30 JAN/2017

「今の時代、結婚する意味って!?」――“結婚のプロ”菊地亜希さんに聞く、「結婚が働く女性の人生に与えてくれるモノ」

結婚って、何でするの――?
結婚すると何が変わるの――?

晩婚化や未婚化が進み、結婚をしたとしても「生涯共働き」が前提となった今、働く女性たちにとって「結婚」が意味するものは、かつてと比べて変わってきているかもしれない。

結婚式場探しのクチコミ情報サイト『ウエディングパーク』を運営する株式会社ウエディングパークでブランドマネジャーを務めている菊地亜希さんは、「結婚とは“2倍の人生”を楽しむためのチャンス」と語る。『ウエディングパーク』のサービスづくりにあたって、これまでに数多くの結婚する女性を見てきた菊地さんは、自身も仕事と家庭を両立する一人の妻。そんな、「結婚のプロ」菊地さんに、今の時代に「結婚が働く女性の人生に与えるもの」について聞いてみた。

ウエディングパーク

株式会社ウエディングパーク
ブランドマネジャー
菊地亜希さん

2006年、新卒採用でサイバーエージェントに入社。生活情報メディア・CGMメディアの立ち上げ、運用を数年間経験。09年に結婚。11年9月、グループ会社である株式会社ウエディングパークに出向する形で入社。広告商品開発・サービス開発に携わった後、14年より全社のブランディングを推進する業務に携わる
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誰かの人生に乗っかってみるのも悪くない。
結婚の醍醐味は「思いもよらない経験」の積み重ね

近年、結婚することの意味や、メリット・デメリットについて語られる機会が増えているように感じます。価値観が多様化して、特に女性は、昔に比べて働き方や生き方の面で選択肢が増えているので、なおさら、気になるテーマですよね。

私も自分が結婚するまでは結婚後の生活について、メリット・デメリットを考えることもありました。夫の周りの方の転勤や留学の話を聞くたび「結婚したら私が仕事を諦めなくちゃいけないこともあるのかな?」と、思ったり……。

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でも、20代の時にいざ結婚に踏み切ってみたら、2倍大変になるどころか、人生が2倍楽しくなった。自分の人生と夫の人生と、両方の人生を一緒に生きるようになったら、良い事も悪いこともひっくるめて「一人では起きなかったはずのこと」がたくさん起こるようになりました。

例えば、彼にはイタリア人の友人がいて、最近その友人が地中海にあるサルディーニャ島で結婚式を挙げたんです。私たち夫婦も式に参列したのですが、こんな貴重な体験も一人で生きていては起こり得なかったこと。式に参加する前に着物の着付けを習ったのですが、これもまた新しい趣味と出会うきっかけになりました。

親戚が増えるとか、家族ができるとか、結婚によってもたらされる分かりやすい変化と比べて、こういう「経験」はささやかなことに思えるかもしれません。でも、自分では思いもよらない経験が、自分の価値観に大きな影響を与え、人生がより充実していくということはよくあります。それこそが、結婚の醍醐味かも、と最近は思うくらいです。

「身近な関係に甘えない」カップルは長続きする!
仕事におけるチーム運営も同じだと痛感

また、私の場合は「結婚」を扱う仕事をしているからという部分もあるかもしれませんが、結婚生活で得た気付きが仕事に役立つこともたくさんありました。

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大人同士の人間関係って、“深入りしないのが一番”というふうになりがちですよね。でも、結婚はそうはいかない。お互いの人柄や生き方を深く知って、相手を尊重し、対話を重ね、交渉を重ね、目標やタスクをクリアしていく必要が出てきます。「結婚式を挙げる」という事例一つとっても、お互いの譲れないものを確認し合ったり、譲歩できるところはするようにしたり、深いコミュニケーションが必要になります。

家事や子育ての分担を決めたりするのも、お互いの状況を確認しながら二人が納得できるポイントを見つけていく作業なんじゃないでしょうか。こうした“家庭で培われたコミュニケーションスキル”は、職場でチームを動かすときや、クライアントとやりとりをする時にも役立っていると感じます。

相手の心を気づかったコミュニケーションは、人と深く関わって、いろいろな感情を知ってこそ磨かれていくもの。私自身は、結婚する前と比較して言葉の選び方にすごく慎重になりました。

さらに、仕事やプライベートを通じて周囲のカップルを見ていて思うのは、結婚生活を長続きさせるためには「身近な関係に甘えない」という姿勢が大事だということ。「自分のために何かをしてもらうことは当然」とか「言葉にしなくても伝わって当然」とか、パートナーの存在を当たり前のように考えているカップルは、だんだんコミュニケーションにひずみがでてくるように感じます。これも、仕事上のチーム運営に置き換えたら、全く同じことが言えると思います。

結婚は、あなたとパートナーが幸せに生きていくための手段

ここまで、結婚によって働く女性たちの人生にもたらされる「メリット」を中心にお話してきました。ただ、結婚するかしないかは人それぞれの価値観次第です。

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大切なのは世間の価値観より、「自分が何に幸せを感じるか」ということ。自分にとって幸せな人生を築くために、パートナーと「結婚」という形をとるのがベストなのかどうか、自分で選ぶということが大切だと思います。「結婚すること」自体はゴールでも目的でもなく、あなたとパートナーが幸せに生きていくための、手段の一つです。

私自身は、結婚を通じて自分の世界が広がり、夫婦生活はもちろん、家族・友人とのお付き合いなど、自分にとって大切だと思えるものがたくさん増えたので、結婚生活って、思いがけず開ける新しい世界があって面白いものだなと感じています。

いま一度、「自分が人生において大事にしたいことは何か」、「自分が自然体でいられる状態とは何か」、そこからじっくり考えてみると、一人ひとりにとっての「結婚すること」の意味が浮かび上がってくるかもしれませんね。

取材・文/上野真理子 撮影/赤松洋太