21 JAN/2015

自律神経のトラブルが、ホルモンバランスの乱れを招く! 働く女性が抱える“何となく不調”の原因とは【医師監修】

ホルモンヌ
いま目指すべきはホルモンバランスの整った女
「何となく不調」と決別!ホルモンヌへの道

病気とまでは言えないけれど、健康的とも言えない……。朝起きてもやる気が起きず、慢性的な冷え症や頭痛、肩凝りに悩んでいる……。そんな、“何となく不調”に苦しめられている働く女性は多いもの。そして、その不調の根っこには、「ホルモンバランスの乱れ」が隠れていることがよくあるのです。そこでこの連載では、婦人科医・松村圭子先生が、不調改善&予防に役立つホルモンバランスのメンテナンス術を伝授! ホルモンバランスを整えて、不調知らずの“ホルモンヌ”への道を歩み出しましょう。

【監修者】成城松村クリニック院長 婦人科医・日本産科婦人科学会専門医
松村圭子(まつむら・けいこ)

日本産科婦人科学会専門医。広島大学附属病院等の勤務を経て2010年に開業。婦人科系の不調改善、エイジングケアなどに特化した専門クリニックの院長として、日々多くの女性たちの診療を行うかたわら、テレビや雑誌等でも活躍。女性のトータルケアをサポートし、西洋医学だけでなく、漢方やサプリメント、オゾン療法、高濃度ビタミンC点滴療法なども積極的に治療に取り入れている
■成城松村クリニック:http://seijo-keikoclub.com/

“何となく不調”な状態を招く
「ホルモンバランスを乱す」ってどんな状態?

ストレス

冷え、むくみ、便秘、下痢、肌荒れ、肩こり、頭痛、腰痛、倦怠感、いらいらなどの症状に悩んでいる人は、ホルモンバランスが乱れているかも!

「ホルモンバランス」という言葉を聞いたことがあるという人は多いはず。でも、実際にそれが何なのか、ホルモンバランスが乱れると体にはどのような影響が出るのか、具体的に知っているという人はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

まず、基本的なところからご説明しますと、性ホルモンには女性ホルモンと男性ホルモンの2種類があり、双方の分泌量がバランス良く保たれていることが女性の心と体の健康を保つ上で重要になります。

さらに、女性ホルモン自体も、エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンから成り立っているのですが、これらのホルモンの分泌量のバランスが保たれていることも同じく大切。上記で挙げたいずれかのホルモンの分泌量が急激に増えたり減ったりするような変動があったとき、「ホルモンバランスが乱れている」という状態になるのです。

一般的に女性は、急激に女性ホルモンの分泌量が増える思春期と、急激に女性ホルモンの分泌量が減る更年期にホルモンバランスを乱れやすくなると言われています。

症状としては、冷え、むくみ、便秘、下痢、肌荒れ、肩こり、頭痛、腰痛、倦怠感、いらいら、落ち込みなどが代表的です。そして本来、皆さんのような20代~30代の時期は、ホルモンバランスが最も安定する時。通常であれば、ホルモンバランスの乱れによる不調は感じづらい年代のはずなんです。

でも、20代~30代の女性たち、特に忙しく働いている女性たちの多くが、ホルモンバランスの乱れからくる“何となく不調”、医学用語で「不定愁訴」に悩んでいるという現状があります。私のところに診察に来る患者さんの中にも、この世代の女性たちはすごく多いんですよ。

では、このような状態はなぜ起こるのか。その原因は、彼女たちのライフスタイルにあると言っていいと思います。

自律神経の乱れが諸悪の原因!?
ホルモンバランスを乱すライフスタイルとは

ホルモンバランスと密接な関わりを持っているのが、「交感神経」と「副交感神経」から成る自律神経の働き。自律神経の働きに異常が出ると、ホルモンバランスにも影響を及ぼすと言われているのですが、今の20代~30代の働く女性たちのライフスタイルを見ていると、自律神経の働きに悪影響を及ぼすような落とし穴がたくさん!

結果的に、ホルモンバランスの乱れも招くようになっているのだと思います。では、自律神経の働きに異常をもたらすライフスタイルとは、どんなものなのか。キーワードは、「ストレス」と「不規則さ」です。

仕事をしていれば、職場の人間関係や自分に課されたミッションからくる重圧など、誰しも少なからずストレスを感じるものですよね。さらに、昔と違って今の時代は女性たちの生き方が多様化した分、周りの人と自分を比べてしまって焦りや不安を感じやすくなっています。また、「仕事と家庭の両立も完璧にこなして周囲の人の期待に応えなければ」と自分を追い込んでストレスを抱えてしまう女性も多いですね。

生活リズムの乱れや運動不足も顕著。20代~30代のうちは長時間働いている人も多いので、食事の時間がばらばらになっていたり、平日と休日で睡眠時間が著しく違う場合もあるでしょう。しかし、これらは全て、「不規則さ」が苦手な自律神経に、悪い影響を及ぼす要因になっているんです。

繰り返しになりますが、本来は20代~30代はホルモンバランスの乱れからくる不調に悩まなくてもよい時期。だからこそ、不調を招くようなライフスタイルで健康な状態を損なってしまうのは、非常に勿体ない! 食事、運動、睡眠など、見直しできることはいくらでもあるはず。自分で招いてしまった不調ですから、自分で予防も改善もできるものなのです。

今後の連載では、ホルモンバランスの乱れを予防・改善するのに役立つ食事方法や運動法など、具体的なアドバイスをさせていただこうと思いますので、楽しみにしていてくださいね。さっそく次回は、毎日の食事で積極的に取るべき食材や、帰宅時間が遅くなってしまうときの食事法など、日頃からちょっと意識するだけでできる、「食」のホルモンバランスメンテ術をお伝えします!

取材・文/柏木智帆