19 JUN/2023

魚食べてる? 魚屋の森さん推薦、忙しい働く女性のための「魚食」の楽しみ方【寿商店・森朝奈】

寿商店 森朝奈

本当は魚が大好きでたくさん食べたいのに、「調理が面倒」「何を選べばいいか分からない」等の理由から、家でほとんど魚を食べない人は多いのでは?

しかし、言わずもがな、魚には働く女性にうれしい栄養素がいっぱい。カルシウム、DHAなど、日本人に不足しがちな栄養をたっぷりとることができる。

そこで今回は、登録者約30万人のYouTubeチャンネル『魚屋の森さん』を運営する寿商店常務取締役の森朝奈さんに、忙しく働く女性が「魚食」を手軽に取り入れ、楽しむための方法を教えてもらった。

寿商店 常務取締役 森朝奈さん

寿商店 常務取締役
森朝奈さん

1986年生まれ、名古屋市出身。2009年に早稲田大学国際教養学部卒業、楽天入社。社長室配属。退職して名古屋市に戻り、11年に父・嶢至さんが創業した、鮮魚販売や飲食店を展開する寿商店に加わった。17年常務取締役就任。YouTubeの『魚屋の森さん』チャンネルを運営するYouTuberでもある。著書に『共感ベース思考 IT企業をやめて魚屋さんになった私の商いの心得』(KADOKAWA)

少しの「魚知識」があれば、劇的に食卓が豊かになる

ーー森さんは、YouTubeや魚好きを増やすサロンの運営など、魚を食べる魅力を発信していますよね。森さんが考える「魚食」の最大の魅力とは?

まず何よりも、食卓が楽しくなることです。お肉だと一般家庭に並ぶのは牛・豚・鶏がほとんどだと思うのですが、魚はかなり種類が豊富ですよね。そして旬がはっきりしています。

スーパーによく行く人は分かると思いますが、お店に並ぶ魚の種類は一年の中でどんどん変わりますよね。それに、同じ魚でも季節によって味がかなり変わります。

例えば、カツオには1年に2回旬がある。

春のカツオは刺し身で食べる人が多いですが、秋のカツオは脂が乗っているので、たたきにするとおいしいですよ。

一年中出回っている魚でも、例えばアジは春先と冬とでは全然味が違います

ーー確かに、お肉売り場に比べると魚売り場は季節によって商品の移り変わりが激しいですよね。その分、選ぶ楽しみも味わい方もたくさんあるということなのですね。

そうですね、加えて、健康になれるのも魚を食べる大きなメリットですよね。

寿商店 森朝奈

魚介類には、ビタミン(D、E、B12)、必須ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム等)などの栄養素や、高度不飽和脂肪酸(DHA:ドコサヘキサエン酸、EPA:エイコサペンタエン酸)をはじめとする、多様な機能性成分など、私たちの体に必要なものが多く含まれている(出典:農林水産省

私は毎日魚を食べていますが、その他は特に食生活で気を遣っていることはないんです。

仕事で体を動かしていることもあるけれど、太りにくいし、体調を崩すこともほとんどなし

魚を食べることは、日本人女性に欠乏しがちな鉄やカルシウム、ビタミンDなどの栄養素を補うことにもつながるので、ぜひ普段の食事に取り入れてみてほしいです(出典:厚生労働省『国民健康・栄養調査報告』)。

こんなふうに少し知識をつけるだけで、魚を食べることはずっと楽しくなります。

私たち日本人はせっかく水産大国に住んでいるので、魚食文化を多くの人に楽しんでもらいたいですね。

魚のことは「遠慮せず」魚屋さんに聞けばOK

ーーただ、仕事が忙しいと、どうしても手間がかかるイメージがある魚料理には手が出ません。魚のさばき方もわからないですし……。

そんなときは、週末買い物に行ったときにでも、魚屋さんに切ってもらえばいいんです

最近は、スーパーの魚売り場にカウンターがあるところも増えましたが、希望に合わせて切ってもらえますよ。

ーー調理法が決まっていない場合、どんなふうに切ってほしいのか伝えるのが難しくて……。

そういう場合は、食べたい魚だけ選んで、「今日これ食べてみたいんですけど、どうやって食べるのがおすすめですか?」って聞いてみてください。

ほとんどの魚屋さんは、皆さんに魚をおいしく味わってほしいと思って仕事をしていますから、いろいろ提案してくれると思いますよ。

また、最近は一匹丸々の形で魚を売っているお店が増えていますが、だからといって丸ごと一匹買わなくても大丈夫。

今日食べる分だけほしいと言えば、必要な分だけ切ってくれます。

ーーそんなお願いもしていいんですか!?

もちろんです! そのままの形で買っていく人はほとんどいません。

魚は包丁を入れる数だけ鮮度が落ちてしまうので、できるだけ鮮度を保てる形で陳列されているだけなんです。

だから、お刺し身で食べたいときは「さく取りしてください」とか「三枚おろしにしてください」と伝えてみるか、切り方のイメージが湧かないときは「一人分、お刺し身で食べたいんですけど切ってもらえますか?」と頼めば大丈夫です。

寿商店 森朝奈

ーー魚屋さんとコミュニケーションできれば安心ですね。

はい。ちなみに、皆さんもニュース等でご覧になったことがあるかもしれませんが、日本人の魚離れが深刻なレベルで進んでいて、食用魚介類の消費量は減少傾向にあります(出典:農林水産省)。

なので、魚屋さんとしては、「一人でも多くの人に魚を食べてほしい」と心底思ってるはずなんです。ですから、頼られたら私はすごくうれしくなるし、他の魚屋さんもきっと力になってくれるはずですよ!

一方で、いきなり会話するのも気が引けるなら、行きつけの魚屋さんを近所に一つつくってしまえば、だんだんコミュニケーションのハードルが下がっていくと思います。

例えば、そこで買い物をしたときに「この魚が好き」など自分の好みを伝えておけば、いい商品があったときに仕入れてくれるかもしれません。

私自身もそうなのですが、常連さんの好きなものはよく覚えていて、「あ、今日はあのお客さまがよくいらっしゃる曜日だから、(その人が好きな)この魚を仕入れておこう」って思って市場で買っておくんです。

だから、よく通う魚屋さんができたら、好きなものを遠慮せず伝えておくのがおすすめ。

魚を買いに行くのも食べるのも、もっと楽しくなると思いますよ!

調理法は鮮度で決める。おいしく食べるための「魚の五段活用」

ーーあと、買った魚をすぐ食べられないこともあるので、どうやったらおいしく食べられるのかよく分からないことがあって。

魚をおいしく食べるには、鮮度に合わせた調理法を選ぶことが大切です。私は「魚の五段活用」といって、鮮度の高い順に

【1】刺し身(生)
【2】蒸す
【3】焼く
【4】煮る
【5】揚げる

の五段階の方法で調理することをおすすめしています。

この基本さえ覚えておけば、多少鮮度が落ちた魚でも十分おいしく食べられますよ。

ーー鮮度が落ちた魚でも、それに合う調理法を選べばいいんですね。

そうなんです。少し古くなった魚でも揚げてしまえば、臭みの正体である水分が抜けるので、ちゃんとした料理になります。

ただ、家で夜に揚げ物をするのは面倒くさいと思う人も多いかもしれません。

そういう場合、【2】の蒸し料理はおすすめ。電子レンジを使えば簡単にできますよ

例えば、お刺身で食べるにはちょっと鮮度が落ちちゃったなと思う魚があれば、それにちょっとお酒をかけて刻んだショウガを乗せて、ふわっとラップをかけて、3、4分レンジでチン。それだけで魚の酒蒸しの出来上がりです。

【4】の煮魚も、電子レンジを使って簡単につくることができますよ。

電子レンジを使った魚の調理法や、五段活用の詳しい解説は「魚屋の森さん」のYouTubeチャンネルでも紹介しているので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。

味も栄養も100点の「旬の魚」を積極的に選ぼう

ーーちなみに、今の時期(6月~7月にかけて)はどんな魚がおすすめですか?

6月はアジがすごくおいしいのと、カツオもおすすめです。

それから、バーベキューに使えそうなサザエなどの貝類も旬。

アナゴもおいしい時期ですから、白焼きにして食べるのもいいですね。

また、旬の魚はおいしいだけでなく、栄養価がいつもより高いところも選んで食べるメリット。

今度魚屋さんやスーパーに行ったら、ぜひ旬のものをチェックしてみてください。

分からないことがあったときは魚屋さんにどんどん聞くようにすると、魚を買いに行くことも、魚を食べることも、今よりもずっと楽しくなると思います!

>>「人生最大の危機」から生まれた魚屋の森さん。元IT企業社員が魚屋になって学んだ“穴を埋める”働き方【寿商店・森朝奈】

取材・文/一本麻衣