06 MAR/2015

結婚・出産が見通せない独身アラサー女性必読! 「これからのお金の心配」を減らすために今できること

30歳が迫ってくると、誰もが一度は考えるお金のこと。「そろそろ、将来のことを踏まえて真面目に考えなきゃな……」と思いつつも、結婚や出産などのライフイベントの見通しが不透明な状態で、どのような準備をしていいのか分からないという人は多いのでは? そんな疑問に、マネーとキャリアを連動したライフプランニングで人気を博しているファイナンシャル・プランナーの氏家祥美さんが答えてくれた。

ファイナンシャルプランナー 氏家祥美さん

ファイナンシャルプランナー
氏家祥美さん

キャリアカウンセラーの資格を持つファイナンシャルプランナー。住宅購入や教育費のマネー相談の他、転職や起業時のマネーアドバイスも行っている。著書に『いちばんよくわかる!結婚一年生のお金』(学研パブリッシング)他

チャンスをつかむために
まずは給料3カ月分の貯金を

35歳を過ぎた女性に贈る「これからのお金」のお作法

35歳を過ぎた女性に贈る「これからのお金」のお作法』 著:氏家 祥美/価格:1,296円(税込)/出版:秀和システム

「“35歳から”をテーマにしたのは、お金について真剣に考えはじめる女性が、私の相談者さんを見ていてアラフォー世代の方に多かったから。キャリアやライフプランが見えてきたり、親の介護や自分の老後に不安を感じてみたり……。そんな心境、環境の変化で気になってくるお金のことが、まるっと分かる本があれば喜ばれるかな? と考えたのが、この本を出そうと思ったきっかけです」
その言葉の通り、結婚・出産や不動産の購入をはじめ、親だけでなく自分の老後にも関わってくるお金の知識が網羅されている。モヤモヤと気になっていたお金まわりの疑問がスッキリする一冊だ

お金の心配を減らすために、まず最初にすべきはどのようなことなのだろうか。

「それはもう、とにかくお金をしっかりと貯めておくこと。まずは最低でも給与の3カ月分、できれば30歳までに年収分の金額を目標に蓄えてほしいんです」

と氏家さんはきっぱり。だがそれは、やりたいことを我慢してひたすら貯めることに専念すべきという意味ではないようだ。

「むしろ逆。生き方がまだ明確に定まっていないアラサー世代は、やりたいこともいろいろあるでしょうし、人生経験だってたくさん積んでいく時期です。だからこそ、いざというとき、チャンスがやってきたときに使えるまとまったお金の有無が、その後の人生を左右します」

まとまったお金があれば、転職や独立などの機会が巡ってきたときはもちろん、突然の会社の倒産や入院が必要な病気など、万が一のアクシデントにも対応できる。

「会社都合ならいいけれど、自己都合で退職した場合、失業手当が支払われるのは3カ月後。『いざとなったら実家を頼ればいいや』と思っていても、毎月ギリギリの生活を送っていたら、実家に帰る新幹線代さえ出せないかもしれないでしょう?」

人生はまだまだこれから。そんな世代だからこそ、知見を広げるための投資をしつつも、足元を固める貯蓄をしたいもの。さまざまな世代の女性から相談を受けてきた氏家さんだからこその説得力が感じられる言葉だ。

結婚してもしなくても
貯めるべき金額は変わらない!?

結婚や出産、不動産の購入と、ほとんどのライフイベントがこれから、というアラサー世代。ともすれば、「結婚資金にはいくら? マンションの頭金としてはいくら?」といった具合に、各項目での必要金額を知りたくなってしまうところだが……。

「そこは、まとまった貯金がある程度できて、足元が固まってから考えるお話。それに、最近のカップルは結婚しても共働きが前提ですから、結婚したからといってお金に関する何かが大きく変わるということはそれほどないんですよ」

確かに、専業主婦を志望しない限り、よほどのことがなければ劇的に節約をしなければいけない必然性は見当たらない。むしろ、二人暮らしを始めることによって、住居費や食費、光熱費などにゆとりが生まれる可能性もある。

「そのゆとりをマイホームの購入資金や将来子どもが生まれたときの教育資金として蓄えれば、また新しい夢が描けるようになりますよね」

氏家さんによれば、「結婚できるかどうか分からないから、お金もどう貯めていいか分からない」と悩む女性は少なくないようだが、最終的に結婚してもしなくても、やるべき事は変わらないという。

「貯金を続けることは同じですし、保険だって万が一の時に入院代や自分の葬儀代ぐらいは担保できるシンプルなものに入っていれば充分。昔のように結婚したからといって夫婦型の保険に掛け替えてしまうと、夫が亡くなったり離婚したときに自分の保険がなくなってしまうわけですからリスクですしね。住宅資金だって、夫婦で一戸建てを買うのか一人住まいのマンションを買うのかという違いだけで、準備しなければいけないお金はトータルでさほど変わらないんです」

そう考えていくと、結局のところ、やるべき事はただ一つ。やはり、「淡々と貯金を続けていく」ということになる。それは、リスクから自分を守る際も攻めの人生に転じる場合も変わらないのだ。

「転職して年収を上げる」
それも立派なマネープラン

「私のところに『貯められない』とご相談に来る人の悩みは、年代にかかわらず同じです。『○○だから貯金できないんです』と、必ず何か言い訳を見つけてくるんですね(笑)。40代の方なら20代に比べたら年収は上がっているはずなのに、それでも一向に貯められなかったりします」

けれど、お金の使い方を振り返って優先順位付けしていけば、誰だって貯金に回せるお金は出てくるはず、と氏家さん。

「まずは、月1万円ずつでもいいので貯金を。どうしてもムリというのなら、仕事力を磨いて、稼ぐ力をつけて、転職して収入を上げるという方法もあると思います。アラサー世代の場合、まだまだ条件のいい転職がどんどんできる年齢なんですから! 今は、景気も上向きで余計に転職がしやすい雰囲気になっています。過去に失敗した経験がある人も、今なら好条件で転職が叶うかもしれない。コツコツ貯金はしつつも、攻めの姿勢も忘れないでほしいですね」

>>あなたがもらうべき年収はいくら?

取材・文/阿部志穂