“ほどほど”山ルックが人気! 街でも着られるアウトドアファッションを楽しむ
ファッションは自分流に楽しみたいから、目先の流行に振り回されたくない。でも、新トレンドのエッセンスは押さえておきたい。そう思っている働く女子は多いハズ。そんな気持ちに応えて、ファッションジャーナリスト・宮田理江が「これだけは見逃せない」という旬のおしゃれトレンドを解説し、明日からの着こなしを引き立てるお役立ちテクニックを提案します。オフィスやプライベートでのスタイリングに生かせる知恵とスキルをあなたにレコメンドします。
街でも着られる、本気すぎない“程々”山ルックは重宝!
働く女性にとって映画は身近な存在。仕事が終わってまったりDVDを見たり、週末には映画館に行ったり。実は、映画には使える着こなしや旬のファッションがいっぱい。映画を満喫するのと同時に、オフィスやプライベートで取り入れられるおしゃれのコツを学んでみませんか?
登山や山岳アドベンチャーを題材にした映画はたくさんありますが、『わたしに会うまでの1600キロ』はアメリカの雪山や砂漠を1600キロも歩き通した女性の実話です。距離が長いだけではなく、道とすら呼べないような難路をひたすら3カ月も1人で歩き続ける旅。しかも、主人公の女性はアウトドアの素人。かなり無謀な試みです。主人公のシェリル(リース・ウィザースプーン)は最愛の母を亡くしたつらさから、夫を裏切り、薬に溺れる生活に。とうとう結婚生活が破綻し、このままでは人生が駄目になると、再起を期して山へ向かいます。
アメリカを南北に走るシェラネバダ山脈に沿って走る自然歩道に足を踏み入れてすぐにシェリルは自分の無謀さに気付きます。全くのビギナーが挑むには、あまりに過酷な悪路。雪山や砂漠が彼女から体力を奪い、死の危機に追い込んでいきます。登山に詳しい人が見ればあきれるような軽装で彼女が歩いたのも、山歩きの知識が全くなかったせい。でも、結果的にはその無知のおかげで、シェリルの着こなしはタフすぎないアウトドアルックのお手本になっています。アメリカの老舗アウトドアシューズブランド『Danner(ダナー)』が足元を固めています。
母の死を乗り越えるために歩くというのは、一見、合理的ではなく思えますが、シェリルにとっては大きな転機となりました。これまで自分と向き合うのを避けてきた彼女ですが、孤独な3カ月は自分と対話するしかなかったからです。はやりの断捨離ではありませんが、情報や他人を遮断した状況に身を置くのは、時に歩みを止めて人生や自分をとらえ直す好機になるもの。その意味でこの映画は満足感や生きがいを感じにくくなってきたと感じる女性にとって「心のギアチェンジ」を促すきっかけとなってくれそうです。
まずは格好から!アウトドアを満喫できるアイテム
映画の中のシェリルほどにはハードな山歩きをしない人でも、アウトドア風味のウエアや靴を街着に取り入れると、装いにアクティブ感が出ます。実際に動きやすいから便利で快適。
まずは基本アイテムのパーカーやTシャツ、ブーツ、リュックなどの操り方をマスターしておきたいところ。登山ムードやスポーツ色に染めてしまわないで、あえて普段のワードローブとミックスすると、気負わない見栄えに整えやすくなります。
パーカーはいかにもアウトドアっぽいウエアだから、むしろ甘めの色・柄を選ぶと、男の子感を薄められます。雨の日対策を考慮するなら、レインポンチョも選択肢に加えて。
Tシャツは手抜きに見えないよう、ディテールに工夫があるタイプを選びましょう。肩に落ち感が出したシルエットはのどかな着姿に仕上がります。アウトドア物は割と無地や地味めカラーが多いから、主張が強めのモチーフTシャツを差し込んで動きを出していきましょう。夏フェスルックの参考にもなります。
軽めのアウトドアにはデニムがなじみます。切りっぱなし処理や色落ち加工を施したタイプはマイクロショートでもさびしく見えません。防水性の高さが一目で分かるラバーブーツは足元のムード引き締め役にうってつけ。パンツ裾をインして脚を長く見せる小技も使いこなして。
バッグは大きめのリュックが背中のお約束的アイテム。ただ、本気の登山リュックは武骨さが気になるから、グラフィカルな柄やアイキャッチーなチャームで街着にうまく融け合わせてあげましょう。
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