アン・ハサウェイ主演『マイ・インターン』のスタイリストが伝授! 働く女性が知っておくべき“素敵な装い”の2つの条件
『セックス・アンド・ザ・シティ』や『アグリー・ベティ』など、女性から絶大な支持を集めるドラマや映画の衣装を数多く手掛けてきたスタイリスト、ジャクリーン・デメテリオ(Jacqueline Demeterio)さんをご存知だろうか。これらの作品では、トレンドを踏まえながらも個性的なファッションに身を包んだ働く女性たちがイキイキと活躍する姿が印象的だ。
世界中の女性たちを独自のスタイリングで魅了し続けてきたジャクリーンさんは、ファッションが働く女性たちに与える影響をどのように考えているのだろう。ジャクリーンさんが衣装担当を務めたアン・ハサウェイ主演の最新映画『マイ・インターン』を例にご紹介しよう。
ジャクリーン・デメテリオ(Jacqueline Demeterio)さん
「個性」と「場」を重視! “素敵な装い”は人それぞれ違う
「誰しも、自分の大好きな服を着たとき、パワーがみなぎるのを感じたり、気分が良くなったりしたことがあると思います。“素敵な装い”は間違いなく女性たちに自信を与えますし、それによって仕事にプラスの影響が出ると私は信じているんです。
私が考える働く女性にとっての“素敵な装い”は、人それぞれ違います。言葉で表すのはとても難しいのですが、まず、その人の雰囲気や個性に合っているものを身に付けていることが重要。そして、自分が働いている環境に合ったものを選んでいるかどうかがポイントになります。
あくまでアメリカでの事例にはなりますが、弁護士だったらペンシルスカート、スーツ、ドレスだし、クリエイティブの仕事に就いている人ならもっとファンキーでトレンディー、というようにね。
流行りものや自分が好きなものをただ身に付けているだけではだめ。自分の個性に合った服を知り、自分が過ごす環境の中で“浮かない”服を選ぶのがスマートです。私がドラマや映画のスタイリングを手掛けるときは、その2点にこだわってファッションアイテムを選んでいますよ」
スタイリストとして最先端のファッションに触れているジャクリーンさん自身も、職場に馴染むファッションにこだわっているそう。最近の気分は、カジュアル過ぎず、ドレッシー過ぎず、というバランスの取れたスタイルだ。
「ジーンズを履いているときはドレッシーさをプラスするブラウスを上に着たり、ヒールのある靴を合わせるようにしたりします。ポイントは、異なるエッセンスを持ったアイテムを組み合わせることですね」
“現実味”のあるスタイリングが共感の秘訣!
最新作の『マイ・インターン』でも、ジャクリーンさんの最近の意向が反映されている。
主人公のアン・ハサウェイは、ファッション系のECサイトを運営する会社の経営者。仕事に没頭して毎日を忙しく過ごす一方で、1児の母として家庭でも奮闘している。
「ファション企業の代表として美しくエレガントに見えることは大前提として、家庭を持ちながら仕事をしている女性にも見えるよう、機能的なスタイルも大事にしました。例えば、あるシーンで彼女にブレザーを着てもらい、そこにセリーヌのスリップオンのスニーカーを合わせました。誰だって、『朝からハイヒールなんて履きたくない!』って思う日もあるでしょう? アンのスタイリングは常にシックにまとめているものの、こうしたカジュアルなエッセンスも加えることによって、見ている人にも共感が持てるようにしたんです」
実用的かつ美しい着姿は、多くの働く女性たちに参考になりそう。また、アン・ハサウェイ以外の登場人物のスタイリングも個性的で目に楽しい。
「アン以外のオフィスで働いている若者たちに関しては、今のNYっぽさを大事にしました。特に、映画の舞台はブルックリンにあるオフィスなので、力を入れ過ぎないファッションを表現したつもりです」
ジャクリーンさんによれば、この秋~冬にかけては“ミニマリズム”(無駄を省いたシンプルなスタイル)がトレンドだそう。
フレアーパンツとシンプルなシャツの組み合わせにジャケットを重ねたり、シンプルなラインにアクセサリーを足したり。仕事着として応用できそうだ。
違う職種で働いていた経験が、今に生きている
公開前からジャクリーンさんの手掛ける衣装が高い注目を集めている『マイ・インターン』。長年の間、世界中の女性を魅了するスタイルを発信し続けることができた理由を、ジャクリーンさんは次のように自己分析する。
「私はスタイリストになる前、NYのバーニーズでパーソナルショッパー(顧客の趣向や購入目的、予算に合わせ、自身のセンス・知識・経験を生かした最適な商品セレクトし、提案する職種)をしていたんです。だから、さまざまな職種の働く女性たちがどんな装いをしていて、ファッションに何を求めているかが実感値として分かっているのかもしれません。この時の経験は、間違いなく今に生きていますね」
そして、スタイリストの仕事を始めてからは、「ファッションをテーマにした番組や映画があまりない」ということに気が付いた。
「皆さんもご存知かもしれませんが、アメリカは刑事ものや探偵もののドラマが多いんです。でも、個人的にはもっと女性の心をわくわくさせるようなファッションをテーマにした作品が増えてもいいのにと思っていました。それで、『アグリー・ベティ―』のようなプロジェクトが持ち上がったときは、絶対にやりたいと思い、衣装担当のポジションに就きました。これらのドラマがヒットしてからは、やっぱり皆こういうものを求めていたんだと確信して、自信につながりましたね」
販売の現場での経験に裏打ちされた、ジャクリーンさんが発信する働く女性のためのスタイル。最新映画『マイ・インターン』を見て学ぶも良し、過去の作品を見直してみるも良し。自分に自信を与え、明日からの出勤を楽しみに変えてくれるような、素敵な装いのエッセンスを見付けてみよう。
『マイ・インターン』
10月10日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開/配給:ワーナー・ブラザーズ映画
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern/
取材・文/栗原 千明(編集部) 画像提供/『マイ・インターン』