19 APR/2016

【連載:マネーのお悩み相談室】20代独身女子は保険に入るべき? 意外と知らない働く女性向け保険の基礎キホン【FP監修】

高山一恵さん
お金のプロに聞きたい!
働く女性のマネーのお悩み相談室

仕事をしている女性であれば、自分の収入や貯金、保険や税金のことなど、お金のことで一度は悩んだことがあるはず。そこでこの連載では、女性から大人気のファイナンシャルプランナー・高山一恵さんに、読者の皆さんから寄せられたマネーのお悩み相談に乗っていただきます! 自分のお金を賢く貯める・増やす・使う術を学びましょう

ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)
1974年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。その後、2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力。また、全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など多数
保険

誰もが一度は保険の勧誘を受ける機会があると思いますが、保険に入った方が良いのかよく分からない……という20代女性は少なくありません。また、将来の病気や事故などに不安を感じている女性たちの中には、民間の保険に加入していない状況で、自分がどのような保障を受けられるのかよく知らないという人も多いかもしれませんね。

そこで今回は、健康保険を含めた医療保険について解説していきたいと思います。

まず、独身の場合、扶養する家族がいないので、特に事情がない限り、「死亡保険」を検討する必要はないと思います。一方で、病気やケガなどで会社を休んだり、仕事ができなくなるリスクに備えておきたいところ。
 
そこで民間の医療保険を検討する前に確認したいのが、既に加入済みの「公的保険」の保障内容です。

実は、公的保険の保障は意外と手厚いものなんですよ!

「高額療養費制度」で医療費の大部分はカバーできる

現在、私たちが病院に行って治療を受けたり、薬をもらったりしても、基本的に自己負担は3割で済みますよね。

その他に1カ月の医療費には自己負担限度額の割合が決められていて、超過分を申請すると還付が受けられる「高額療養費制度」もあります。この制度を使えば、健康保険が適用になる診療については、1カ月で多くても8万円~9万円に抑えることが可能です。

例えば、医療費を自己負担分で30万円請求されたとしても、後日請求すれば、高額療養費で約21万円が戻ってくるというわけです。

高額療養費の対象となる医療費は入院だけではなく、通院であってもOK!また、高額な医療費が掛かりそうなことがあらかじめ分かっている場合には、事前に病院に「健康保険限度額適用認定証」を提出しておくと、高額療養費を超える医療費を立て替えることなく、8万円~9万円を払うだけで済みます。

会社員なら、「傷病手当金制度」にも注目!

そして、会社員が加入している健康保険の場合、病気やケガで会社を休み、お給料がでない場合には、1日あたり標準報酬日額の3分の2を休業4日目から最大で1年6カ月間支給される「傷病手当金制度」があります。

この制度はフリーランスや自営業者の人が加入する国民健康保険にはない制度なので、会社員は恵まれていますね。

つまり、20代の独身女性に関しては、当面生活できる貯蓄があるなら、基本的に民間の保険に入る必要性は高くないということが言えます。

差額ベッド代、先進医療……
健康保険適用外の費用に注意しよう

ただし、気を付けなくてはいけないのが、「健康保険適用外」の費用です。

健康保険が使えない費用については全額自己負担になります。代表的なのは差額ベッド代。入院患者の約半数が差額ベッド代を負担する部屋に入院しているというデータも。

その他に、健康保険が使えない治療方法のなかで費用がかさむのが「先進医療」。先進医療はとくに、がんなどの治療で利用するケースが多いのですが、例えば、乳がんの治療などにも用いられる陽子線治療(細胞にピンポイントで放射線を照射する)を受けようと思うと、260万円ほど掛かります。

民間の保険は、こうした公的保険ではカバーされない部分について備えたいという場合に入っておくと安心できますね。

医療保険に入るときのポイントは?

では、いろいろある民間の医療保険の中からどうやって自分に合う内容を見付ければいいのか。

まず確認してもらいたいのは、下記の5つのポイントです。

保険

上記のポイントをチェックし、気になる商品を比較してみましょう。

そして、時代のニーズにあった保障内容かどうかを確認して加入することも大切です。

例えば、10年前に発売されている医療保険は、入院5日目から支給されるタイプが多いのですが、今の時代、ちょっとした病気なら4日以内の入院も多く、手術しても日帰り入院という場合も珍しくありません。それなのに、「5日目から医療費が支給される保険」に入っていても、何ももらえない状態で退院してしまう可能性大! これでは保険に入っている意味がありません。

また、昔は病気は入院して治すのが主流でしたが、今は、多くの人が病気になっても通院しながら治療しています。通院して治療を受けることが主流になってきていることを考えると、「通院で保険が給付される特約」を付けておいた方が活用度は高いというわけです。

さらに、女性の場合はこれから結婚、出産を通じて人生設計が大きく変わることもありますよね。そういう時は、一度入ったからと保険をそのままにせず、その都度保険の内容を見直していくことも大切です。保険ももちろんですが、一定期間ごとに自分のお金のことを見直す習慣を付けると良いですね。

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