【調査】結婚市場でモテる女性の年収は? 男女の理想に生まれるギャップを白河桃子さんが解説

「将来的には結婚したい」と考えている働く女性の中には、「ちょっと年収が低いくらいの方が、男性からモテるんじゃない?」と考えている人もいるかもしれない。
だが、男性の年収が上がらないと言われているこのご時勢、「稼げる女性の方が結婚市場で求められる」なんていう意見も耳にする。
そこで、20代~30代の『Woman type』読者および転職サイト『女の転職@type』の女性会員、転職サイト『@type』の男性会員にアンケート調査を実施。
女性が抱く「男性が結婚相手として最も理想的だと感じる女性の年収」に関するイメージと、実際に男性が考える「結婚相手として最も理想的なパートナー女性の年収」が明らかになった。

結果を見てみると、女性の約6割が「年収300万円未満」の女性の方が男性にとっては理想的なのではないかと回答している。一方で、男性の8割以上が結婚相手となるパートナーには「300万円以上」の年収があってほしいと考えている。
女性たちのイメージと、男性たちが実際にパートナーに求める年収額には、差があると言えそうだ。
「父が大黒柱」時代は終わり。男性も“稼げない現実”に気付き始めている
このような状況について、「婚活」という言葉の生みの親でもある少子化ジャーナリストの白河桃子さんは、次のように分析する。
「この結果は、男性が稼げなくなっていることと、女性が未だに前時代的な幻想から抜け出しきれずにいるということに尽きますね。
男性も、自分たちが稼げなくなっている事実に気が付き始めています。昔のお父さんたちのように、大黒柱として自分の稼ぎで一家を養うのは難しいから、経済的にも女性に頼りたいと考えているんです。
パートナーが自分と同じくらい稼いでくれたら、生活上のメリットが大きいと思っているのでしょう。もちろん、年収が高い男性の中には、妻には自分を脅かさない程度に働いてほしいという人もいますが、とても少なくなっているように感じます。
一方、女性たちは、『そうはいっても男性にはプライドもあるはず』と考えてしまうのかもしれませんね」(白河さん)
今や、男性も結婚相手に経済力を期待する時代。平均年収300万円の男性が、結婚相手の女性に求める理想の年収1位は「300~400万円未満」。
もちろん、結婚の際に重要になるのは相手の年収だけではないが、“結婚する”を実現するためには、このくらいの年収を稼げる力を身に付けておく必要があるのかもしれない。
「内閣府の調査でも、男女ともに一番結婚できるのは『年収300万円以上の正社員』という結果が出ています。それに、子どもがいる世帯の平均年収は600万円くらいですから、年収300万円程度の男性が相手の女性に同程度の稼ぎを求めるのは自然なことです」(白河さん)
また、白河さんによれば、結婚相手と出会う可能性の高い場は、学校や職場であることが多いという。
年収の高い男性ほど、自分と同程度の年収を稼ぐような仕事をしている女性を選んだり、同じレベルの大学を出ている女性を結婚相手として選ぶ傾向もある。
選ばれ待ちより、選びに行く姿勢で理想の未来を手にする

「将来的には結婚して家族を持ちたい」と考えている働く女性たちの中には、「稼ぐ力はあっても“男性から選ばれるのを待つ”という受身の姿勢でいる人も多い」と白河さん。この「選ばれる」という姿勢が、実は結婚を遠ざけていると指摘する。
「厳しいことを言うようですが、相手から選んでもらうという受け身の戦略が通用するのは20代まで。30歳を過ぎたら、ぼんやり待っていたら良い仕事や素敵な男性が寄ってきた、なんてことは起きません。
私が結婚に『活』をつけて、『婚活』という言葉をつくったのは、主体性を大事にしてほしいと思っているから。仕事でも結婚でも、女性は自ら動いていかなくてはなりません」(白河さん)
また、結婚後に豊かな家庭生活を維持していきたいなら、長期的に稼いでいける力を身に付けておく必要もある。
このご時勢、結婚後に夫の収入だけに頼りきった暮らしを実現できるのは、ごく一部の人たちだけだ。そしてその“一部の人たち”になるために受身で待っていると、婚期を逃し続けることになる。
「女性は、とても短いスパンでキャリアのことを考える傾向があります。
20代、30代で責任ある仕事を任されそうになると、『数年後には結婚して子どもも産むはずだから』、『ずっと現場仕事でいいや』などと言って、最初から仕事に対して手加減をしてしまう人も少なくありません。
でも、結婚や出産は自分一人の意思だけでかなうものではない。不確定な未来の予定に振り回されて、自分のキャリアの可能性をつぶしてしまうのは非常にもったいないことですよ」(白河さん)
【アンケート調査概要】
●調査方法:転職サイト『@type』20代~30代男性会員、転職サイト『女の転職@type』の20代~30代女性会員およびWebマガジン『Woman type』サイト読者へのWebアンケート
●調査期間:2015年1月15日~28日
●有効回答者数:女性/289名(平均年収200万円) 男性/53名(平均年収300万円)

少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授、内閣府「少子化社会政策大綱」有識者委員
白河桃子さん
慶応義塾大学卒業後、会社員を経て著述業に。女性のライフプラン、女性活躍推進、未婚、晩婚、少子化などをテーマに数多くの取材・執筆を行う。山田昌弘中央大学教授との共著『婚活時代』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は19万部のヒットに。最新刊は『専業主婦になりたい女たち』(ポプラ新書) 公式ブログ:http://ameblo.jp/touko-shirakawa/ Twitter:@shirakawatouko

『専業主婦になりたい女たち』 (ポプラ社)
女性活躍が叫ばれる世の中だが、まだまだ日本はいつかは専業主婦になりたい女性と、夫に依存しつつ家計補助のパートをする「もと専業主婦」の国。若い女性の中にも“隠れ専業主婦願望”が広がっている。その理由はさまざまだが、「子育ての一時期だけでも専業主婦」という志向の代償は意外に大きい。両立の大変さにめげそうなワーキングマザーからは「働き続けようと励まされた」と好評だが、専業主婦でいたい人は読まない方がいい一冊。日本が本当に「女性が輝く社会」になるためにも、今向き合っておきたい「専業主婦」に焦点をあてた本だ
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※この記事は2015年3月13日に公開し、202013月17日に内容を更新しています
取材・文/吉戸三貴