年収1000万世帯でも家計に余裕はない!? 収入・貯蓄がいくらあっても「不安」に苦しむ人に欠けている視点【FP監修】
仕事をしている女性であれば、自分の収入や貯金、保険や税金のことなど、お金のことで一度は悩んだことがあるはず。そこでこの連載では、女性から大人気のファイナンシャルプランナー・高山一恵さんに、読者の皆さんから寄せられたマネーのお悩み相談に乗っていただきます! 自分のお金を賢く貯める・増やす・使う術を学びましょう
マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)
【今回のマネー相談】
将来のお金のことを考えると不安で仕方なくなります。家も買いたいし、旅行にも行きたいし、子供ができたらいい学校にも通わせたいし、でもそんなのいくらお金があっても足りないのではと思います。どうしたら不安に対処できるのでしょうか?
……(20代事務職女性/年収300万円程度/既婚/子なし/夫の年収400万円程度)
【解説&アドバイス】
少子高齢化が加速し、将来の年金不安は増すばかり……。お給料も右肩で上がらず、社会保険や税金の負担は増えるばかり……。このような状況では、若い女性たちが将来に漠然とした不安を持つのも無理はありませんよね。
年収1000万円世帯でも家計に余裕がない時代
とはいえ、日本の経済が右肩で上がっていった高度経済成長時代とは違い、今の日本は低成長時代が続いています。ですから、ひと昔前のように、家も教育も娯楽も全てを満たそうとすると、お給料が伸びない今、年収1000万円世帯でも家計に余裕がありません。“何もかも希望通りに”というのは、多くの人にとって現実的ではないのです。
今回の相談者さんは家計収入では約700万円程度あるということになりますが、それでも取捨選択をすることが大事になりますね。
仮に、家を買うという場合、具体的に「どこのエリア」に「どんな家が欲しいのか」「それを買うとするといくら必要なのか」という具合に、考えてみてください。子どもの教育や旅行についても同様に、パートナーと一緒に希望を話し合ってみてください。おそらく、「全部実現するのは難しい」という結論になると思います。極々一部の人を除けば、それが普通です。
その場合は、夫婦でさらに相談を重ねて、妥協できるポイントを探してみてください。
例えば、「家は都内に買うことにこだわりたいけど、趣味への出費は少しおさえられそう」、「子どもの教育にはお金をかけたいから、家はしばらく賃貸で良い」など、優先順位をつけていきます。
改めて言いますが、今の時代はこうして取捨選択をするということが、当たり前の時代。一人一人が自分にとって大切なものに向き合っていく必要があります。
貯蓄を増やし、夢を叶えた人たちに共通すること
また、今まで多くの人の家計相談にのってきましたが、次々に夢を実現し、ちゃんと貯蓄もできているという人にはある共通点があります。それは、「自分がどんな人生を送りたいか」が明確なこと。そして、それを実現するために「いつまでに」「いくら必要なのか」も明確にしていることです。さらに、全てを実現できない場合でも、何を優先させると人生がハッピーになるのかが分かっています。
人生全体を俯瞰して、必要なお金も自分の価値観も「見える化」することができれば、漠然とした不安はなくなります。病気になった場合でも原因が分からないうちは不安が募ると思いますが、原因が分かれば、それに向かって治療すれば良いという安心に変わりますね。お金の不安についても同じです。原因をはっきりさせて、対策を立てればよいのです。
いつまでも自分の人生ビジョンが明確にならないままだと、たとえ貯蓄が数千万円あったとしても、漠然とした不安が続くでしょう。実際、今まで私が相談にのった方の中にも1000万円以上の貯蓄があっても不安でたまらないという人は少なくありませんでした。
漠然とした将来への不安に意識を向けている今だからこそ、人生の目標や自分にとって大切なものを「見える化」してみましょう。どうしても叶えたいことを実現できるように、それに向けて計画的な貯金をしてみてはいかがでしょうか。
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