働く女性が知っておくべき節税術とは? マネーのプロが3つのポイントを解説
仕事をしている女性であれば、自分の収入や貯金、保険や税金のことなど、お金のことで一度は悩んだことがあるはず。そこでこの連載では、女性から大人気のファイナンシャルプランナー・高山一恵さんに、読者の皆さんから寄せられたマネーのお悩み相談に乗っていただきます! 自分のお金を賢く貯める・増やす・使う術を学びましょう
マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)
お給料明細を改めて見てみると、私たちが毎月受け取るお給料から多くの社会保険料、税金が差し引かれていることに気付くと思います。振り込まれてくる金額だけに気を取られていて、自分が本当はいくら稼いでいるのか、税金や社会保険料がいくらかかっているのか分かっていないという働く女性は少なくないのでは? でも、それでは賢いお金のやりくりはできません!
まずは、給与明細をしっかり確認する習慣から付けていきましょう。
月々の給与から差し引かれている税金とは……?
社会保険料として引かれているものが「厚生年金保険料」、「健康保険料」、「雇用保険料」の3つ。加えて、40歳以上の人は「介護保険料」が差し引かれます。
厚生年金保険料と健康保険料は標準報酬月額(毎年4月~6月に支給された残業代も含めたお給料の総額を1カ月あたりに平均したものをもとに決定される金額)に、厚生年金保険の場合は18.182%の保険料率を、健康保険は9.97%の保険料率を掛けた金額を会社と折半して支払います。
例えば、報酬月額が20万円の場合、厚生年金保険料は、1万8,182円、健康保険料は、9,970円になります。こうやってみると、会社が半額負担してくれるのはありがたいですね。
雇用保険は、毎月の支給合計額(額面金額)に対して1.35%の保険料率を掛けた金額のうち、会社が85%、社員が15%負担します。雇用保険に加入していることで、会社を辞めたときに雇用保険がもらえたり、資格取得のための補助費が出ることも。
これらの社会保険料の他に「所得税」と「住民税」といった税金が差し引かれます。
実は、平成25年(2013年)から平成49年(2037年)までの25年間にわたって東日本大震災の復興のための財源確保を目的とした「復興特別税」という税金が設けられています。給与明細の欄に「復興特別税」という欄があるわけではないので気が付かないのですが、通常の所得税の金額に2.1%の税率を乗じた金額が上乗せされてお給料から引かれています。ちなみに、住民税にも同様に復興特別税がかかっているのです。こうやって確認してみると、いろいろと差し引かれているのが分かります。
所得控除、個人型確定拠出年金、使える控除のフル活用!
税金を安く抑えるコツ3つ
社会保険料は金額が決まっているので仕方がないにせよ、少しでも支払う税金を安く抑えたい!と思いますよね。では、どうすればいいのでしょう? ポイント別に見ていきましょう。
【ポイント1】所得控除の金額を増やす
そもそも、収入金額にまるまる税金がかかっているわけではないということをご存知でしょうか?
税金は、収入金額から本人や家族の状況、災害や病気などの個人の事情によって、税の負担を軽くする制度である「所得控除」を差し引いた金額にかかるもの。つまり、所得控除の金額が多くなれば、それだけ所得税を減らせるということになります。
「基礎控除」「配偶者控除」「扶養控除」などの言葉はなんとなく聞いたことがあるかと思いますが、所得控除は、全部で14種類あります。会社員の人が使える所得控除として代表的なものは、「生命保険料控除」と「小規模企業共済等掛金控除」です。
生命保険料控除は、加入している保険の種類、加入した年によって控除される金額は違いますが、平成24年以降に契約した人は、最高で一般の生命保険料4万円、個人年金保険料4万円、介護医療保険料4万円の合計12万円の控除が受けられます。
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済(個人事業主や中小企業の役員が退職した場合に備えて生活資金を予め積み立てておく制度)の掛金、個人型確定拠出年金の掛金などを支払った場合に受けることができる控除。掛金の全額の控除を受けられます。仮に毎月2万円、個人型確定拠出年金に掛金を支払っている場合、年間24万円の控除が受けられるというわけです。
【ポイント2】個人型確定拠出年金に加入する
将来の自分年金のために個人型確定拠出年金に加入し、毎月2万円掛け金を拠出した場合、年間の掛け金合計額24万円が「小規模企業共済等掛金控除」として、全額所得控除になります。
仮に、最終的に税金がかけられる金額(課税所得金額)が200万円(所得税の税率は10%、住民税は一律10%)、生命保険料控除で4万円、小規模企業共済等掛金控除24万円が適用になるとしたら、所得税、住民税合わせて28万円×20%=5万6,000円も税金が戻ってきます。これはお得ですね。
【ポイント3】使える控除をフル活用!
さらに、会社員が活用しやすい控除として、医療費が年間10万円を超えた場合に活用できる「医療費控除」、特定の団体に寄附した場合に活用できる「寄附金控除」などもあります。
税金というと、とっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、知識があるとお得になることも多いもの。お給料がなかなか上がらない時代、無駄な支出を抑えて賢くお金をやりくりするのも働く女性のたしなみです。積極的に情報を集めましょう!
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