もありませんでしたが、勝間さんにとっては社会的なカミングアウトです。これまで内緒にしてきたわけですから、発表前はかなり不安に感じていた様子でした。

ところが蓋を開けてみたら、「勇気が出た」「ありがとう」といった前向きな反響が多かったんですよね。本人もこんなに好意的に受け止められたことに驚いたみたいです。「社会の変化を感じた」と言っていました。

自分の本当の気持ちに蓋をしている人は、
LGBT当事者に限らず大勢いる

「女ならこうあるべき」というような規範が強い社会の中で、自分の気持ちに蓋をしてでも、流れに沿っていた方が傷つかないし、楽。そうして自分の本当の気持ちを見失っている人は、LGBT当事者に限らず、たくさんいる気がします。日本の中で本当の意味で自分らしく生きられている人って、少ないんじゃないでしょうか。自分らしさを発揮できることって素敵なことだよね、という前提があまり共有されていないと感じます。

増原裕子

私は今でこそLGBTアクティビストとして活動しているけれど、実は20代までは悪あがきをしていたんですよ。女性が好きだけれど、とはいえ本当に好きになる男性が現れるんじゃないか。その人と結婚して子どもを産んだら楽になれるんじゃないかって。実際に20代半ばのころにお付き合いをしている男性がいて、「結婚してもいいかも」って一瞬ですけど、思ったこともあるんです。でもやっぱり、なんか違う。その人のことは好きだったし、申し訳なかったなと思うけれど、その道を選ばなくて本当によかった。

最近ロバート・キャンベルさんがカミングアウトをされましたが、セクシュアリティについて「生を貫く芯みたいなもの」と、素敵な表現をしていました。キャンベルさんはセクシュアリティを隠すことを「個々が社会との間に持つべき接点を希薄にさせ、文化にとっても、経済にとっても、未来に向かう大きな活力を削がせてしまうのはあまりにももったいないことではないでしょうか」と述べています。

話のつじつまを合わせるために嘘を重ねたり、口を滑らせないように黙っておこうと思ったりすると、気がつかないうちに周囲とのコミュニケーションがどんどん少なくなっていくんですよね。そうして本当の自分の気持ちを隠すために、感情を押し込めてしまう。自分らしさがクリエイティビティにつながっていくはずなのに、本当にもったいないことです。

感情は頭で考えている通りにはならない。自分の気持ちに素直に、自分らしさを解き放って


増原裕子 勝間和代
レズビアンであることを誰にも言えずに、自分らしさを封印していた時代が私にも12年間ぐらいあって。相当我慢をしていたし、どうせ分かってくれないって気持ちもあった。でも隠すことがなくなると強いというか、怖いものがなくなるんです。

ただこの感覚って、自分らしさを解き放った経験がなければ分からないんですよね。何を言っても本当の意味では伝わらない。考えれば考えるほど、もどかしさを感じます。どうしたら最初の一歩を踏み出せるんでしょうね。

私自身は、ある程度考えて、それでも答えが分からないなら、直感に従って思い切って飛び込むことも必要なのかなと思っています。その結果、失敗したらやり直せばいい。そのくらいの気持ちでいいと思うんです。失敗しなければ分からないことはたくさんあるし、私の人生は失敗だらけですよ(笑)。昨年にはパートナーシップ証明書を返還して、つまりは離婚しましたし。でも、結婚したから分かったことはたくさんあるんです。会社だって、どんなに事前に調べても実際に働いてみなければ分からないじゃないですか。何でもやってみなければ分からないことがあるんです。

だから、もし好きな人がいるのなら、自分の感情を大切にしてほしいなと思います。世の中で良しとされるタイプじゃなくてもいい。せっかく好きな人がいるのに、「反対されるかもしれないから」と周りの目を気にして、苦しむのはもったいないですよ。頭で考えている好きなタイプと実際に好きになる人が全然違うなんてよくあることだし、感情は頭で考えている通りにはならないもの。

私自身はあまり分からないんですけど、勝間さんとのデート写真をSNSに投稿すると、勝間さんの昔からの友達から「笑顔が優しくなった」ってコメントがつくんです。

そんなに怖いイメージがあったんだなって感じですけど(笑)、自分らしさを解き放ったことでポジティブな変化があったのかなと思います。そういう意味では、私や勝間さんが楽しんでいる姿を見せることで、何か伝わるものがあればいいですね。

取材・文/天野夏海 撮影/栗原千明(編集部)

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