03 APR/2018

「大企業は辞めちゃダメ」「就職するなら銀行は?」“親の願い通り”に生きてきた女の末路

高山一恵
~お金との付き合い方で人生は激変する~
「○○な女」の末路

どう稼ぐ? どう使う? どう貯める?……お金にまつわる選択で、今後の女性の人生がどう変わるのか、女性に人気のFP高山一恵さんに教えてもらいます。生涯お金に困らない人生を歩んでいくために、想定される未来を知り、今からできるリスク回避を!

ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)
マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)
1974年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。その後、2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力。また、全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書に『35歳までにはぜったい知っておきたい お金のきほん』(アスペクト)など多数

 

「大手企業だから安心!」「公務員や銀行なら親が喜ぶ」という理由で就職先を決めた女性は、少なくないのではないでしょうか。時代が変わったとはいえ、「大企業神話」はいまだに根強いように感じます。

今の大学生の就職活動の状況を見ても、就職できるなら、中小企業よりも大企業に就職したいというのが本音のよう。特に女性の場合、大企業に就職してそこで一生の伴侶もゲットできればラッキー!という、隠れた希望も見え隠れするような……。

大企業勤めのメリットは確かにある。でも時代は……

大企業 銀行 公務員

今20~30代の女性たちの親世代は、誰もが知っている大企業に就職すれば、一生安泰!という時代を生きてきました。ですから、子どもには大企業になんとか就職してもらって、一生安泰に暮らしてほしいと希望する親も多いと思います。

実際、大企業は中小企業に比べて、資本力もあり、経営の体力もあるので、言葉は悪いですが、あまり仕事を頑張らなくてもそう簡単に解雇されることはありません。また、福利厚生やさまざまな制度も整っているので、ライフプランに変化が起きやすい女性でも長く働き続けやすいという側面もあるでしょう。

給料水準も高く、社会的な信用力も高いため、住宅を購入するときなどのローン審査も通り安く、大企業に就職するメリットは確かにあります。

とはいえ、冒頭でも申し上げたとおり、時代は大きく様変わりしています。

高度成長時代とは違い、大企業といえども余力がない時代。最近、ニュースになった大手都市銀行の大リストラのニュースが時代を象徴しているのではないでしょうか。

ニュースによれば、みずほフィナンシャルグループが1万9000人の人員削減、三菱UFJと三井住友のフィナンシャルグループがそれぞれ9500人、4000人の業務量削減を検討中とのこと。それこそ、ひと昔前は、大学を卒業して大手銀行に入ればエリート中のエリートとして、一生安泰の切符が約束されていました。

ところが現在は、IT化が進み、これまで人の手で行われていた業務が大幅にコンピューターに取って代わられることに。わざわざ店舗に出向かなくてもあらゆる決済がネットできるようになり私たちにとっては大変便利になりましたが、銀行員の立場からすると、多くの業務がなくなりつつあります。

店舗も統廃合される傾向にあり、メガバンクに勤めているからといって安泰という時代は終わりを告げたと言えます。

真の安定は、自分自身の市場価値を高め続けることで得られる

先の銀行の例にもあるように、これからは業種問わず、IT化が進み、人の手によって成り立っていた業務がコンピューターやロボットに取って代えられるようになります。

大企業という守られた環境で仕事をしていると、危機感を感じる場面が少ないかもしれません。ですが、「大企業に入ったから一生安泰」とばかりに、日々何となく過ごし、誰もができる単純な仕事しかできないとなると、リストラの対象になる可能大です。

いざ転職しなければいけなくなったときに、「あなたには何ができますか?」と問われ、困ってしまう人も実際多くいます。その時になって、大手の看板に守られていただけで個人のスキルは全然ないと気づくパターンも少なくありません。

安定がほしいのであれば、自分自身の市場価値を高めることが一番の近道。時代の変化を敏感に感じとり、所属企業の看板に甘えず、個人のスキルアップを目指しましょう。人脈をつくったり、仕事につながる分野の資格を取ったり、自分磨きにお金を使うこともお勧めします。

人生100年時代といわれる今、「生涯現役」でいられることこそが、老後の生活のリスクヘッジにもなります。定年をむかえた後も、フリーランスや自営業でも食べていけるような個人の力が自分にあれば、安心できますね。

「大手企業に就職しなさい」「大手企業を辞めちゃだめ」こういった親のアドバイスは、善意からのものであることは間違いありません。それはそれでありがたく受け止めつつ、最終的には自分自身で最良の生き方を決めていきたいですね!

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