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NOV/2020

コロナ禍に高まる肥満率。生活習慣病の予防に効く、忙しい人のための運動習慣【産業医監修】

コロナ禍の不調

コロナ禍、うつなどの病につながる不調を訴える人が増えています。

前々回前回に引き続きお話を伺ったのは、産業医の矢島新子先生。矢島先生は、不調の理由の一つに「運動不足がある」と指摘します。

外出自粛やリモートワークに取り組む企業が増えたことで、肥満率も上昇傾向にあるとのこと。肥満は生活習慣病を招き、深刻な病につながることも。

では、どうすれば運動不足によるメンタル不調や、肥満予防ができるのでしょうか? 働く女性たちに向けて、アドバイスをもらいました。

ジム通いは無理にしなくていい。脳の運動スイッチをオンにしよう

コロナ禍の不調
編集部

運動不足は、肉体的な不調だけでなくメンタル不調も招くのでしょうか?

矢島先生

関連していますね。

例えば、コロナ前はジムに行って体を鍛えたり、外でスポーツをしていたのに、自粛期間を経てその習慣がなくなってしまった人たちがメンタル不調を訴えています。

生活習慣が変わって暮らしのリズムが崩れてしまったり、1日の消費エネルギーが減って夜になってもよく眠れなくなったり、こうしたことが引き金となってメンタル不調が悪化して……といった具合です。

編集部

日本国内の肥満率も高まっているそうですね。

矢島先生

そうなんです。

言わずもがな、肥満は体に良くありません。糖尿病などの生活習慣病につながりますし、生活習慣病がある人はがんの罹患率も高まるという調査結果も出ています。

編集部

心身の健康を維持するためには、やはり運動習慣を見直すことが大事ですね。

矢島先生

忙しい人は、無理にジムに通おうとしなくていいですよ。いきなり負荷が高いことをして継続せずにやめてしまうくらいなら、日常生活の中でできることをやった方がいい。

一番いいのは歩くこと。目安は1日1万歩。一般的に、都市部のオフィスに出社している人だと、1日6000歩くらいは歩いているそうですよ。

まずは皆さんがいつもどれくらい歩いているか、スマホのアプリなどでチェックしてみてください。

編集部

あくまで目安ではあるものの、1日4000~5000歩くらい意識的に増やすイメージですね。

矢島先生

いつもエレベーターやエスカレーターに乗っているところを階段にしてみるだけでもいいトレーニングになるかもしれません。

他にも、帰りに一駅だけ歩いてみる、ちょっと遠くのスーパーで買い物してみる…そんなことでいいと思います。

コロナ禍の不調
編集部

最初はちょっと辛そうですけど、やり始めたら習慣にしやすそうですね。

矢島先生

あと、ウォーキングでも階段の上り下りでも、何となくやるんじゃなくて、「よーし運動するぞ」って頭の中で唱えてから始めるといいですよ。

矢島先生

これに関しては、ハーバード大学の研究チームが面白い実験結果を発表しています。

ハウスキーパーの方を対象に行った実験なんですが、「あなたの仕事は運動になるんですよ、痩せますよ」と伝えたグループと、何も伝えなかったグループとでは、前者のグループにいた人たちの方が、肥満率が下がり、痩せたそうなんです。

仕事内容や食事内容は変えず、意識だけを変えたらこのような結果が出たと。

編集部

すごい、なぜそのような違いが出たのでしょう?

矢島先生

「これは運動だ」と脳が体に指令を送ることで、全身の筋肉をちゃんと使うようになるからだと思います。意識が筋肉に働きかけるんです。

通勤で駅へ向かうとき、買い物しているとき、掃除をしているとき……「よーし運動するぞ」って頭の中で言ってみてください。やっていることは同じなのに、消費カロリーが変わります。

編集部

それならすぐにできそうです!

矢島先生

でしょう? そして、こうやって日々の暮らしの中に運動を取り入れていくと、基礎代謝が上がっていきます。

基礎代謝が上がれば太りにくくなりますし、コレステロールの低下、糖尿病予防などにも効果が出ます。年齢、男女関係なく、ぜひ意識してみてください。

座り過ぎに要注意。1時間に1回は立ちましょう

コロナ禍の不調
編集部

その他にも、健康維持のために働く女性が意識すべきことはありますか?

矢島先生

セデンタリー・ライフスタイル・シンドロームに気をつけてほしいです。

編集部

セデンタリー・ライフスタイル・シンドローム?

矢島先生

要は、「座りっぱなし」のワークスタイル、ライフスタイルを続けることで、あらゆる病気を招きやすくなるというもの。

例えば、座り仕事の人と、体を動かす仕事をしている人とでは、座り仕事の人の方が癌の罹患率が高くなっています。体が鈍って代謝が落ちる→生活習慣病を発症する→最終的に癌になる…という道筋があるようです。

コロナ禍の不調
矢島先生

WHOも今、「喫煙が体に与える悪影響」と同じくらい、この「座りっぱなしが体に与える悪影響」について注目し始めていて、勧告を出しています。

きっと、数年のうちに「座りっぱなし=悪」という認識がもっと一般に浸透し、ワークスタイルにも変化が出ると思いますよ。

編集部

どうしても仕事に集中していると、長時間座りっぱなし、PCを見つめっぱなし……という状態になりがちです。

矢島先生

今は残業だって長くできる環境じゃないし、短時間で集中して成果を出すことを求められますから、ますます動かなくなりますよね。

そういう人におすすめなのは、1時間に1回は立ち上がること。これだけでもやらないよりずっとマシです。

もしで可能なら、違う階のトイレに行くとか、少し歩いてみましょう。窓の側に行って伸びをする、日の光を浴びて遠くの景色を見るのもいい。眼精疲労の回復にも効果があります。

編集部

エコノミー症候群を予防するようなイメージですね。

矢島先生

そうです。

ずっと座っている、ずっと近くを見ている、ずっと室内にいて日の光ではなく昼夜問わずブルーライトを浴びている……そんな現代人の暮らしは、ヒトらしい生活ではないんですよ。

しかし、withコロナの時代には、ますます「自宅に篭る」「オンラインベースで働く」機会が増えていくでしょう。

効率よく働けるようになるなどいい変化もたくさん生まれていますが、こうした環境変化が私たちの心・体に与える影響をよく理解し、うまく付き合っていく必要がありますね。

矢島先生

よく動き、よく休むこと。日の光をしっかり浴びて、体内リズムを整えること。できることから始めてみてください!

【監修医プロフィール】
矢島新子(Yajima, Shinko) さん
山野美容芸術短期大学客員教授、医学博士、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表 東京医科歯科大学医学部卒業後、公衆衛生学専攻。ロータリー財団奨学生として留学、パリ第一大学医療経済学修士修了。WHOプロジェクトにてラオスでコンサルタントの経験あり。保健所勤務を経て、東京女子医科大学旧女性生涯健康センターにて10年にわたり総合外来を担当し、現在に至る。産業医としては外資系金融機関を含む、様々な業種の企業20社以上にて実績あり。著書「ハイスペック女子の憂鬱」はアマゾン女性・人文学分野1位獲得。新聞、雑誌にてテレワークや女性特有のメンタルヘルス問題について記事の掲載多数”

取材・文/栗原千明

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