19 NOV/2015

貯金・結婚・保険・老後――働く女性の“マネー4大不安”をプロに相談したらどうなる?【FP監修】

高山一恵

給料、貯蓄、将来の生活に対する漠然とした不安……。お金のことで悩みや不安を抱える働く女性は多いもの。しかしながら、結婚や出産など、大きなライフイベントでもない限り、「お金のことをプロに相談する」というアクションを起こす人はまだまだ少ないのではないだろうか。

だが、『Woman type』でも連載を持つファイナンシャルプランナー(以下、FP)の高山一恵さんは、「若い世代にこそ、プロにお金の悩みを相談してほしい」というメッセージを発信している。プロと一緒に人生のマネープランを立て、実践していくことで、将来の資産が倍以上変わることもあるというのだ。

とはいえ、実際にプロにお金のことを相談するとどんなアドバイスがもらえるのだろうか。また、どんなことを相談していいものなのか、費用対効果はどうなのか、疑問点も多いもの。高山さんが20代~30代の働く女性たちから受ける相談で多い4つの「お金の悩み」を事例に、実際にどんなことをしてもらえるのか聞いてみた。

ファイナンシャルプランナー 高山一恵さん

ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)

1974年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。その後、2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力。また、全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など多数

相談者のプロフィール

Aさん(28歳)
都内で一人暮らしをしている未婚女性。仕事は正社員で総合職。年収は450万円ほど

【貯金編】

Q.1 ちゃんと働いているのに、全然貯蓄ができません……。どうすればいいのでしょうか?

<相談した場合にしてもらえること>
「まず、どのような相談であったとしても、適切なアドバイスができるよう、相談者の方の収入や支出の詳細を最初にヒアリングさせてもらいます。また、理想とする生活がどんなものなのかなどを伺い、それに合わせて短期~長期のマネープランを設計していきます。

貯蓄に関しては、20代の女性には目安として『30歳までに自分の年収と同額』を貯めることをオススメしています。『手取りの2割の金額を5年間貯めれば年収分になる』というような考え方のアドバイスもさせていただきますし、銀行の『財形貯蓄』や『積み立て預金』の活用法など、具体的に貯蓄ができる仕組みや、貯金を習慣化する方法についてもお教えします」

【結婚編】

Q.2 現在、付き合っているパートナーに「結婚したら専業主婦になってほしい」と言われました。専業主婦になるとしたら、相手の収入ってどのくらい必要ですか?

<相談した場合にしてもらえること>
「子どもがほしいか、その場合、教育費をどれくらいかけるのかなど、どんなライフプランを描くかによって必要な収入は変わってきます。なので、まずはお二人がどんな家庭を築いていきたいのかを伺ってから、子どもの成長に合わせた必要収入額をお伝えするようにしています。

例えば、「子ども1人を高校まで公立校に通わせる」だけなら家計収入は年収500~600万円でOK 。しかし、「子どもを中学校から私立校に入れ、マイホームを都内に購入する」くらいのイメージなら、年間の家計収入が900万円でも厳しいでしょう。

男性の給料も伸び難い時代。子どもを私立に通わせる、家を買う、定期的に家族旅行に行くなど、“少しいい暮らし”を想定したライフプランを考えている人は、男性だけを収入源にしようとするのは現実的ではないということもご指摘する場合がありますよ」

【保険編】

Q.3 まだ20代ですが、保険って入った方がいいですか? プランも保険料もいろいろあり過ぎて迷ってしまいます。

<相談した場合にしてもらえること>
「まずは、貯金額を確認させていただいて、急な病気の際に自分で支払い対応できるかどうかを判断し、保険加入の必要性を一緒に考えさせていただきます。

例えば、本人が健康な場合で貯蓄が100万円以上あるような人であれば、今の医療制度においては加入の必要はないとアドバイスします。逆に、貯蓄が全く無い場合、最低限の保障のものでも構わないので、加入しておくべきだとお伝えしていますね。加入プランを選択する際は、『病気にかかって入院が必要』と判断された際に、最初にまとまった保険金がもらえるようなプランなのか、日額の保険金が細かく支払われるプランなのかといった保険金の支払われ方なども参考にしながらオススメします」

【老後編】

Q.4 もしもこのまま結婚できなかったらどうすればいいのでしょうか……。老後に備えて、まだ若い今のうちから何かすべきですか?

<相談した場合にしてもらえること>
「結婚しても女性の方が男性よりも長生きですから、最終的に独りになる可能性は高いですし、3人に1人が離婚している時代。女性は老後についてよりシビアに考えざるを得ませんよね。

そこでまずは、将来の年金給付額の予想平均値を用いながら定年後に掛かってくる生活費を計算し、どのくらい貯蓄があればいいのかをお伝えします。そして、国の年金に頼りきって暮らすような生活にならないように、小額から個人投資が始められる『NISA』や、確定拠出年金などをうまく活用して資産を増やす方法や、ゆとりある老後を過ごすためのコツを提示するようにしています」

信頼できるプロを見つける方法&相談料の相場って?

白河桃子 佐藤博樹

では、実際にプロにお金のことを相談する場合、コストはどれくらいかかるものなのだろうか。また、FPといってもその質はさまざま。どうすれば自分に合った人を見つけられるのだろうか。

「まずは、“いいFPの最低限の条件”をチェックしてほしいと思います。チェック項目は大きく分けて2つ。1つ目は、保険の代理店業などをやっていないかどうかです。保険の代理店業をやっている方の場合は、どうしても偏った提案になりがちなので、中立的な立場からのアドバイスではなくなってしまう可能性があり、注意が必要です。2つ目は、資格のレベル。正直なところ、FP2級程度の資格だと、少し勉強すれば誰でも取得できてしまうくらいのレベルなんです。せっかくお金を支払って相談するのであれば、『1級FP技能士』の資格を持っている人にしましょう。ただし、2級レベルでも実力のある人がいないわけではないので、必ずしも資格だけで判断した方がいいというわけでもありません」

上記を踏まえた上で、レベルの高いFPと出会うために事前に確認すべきことは、「経験値」と高山さん。過去に受けた相談件数や、具体的な相談事例についてどんなものが多いのかを聞いてみるといいそうだ。

「こうした質問にすぐに応えられない人の場合、経験が浅く、きちんとしたプランニングができない可能性が高いです。相談件数が月に10~15件以上あるような人であれば、信頼できるでしょう」

さらに、相談料もFPの腕を見る基準になる。

「自分の腕に自信がない人の場合、相談料を低く見積もることが多いですね。一般的にある程度の経験を積んでいる人が掲げる相談料は、“60分~90分の相談で1万円以上”ですね。年間で何百件も相談を受け、プランナーとしてのブランドを確立している人の場合には、“2~3万円”になることもあります。そこが、同じ時間で3000~5000円程度の料金を提示している人の場合、見習い期間の人だったりする可能性が高く、期待外れの結果に終わってしまうことも少なくありません。

正直なところ、相談料をケチって経験の浅い人に相談しても意味がありません。もしも『試しに相談してみたい』という場合には、ケチって相談料の安いところに行くよりも、無料相談の場などをネットで探して体験するほうが損をすることがないのでオススメですね」

漠然とした悩みをぶつけてもOK! プロを賢く活用する時代

お金の問題は身近な人にでも相談しにくいケースが多いため、一人で悩みを抱えている人も少なくない。だが、プロの手を借りれば自分では思いつかないようなマネープランを実践できるようになる。

「未婚率の上昇や年金問題、老後の貧困などが話題になる中で、将来のお金に不安を抱えている女性たちは多くて当然。でも、不安を不安のまま放っておくのではなく、早いうちからプロの力を活用して、賢く準備を始めてほしいと思います。それに、私のところに相談に来る方のほとんどが、上記の事例にあったような漠然とした不安や悩みを抱えている人。明確に『いつまでに、いくら貯めたい!』といったような目標を持っている人の方が少ない状況です。ですから、皆さんにもっと気軽に、あまり気負わず相談に来てほしいですね」と高山さん。

プロの力を借りてお金のこと、キャリアのことを考えてみることは、きっと多くの働く女性たちの不安解消につながるはず。そして、お金をきっかけに自分の人生を客観的に見つめ直す行為を通じて、今後の働き方にもいい影響が出るのではないだろうか。

『FP Cafe』

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取材・文/上野真理子