08
JAN/2020

ジェンダーギャップを無くすためにできることは? 日本とドイツの「子ども向け絵本」を見比べて学んだこと

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ドイツ人女性に学ぶ「豊かさ」のヒント
池原真佐子の日独ワークライフ通信

仕事と子育てを両立しながら日本とドイツの二拠点で生活を送る著者が、ドイツ人女性の働き方や生き方を見て感じたこと、学んだことをお届けしていきます。豊かな人生をつくるワークライフのヒントが見つかるかも!

池原真佐子

Woman type読者の皆さん、こんにちは。株式会社MANABICIA代表の池原真佐子です。私は現在、ドイツと東京を行き来しながら、仕事と育児の両立をしています。

連載8回目となる今回は、ドイツと日本の子ども向け絵本の違いから学んだことについて書いてみたいと思います。

「パイロット、外科医、消防士を描いてみて」
子どもたちが絵にしたのは“男性”ばかり

私は『Mentor For』という、女性のキャリア支援に特化したメンター育成と派遣事業を行なっていますが、ある会社の代表と話している時に、このようなビデオを教えてもらいました。

イギリスの学校で、先生が子どもたちに「パイロット」「外科医」「消防士」などの職業の人を描くように指示します。すると、子どもたちが描いたのはほとんど男性でした。

そして、実際にその職業に就いている人が教室に入ってくると、子どもたちはびっくりします。なぜなら、目の前に現われたのは皆、女性だったからです。

この動画の中では、「職業に関するジェンダーのステレオタイプ化は、子どもたちが5~7歳の間に起きる」と語られています。

そう考えると、子どもたちが日々接しているメディア(特に小さい頃から触れている絵本など)で、男性と女性がどういう風に描かれているかは、とても重要なことなのではないかと思います。

実際、私が日本で買ってくる子どもの絵本をドイツの絵本と見比べてみると、違和感を持つことが多々あります。

日本で買う絵本は、台所で料理していたり赤ちゃんのお世話をしているのはお母さん、お仕事をしているのがお父さん、という描かれ方がほとんどです。また、幼児向け雑誌でも、女の子がクッキーを焼く姿、男の子が戦隊モノで遊ぶ姿が典型的です(もちろん、例外もあります)。

一方、ドイツで買う絵本には、お父さんが赤ちゃんをお世話している様子が描かれていたり、女医さんが登場するものがあったり、ジェンダーステレオタイプに配慮したものが多くあります。

ドイツ
ドイツの保育園で絵本を読む息子

「日本の絵本におけるジェンダーステレオタイプの調査」によると、

・職業および活動の場に関しては、男女で著しい違いが認められた
・大人の男性の場合、仕事をしている様子が多く描かれていた
・男性が家庭内にいる場合、くつろいでいる描写だけで家事を行なっている様子を描くものは一切なかった
・反対に、女性の場合は家事をしている様子が描かれているものが大多数を占めていた
・女性は主婦として登場しているケースがほとんどだった
・仕事をしている女性の描写は少しあったが、パートタイムの描写にとどまっていた

ということが指摘されています。

このようなストーリーを小さい頃から無意識に目にすることは、些細なことのように見えても、社会全体のあり方や未来の教育を考えた時に、大きな影響になると感じます。

ドイツもまだまだ母親への固定観念は強いとは言いますが、それでも、日本ほどではありません。最新のジェンダーギャップを比較しても、日本は121位、ドイツは10位。数字を見ても明らかです。

日本が、ジェンダーギャップの壁を超えていくためには、このような「無意識の偏見の刷り込み」から自由になることが大切なのではないでしょうか。

ドイツの絵本に慣れている息子は、ママが仕事をすること、パパが赤ちゃんのお世話をするストーリーも、自然に受け入れています。

ドイツ

女性の地位向上には、このような「ちょっとしたこと」に意識を向けることから。
それをドイツの絵本を通じて学んだ気がします。


【この連載の寄稿者】
(株)MANABICIA 代表 
池原 真佐子(いけはら まさこ)さん

池原真佐子

福岡県出身、早稲田大学・大学院で成人教育を専攻。PR会社、NPOを経てコンサル会社で勤務。在職中にINSEADのパートタイムのコーチングと組織開発の修士(Executive Master in Consulting and Coaching for Change : 現EMC)を取得。同時に、エグゼクティブコーチング等の人材育成を手がける(株)MANABICIAを創業。その後妊娠するも、臨月でパートナーが欧州に転勤、東京でワンオペ育児開始。産後1年半が経ったころ、女性のキャリアに特化したメンターを養成するスクール運営、企業の働く女性へのメンターをマッチング事業を行う『Mentor For(「育キャリカレッジ」から名称変更 )』を新規事業として立ち上げる。2年半のワンオペ育児を経て現在はドイツと二拠点生活。2017年に英ユニリーバDOVEでNourishing SecretのCMに、日本を代表する新しい女性として出演。ワーママオブザイヤー2018受賞。「第5回女性起業チャレンジ制度」グランプリ(2019)。その他、日テレNews等のメディア出演も多数。著書『自信と望むキャリアを手に入れる 魅力の正体』(大和書房:日本と韓国で発売)

>>Mentof For

『日独ワークライフ通信』の過去記事一覧はこちら

>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/work/germanyをクリック

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