生理痛・だるさ・イライラなどの不調を根本から改善! 自分の体質に合った漢方薬を見つける方法【医師監修】

病気とまでは言えないけれど、健康的とも言えない……。朝起きてもやる気が起きず、慢性的な冷え症や頭痛、肩凝りに悩んでいる……。そんな、“何となく不調”に苦しめられている働く女性は多いもの。そして、その不調の根っこには、「ホルモンバランスの乱れ」が隠れていることがよくあるのです。そこでこの連載では、婦人科医・松村圭子先生が、不調改善&予防に役立つホルモンバランスのメンテナンス術を伝授! ホルモンバランスを整えて、不調知らずの“ホルモンヌ”への道を歩み出しましょう。
前回は、オフィスや家で手軽にできる運動方法について紹介しました。今回は、漢方を使ってホルモンバランスを整える方法を紹介します。
冷えやむくみ、だるさ、疲れ……
「未病」の改善に漢方が力を発揮する

漢方薬は、体質や不調の症状を総合的に判断して自分に合ったものを選ぶと◎
漢方は、西洋医学では病気とみなされない冷えやむくみ、だるさ、イライラ、疲れなどの「未病」の改善を得意としています。また、生理不順や生理痛の改善にも効果的。体がつらくて病院に行っているのに「特に異常なし」と言われてしまう。そんなときに頼ってみると、不調改善に役立つと思いますよ。
漢方治療など東洋医学では、心と体が一つであるという「心身一如(しんしんいちじょ)」の考え方に基づき、「気」(生命活動を維持するためのエネルギー)、「血」(血液とその働き)、「水」(血液以外の体液とその働き)、この3つがバランス良く保たれた状態が良いとされます。そして、この一つ一つのバランスを正していくのが漢方というわけです。漢方は、臓器の働きを助ける作用を持っています。漢方の力で臓器の働きが正常になると、ホルモンバランスの乱れも整えられていくのです。
漢方薬選びは難しい!?
まずは医師に相談してみよう
では、自分に合った漢方薬を見つけるにはどうしたらいいのか。漢方薬といってもいろいろな種類があるので、まずは漢方外来のある病院やクリニックに足を運び、医師に相談してみると良いと思います。
女性の未病に効く漢方薬としてポピュラーなのは、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」と「加味逍遥散(かみしょうようさん)」と「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」。この3つ、名前は違いますが、同じような症状に対して用いられます。漢方が面白いのは、同じ症状であっても人が違えばそれぞれに合った漢方薬を処方すること。私のクリニックでも患者さんに漢方薬を処方していますが、不調の種類に加え、診察室に入ってきたときの様子、目力、話し方、表情、そういったことからも「気」「血」「水」のバランスを判断して、患者さんの体質に合った漢方薬を選んでいるんです。
漢方薬は薬局でも販売されているので自分で選んで買うこともできますが、不調の症状で選んでしまいがちになりますよね。なので、自分に合ったものを見つけるのは意外と難しいかもしれません。同じ不調に悩んでいる人が同じ漢方薬を飲んでも、体質の違いによっては効果に差が出るものと心得ておいたほうがよいでしょう。
また、自分に合った漢方薬を見つける一つの判断基準としては、その漢方薬を飲むことが苦痛でないかどうかも重要。あまりにまずくて口に含むのもいやだというような場合は、無理に摂取しない方がいいと思います。自然に毎日飲めるものを継続していくのがベストです。
体質変化に合わせて
飲むべき漢方薬も変わっていく
慢性的な不調に対しては、一般的に漢方薬には即効性は期待できません。なので、漢方外来に通うなどして自分に合う漢方薬を見つけられたら、少し根気強く不調改善と向き合っていく必要があります。とはいえ、2~3週間くらい漢方薬を飲み続けたら、ちょっとした手応えを感じられるようになると思いますよ。
また、人は生活環境や年齢によって体質も変わっていくものなので、ずっと飲んでいた漢方薬が合わなくなってしまうこともあります。飲みなれていた漢方薬をまずく感じるようになったり、胃もたれするようになったら、体質に合わなくなってきた証拠。自分の今の体質に合った漢方薬を見直す必要があります。そうした見極めは、やはり漢方外来の医師に任せるのが一番だと思います。せっかく漢方薬を飲むのなら、自分の不調を根本から改善してくれるものと付き合っていくべきですからね。
次回は、睡眠とホルモンバランスの関係を紐解いていきます。良質な睡眠をとって自律神経を整え、美と健康を保っていきましょう。
取材・文/柏木智帆
『ホルモンヌへの道』の過去記事一覧はこちら
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