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NOV/2018

日本人はまだ「サンドイッチの奥深さ」を知らない―“サンドイッチに恋した”フードスタイリストの挑戦

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市場の常識を変える!挑戦ヒストリー
イノベーター列伝

市場の常識を変えるような華々しいプロダクトやサービスが日々メディアに取り上げられる今日。その裏では、無数の挑戦や試行錯誤があったはずです。「イノベーター列伝」では、既存市場の競争軸を変える挑戦、新しい習慣を根付かせるような試み、新たなカテゴリの創出に取り組む「イノベーター」のストーリーに迫ります

今回お話を伺ったのは、日本サンドイッチ協会会長の唯根命美氏。留学先の英国でサンドイッチに魅了され、帰国後に同協会を設立。「ケーキイッチ」を世に送り出し、「グルマン世界料理本大賞2017」のサンドイッチ部門でグランプリを受賞するという偉業を成し遂げました。同氏のバイタリティの秘密に迫りました。

■プロフィール:唯根命美(memi) フードスタイリスト 東京生まれ。成城大学卒業後、渡英。ロンドン留学中に世界的に有名なシェフのテレビ料理番組の現場アシスタントとして働き、料理やスタイリングを学ぶ。料理の勉強や仕事を通して英国の伝統料理やさまざまなサンドイッチを作り、その奥深さを知る。帰国後、料理教室のアシスタントなどを経て独立。現在は、レシピ開発や、イベント、雑誌など多岐にわたって活動している
フードスタイリスト
唯根命美(memi)さん

東京生まれ。成城大学卒業後、渡英。ロンドン留学中に世界的に有名なシェフのテレビ料理番組の現場アシスタントとして働き、料理やスタイリングを学ぶ。料理の勉強や仕事を通して英国の伝統料理やさまざまなサンドイッチを作り、その奥深さを知る。帰国後、料理教室のアシスタントなどを経て独立。現在は、レシピ開発や、イベント、雑誌など多岐にわたって活動している

>>こちらの記事はBRAND PRESSより転載しております

留学先の英国で現地の食文化を堪能

子どものころからずっと料理は好きでしたが、それを仕事にしようとまでは思っていませんでした。大学を卒業して英国に留学したのですが、このときもまだ「自分が何をしたいのか」という具体的なイメージは持っていませんでした。

英国は欧州各国の人が集まるうえに、古いものと新しいものが共存した独特な文化が育まれており、とても刺激的でした。「英国は食べ物がおいしくない」とよく言われますが、わたしは友達と公園でフィッシュアンドチップスを食べたり、お気に入りのサンドイッチバー巡りをしたりと、ローカルな食文化に親しんでいました。

「このまま英国で暮らすのもいいな」と考えていたとき、「裸のシェフ(Naked Chef)」として知られている料理家、ジェイミー・オリヴァー氏が出演する料理番組でアシスタントをする機会がありました。同氏が生み出す料理はどれもすばらしく、食に対する意識や考え方、スタイリッシュに食文化を伝えていくオリヴァー氏の姿に大きな影響を受けました。

仕事には精一杯の情熱を注ぐという信念

唯根命美氏

帰国後も「自分が何をしたいのか」は、まだ具体的に見えていませんでした。食にかかわる仕事をしたいという気持ちはあったので、料理家のアシスタントをしたり、オリジナルの料理を自分のホームページに掲載したりしていたのですが、どこかしっくりこない。そんな状態でした。どこに進めばよいのかわからなくて、まったく料理に関係のない仕事に就いていた時期もありました。

そんな中、わたしのホームページを見た知人が声をかけてくれました。自然食品を扱う会社のWebサイトを若い女性向けにリニューアルする仕事を手伝ってほしいということでした。わたしは、オリヴァー氏のアシスタント経験を活かして、料理の盛り付けや装飾にこだわり、自分なりに精一杯取り組みました。

この仕事を皮切りにほかの企業からも依頼が来るようになり、少しずつフードスタイリストとして仕事をもらえるようになりました。当時からそうなんですが、わたしはフードスタイリングの仕事を受けると、家で必ず予行演習をしています。本番と同じものを実際に作って、自分で写真撮影も行います。どのような盛り付けや装飾がベストなのか、どの角度から撮影すると最もおいしそうに撮れるのかを確認しないと気が済まないんです。そこで練り上げて完成したものを現場で再現していくようにしています。

そのため、撮影のときは、カメラマンに「この角度から撮ってください」と細かく指示しています。口うるさいフードスタイリストだと思われているかもしれませんが、情熱を傾けるほど仕上がりは良くなると信じているので、決して手を抜かないようにしています。

大好きなサンドイッチを仕事にできないか

フリーのフードスタイリストとして仕事を続けていましたが、相変わらず、自分の軸足となるようなものがないことが不安でした。そんな中、たまたま留学時代の友達と会ったときに、「英国ではサンドイッチばかり食べてたよね」という話になり、だったらサンドイッチを仕事にできないか、サンドイッチの魅力をもっと日本に広められないかと思いつきました。

英国のサンドイッチはパンや具材も多種多様で、その組み合わせもさまざまです。パンに具を挟むというとてもシンプルな食べ物ですが、サンドイッチは非常に奥が深いのです。

そうして、日本サンドイッチ協会を設立しました。しかし、当然のことですが、立ち上げ時はまったく無名です。だれも興味を持ってくれません。だったら、まったく新しいメニューを考案しようということでたどり着いたのが「ケーキイッチ」でした。

北欧に「スモーガストルタ」という、誕生日やパーティのときにサンドイッチをケーキのようにデコレーションしておもてなしをするという家庭料理があります。わたしが留学中に開いたホームパーティで、スウェーデン人の友達が作ってきてくれたことがあったのを思い出して、そのレシピをヒントに「ケーキイッチ」をオリジナルで作りました。食事代わりになるものもあれば、デザートとして楽しめるものもあり、日ごろ食べ慣れているサンドイッチとは違ったおいしさが楽しめるのが魅力です。

「グルマン世界料理本大賞2017」グランプリの大偉業

反響はすぐにありました。日本サンドイッチ協会が運営する料理レッスンでケーキイッチ作りを始めて3カ月が経過したころ、「ケーキイッチのレシピ本を出版したい」というオファーが出版社から舞い込んできたのです。とてもうれしかったのですが、ケーキイッチは、まだレシピのバリエーションが数種類しかありませんでした。しかし、この絶好の機会を逃したくなかったので、新たに50種類のレシピを急ピッチで開発することにしました。

唯根命美氏

毎日、自宅で3種類くらいのレシピを試作していきました。完成品ではないので他人に配ることもできず、家族に試食してもらいました。その状態がしばらく続いたのですが、毎日、ケーキイッチを試食してくれた家族には、感謝の気持ちでいっぱいです。

こうして、2016年秋に『北欧生まれのおもてなしサンドイッチ ケーキイッチ』というレシピ本が完成しました。実は、この書籍が、料理本のアカデミー賞と呼ばれている「グルマン世界料理本大賞2017」のサンドイッチ部門でグランプリを受賞したんです。

がむしゃらに走りながら作った書籍が海外で評価されたことは、まったく予想外の出来事でした。その後、台湾や韓国で翻訳版が出版され、ケーキイッチのインストラクター講座にもわざわざ海外から参加する生徒も増えました。

食が豊かになると、人生も豊かになる

日本サンドイッチ協会として、ケーキイッチは一つの通過点に過ぎません。世界には国の数だけサンドイッチがあると言われているので、それらを日本に広め、食文化として根づかせていきたいです。日本でサンドイッチといえば、白くて柔らかい三角の食パンに具材を挟んだものがスタンダードですが、英国ではブラウンブレッド、バゲット、イタリアン・チャバタなどさまざまです。パンも具材も、もっといろんな種類を楽しんでほしい。食が豊かになると、人生も豊かになるはずです。

仕事も同じで、楽しく過ごすこと、日々を幸せに生きていくことが、新しいことを生み出す原動力になると思います。わたしは、家族をはじめ周囲の人々に助けられてここまできました。日本サンドイッチ協会も、たまたまわたしが会長として前面に出ていますが、大勢の方に支えられています。人とのつながりを大切に、家族や友達、仕事を通じて知り合った方々とともに、新たな食文化を作り、その楽しさを伝えていければと思っています。


ケーキイッチ
■概要:一般社団法人 日本サンドイッチ協会
所在地:東京都港区
設立:2015年6月
会長:唯根命美(会長)、日野西友子(理事長)
目的:世界のサンドイッチについての情報収集・学習を通して、食文化としてのサンドイッチの普及に寄与すること

>>こちらの記事はBRAND PRESSより転載しております

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