あなたの一生に必要なお金はいくら? マネーのプロに聞く“人生とお金の設計図”の描き方【FP監修】
Woman typeが過去に実施した調査では、20~30代女性の9割以上が「将来のお金に不安がある」と回答しています。
>>コロナ禍に年収減の女性は4割以上。「お金の不安」高まるも仕事選びはやりがい・ワークライフバランス重視?
「お金に不安を感じたときは、人生プランとセットで自分に必要なお金をイメージしてみましょう」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。幸せな人生をつくるための、お金との付き合い方を教えてくれました。
「老後2000万円不足」の考え方とは?
皆さんは「自分が生きていくために必要なお金」について、考えたことがありますか?
例えば、数年前に話題になった「老後2000万円不足」問題(※)。定年後、どのくらいのお金が生活のために必要か、皆さんは知っていますか?
この“2000万円”という数字は、現在の年金制度をベースに、持ち家で暮らす夫婦をモデルに算出されています(総務省「家計調査報告」より)。
夫が正社員で定年まで勤めあげ、妻が専業主婦の想定です。
総務省「家計調査」(2017年)のデータによると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の1カ月の平均収入は、年金を中心に約20万9千円、支出は約26万4千円。ですから、公的年金だけでは、毎月5万5千円の赤字となります。
つまり、
年金支給額:約20万9千円/月
生活費:約26万4千円/月
→約5万5千円不足
公的年金は基本的に65歳から支給されますので、定年(65歳)後、95歳まで二人が生きていると仮定すると、5万5千円不足×12カ月(1年分)×30年=約2千万円が公的年金だけでは足りない金額となるわけです。
ちなみに、生涯独身で正社員として働いた場合は、年金額約12万円/月、生活費約15万円/月と仮定した場合、不足額は約3万円/月。30年分では、1千80万円が不足することになります。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、このモデルはかなり恵まれている方。正社員として定年まで厚生年金に加入していた場合ですので、そもそも年金の支給額が高いのです。
フリーランスや自営業で厚生年金に加入できない場合ですと、国民年金の基礎年金のみの支給になりますので、受け取れる年金額はさらに下がります。
かつ、この試算は持ち家を前提としていますので、家賃もかかっていない。賃貸に住んでいる場合や、趣味を楽しむお金を確保したい場合には、まず間違いなく「お金に困る」状態です。
自分の老後にいくらくらいかかりそうか、希望する生き方とセットで一度ざっくりとでも算出してみるといいですね。
既婚・未婚に関係なく、マネープランは“お一人様”前提で
また、女性の場合、結婚、出産などのライフステージの変化を含めて人生設計をする方も多いと思います。
ただ、人生設計と一緒にマネープランを立てるときは、「一人で生きていけること」を前提に考えることが何より大事です。
仮に結婚したとしても、パートナーの収入がずっと安定しているか、病気や怪我はないか、離婚することはないか、確約できることはほぼありません。
家計収入はパートナーの稼ぎに任せて……といったプランを立ててしまうと、自分が理想とする人生に必要なお金が見えにくくなり、何か想定外のことが起きたときに計画が叶わない確率も高まります。
また、最近では新婚夫婦でも「もし離婚した場合、財産はどうなる?」とか「将来夫婦で揉めないような家の買い方は?」など、「もしも」のときのお金について相談にいらっしゃる方が増えています。
ドライに感じられるかもしれませんが、実はそうした考え方を持つカップルの方が長く良い関係性を保つ傾向がある、というデータもあるのです。
逆に、夫婦がお金のことについて話し合うのを遠慮して、先延ばしにした結果、大きな喧嘩に発展して離婚……というケースはよくありますし、家計収入を夫頼みにしていたがゆえに「離婚できない」不幸もあります。
いずれにしても、人生設計とマネープランは既婚未婚に関わらず“お一人様”前提で。これからの時代は、女性たち一人一人が「稼ぐ力」をますます磨いていく必要があるのです。
そこで次回は、一生お金に困らないための「稼ぐ力」の磨き方についてお話しします。お楽しみに。
取材・文/太田冴
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