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MAR/2016

糸井重里さんと作った “譲渡のお店”が話題に! “しっかりしない”起業家・友森玲子さんが30代でやりたいことを実現できたワケ

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東京・北参道にあるペットのための複合施設『ミグノンプラン』をご存知だろうか。動物保護団体『ランコントレ・ミグノン』代表の友森玲子さんが、コピーライターの糸井重里さんとの対談をきっかけに作った「譲渡のお店」だ。ペットサロン、動物病院、犬猫用シェルターが併設されており、“譲渡のお店”とは思えないような、お洒落な内装が特徴的。株主への配当を“救えた動物の数”とするなど、ユニークな経営も話題となった。

今や、多くの愛犬家・愛猫家から支持されメディアにも引っ張りだこの友森さん。しかし、以前は動物病院に勤めるごく普通の動物看護師兼トリマーだった――。

友森玲子さん
株式会社ミグノンプラン代表
一般社団法人 動物愛護団体ランコントレ・ミグノン代表
友森 玲子(とももり・りょうこ)さん
1977年生まれ。専門学校在学時と卒業後に動物病院で看護士兼トリマーとして勤務。02年にペットサロンを開業。07年、動物愛護団体『ランコントレ・ミグノン』を立ち上げ、年間150頭以上の動物を保護。600人に及ぶボランティアとのネットワークを築く。その後、糸井重里さんとの対談をきっかけに、14年に『ミグノンプラン』を北参道でオープン。株主に対して年間何頭の動物を保護できたかを報告する異例の株主総会が話題に。サロンを運営しながら、動物の保護活動に楽しく真摯に取り組んでいる

動物看護やトリマーは“若い女性がやるもの”という常識に縛られたくない

私が社会に出たのは専門学校を出た22歳の時。動物病院で看護士兼トリマーとして働き、25歳で自分のペットサロンを開業しました。業界的に見ても、非常に早い独立です。どうして私がこんなに早く自分のお店を持とうと思ったかというと、生涯をかけて動物と関わる仕事がしたいと思ったから。

私が20代だったころは、動物看護師やトリマーは“若い女性がやる仕事”というのが業界の常識で、みんな2~3年で辞めて、また新しく若い女の子が入ってくるというサイクルでした。「こんなにも動物が大好きなのに、これじゃあ一生の仕事にはできない!」そう考えた私は、生涯動物の側で働き続ける場所として自分のペットサロンを持とうと準備を始めたのです。

開業後は、独立時に借りたお金を返すために朝から晩まで一生懸命働きましたね。時には、サロンの定休日にアルバイトをすることも。それで、開業時の借金は5年で完済しました。

すると、初めて時間的余裕ができ、支店を出して事業を拡張しようか、やってみたかったチェロの習い事でも始めようか、あれこれ考えるように。その中でいちばんやりたいなと思ったのが、動物たちの命を救うこと。具体的には、行政施設で処分される犬や猫たちの保護でした。

そこで、ちょうど30歳になった2007年、『ランコントレ・ミグノン』という動物愛護団体をひっそりと立ち上げました。最初は本当に小さなグループだったので、新しく習い事を始めるような“趣味感覚”のスタートでした。

やってみたいことをやれない理由を探したら、どこにもなかった

『ランコントレ・ミグノン』の活動を継続していく中で、ある転機が訪れました。コピーライターの糸井重里さんとの出会いです。

最初の接点は『Twitter』。愛犬家の糸井さんが、私がポストしていた保護犬の写真を見て「表情がいい」と面白がってメンションをくださって。でも実はそのころ、糸井さんのことはあまり存じ上げなくて……。Twitterで気軽にやりとりをしていたら、それを知った夫が「お前、糸井さんってすごい有名な人だぞ!何言ったんだ!?」と大慌てでした(笑)。

友森玲子さん
友森玲子さん
ランコントレミグノンの保護動物たち
糸井さんは『ランコントレ・ミグノン』の活動についても「悲壮感がなくていい」って関心を寄せてくださって。それで一度対談の機会をいただいたんです。

動物愛護団体に、ちょっと物悲しいイメージを持っている方も多いと思うんですよね。でも、それだと一般の方が近づきにくいし、興味を持ちづらい。だから、都内によくあるペットショップみたいにオシャレなんだけどペットを販売するお店ではなく、月数回の譲渡会を通じて保護動物と新しい家族の出会いの場を提供する。そんな場所があったらいいよねっていうのが糸井さんとの対談で生まれたアイデアだったんです。これが、後々『ミグノンプラン』のオープンにつながっていきます。

でも、当時の私はそれがカタチになるなんて考えてもいなくて。コストもかかるし軌道に乗せるまで大変だし、正直、夢のような話としか思えませんでした。

対談からしばらく経った2013年11月、糸井さんの事務所で行われた誕生日会にご招待いただきました。すると、糸井さんから「あの対談で話したこと、覚えてる?」と質問が。

そのときの私はもうすぐ40歳ということで、どこか年齢を言い訳にしていました。けど、逆に言えばまだ30代なんだし体力もある。幸い専門職なので失敗したって働き口くらいはあるだろうし、夫も元気で働いているから生活の心配もない。家のローンだって終わっている。そう思えば、やれない理由なんてどこにもなかったんです。

「じゃあ、やります」

そう宣言したら、そこからはもう急展開。あっという間に北参道に物件が決まり、2014年5月、都心にあるペットサロン兼、譲渡のお店『ミグノンプラン』が誕生しました。

友森玲子さん
ミグノンプラン店内の様子

20代で腹を括ると、30代で挑戦することも怖くなくなる

30代になってからの自分の人生は、チャレンジの連続。今振り返ると、20代の頃に「動物の側で一生仕事をしていく」と腹を括れたから、肉体的苦痛を度外視しても必死でやりたいことをモノにしてこられたんじゃないかと思っています。

自分で決心したことなら、人並み以上に頑張れるんですよね。独立前には片っ端からいろんなセミナーに出席して、栄養学から分子生物学、解剖学まで専門書を読んで勉強しましたし、東日本大震災のときは週1日のお休みを使って深夜に東京を出発し、日が暮れるまで被災動物の保護に駆けまわって……。

体は疲れることがあっても、気持ちに迷いがない分ストレスフリーな状態で、思い切りよくいろいろなことに挑戦してこられました。

友森玲子さん
こういう話をすると、私はすごいしっかりした人なんじゃないかと思われそうですが、実はそうでもなくて……。やらなきゃいけないのにできていないこととか、やろうと思って忘れてしまうこととか、よくあるんです。

でも、そういう自分を下手に取り繕ったり誤魔化したりすることはせず、周囲の人に対しては常に素直でいることを心掛けています。「ごめんなさい、まだできていません」とか、正直に言いますね。そうしたら、「仕方ないなあ」何て言いながらも、私の仕事を手伝ってくれる人たちが自然と集まってくれて。『ミグノンプラン』のオープンも、実はそういう“面倒見のいい”友人たちのサポートにかなり支えられてのことでした。

本来、独立ってもっとしっかりした人がするべきなんでしょうね。でも、私がしっかりしていないのなんてみんな分かっているから、力を貸してくれる。おかげで自分の能力以上のこともできています。

自分の「覚悟」と、一生モノの友人たち。20代でこの二つを手に入れることができたから、何歳になってもやりたいことを思い切りやれる基盤ができた。40代、50代になっても大丈夫。1匹でも多くの動物たちに幸せに生きてもらえるように、仕事を続けていきたいと思っています。

友森玲子さん
友森玲子さん
ランコントレミグノンの保護動物たち

取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太

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