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APR/2018

「モノづくりがしたい」純粋な気持ちが仕事の原動力! 男社会でも“自然体”で活躍する女性開発者が抱く夢【矢崎部品株式会社 篠原万歩さん】

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男職場で活躍する女性たちにフォーカス!
紅一点女子のシゴト流儀

日本の職場の多くは未だに“男性社会”だと言われている。そんな中、職場にどう馴染めばいいのか悩んだり、働きにくさを感じている女性も少なくないのでは? そこでこの連載では、圧倒的に男性が多い職場でいきいきと働いている女性たちにフォーカス。彼女たちの仕事観や仕事への取り組み方をヒントに、自分自身の働き方を見つめ直すきっかけにしてみよう!

国内外の数々のカーメーカーに部品を供給してきた、世界トップクラスの自動車部品サプライヤー、矢崎総業株式会社。1941年の設立以来、46カ国100法人、国内グループ66法人(※)を抱えるグローバルカンパニーへと成長を続けてきた。(※2017年6月21日時点における実績を記載)

同社のグループ企業、矢崎部品株式会社で「高圧コネクタ用端子」という一般の女性たちには耳慣れない部品の設計をしているのが、篠原万歩さんだ。

矢崎部品株式会社 EVシステム開発設計センター 第一EVコネクタ開発部 12Cチーム 篠原万歩さん 工業高等専門学校卒業後、カーメーカーの子会社にて車両開発に携わる。約10年勤めたのち、ワーキングホリデーでドイツに1年間滞在。帰国後、2016年に矢崎部品株式会社に入社。現在は高圧コネクタ用端子の開発設計に携わる
矢崎部品株式会社
EVシステム開発設計センター 第一EVコネクタ開発部 12Cチーム
篠原万歩さん

工業高等専門学校卒業後、カーメーカーの子会社にて車両開発に携わる。約10年勤めたのち、ワーキングホリデーでドイツに1年間滞在。帰国後、2016年に矢崎部品株式会社に入社。現在は高圧コネクタ用端子の開発設計に携わる

約300人が働く部署に、女性はわずか5名。圧倒的な男社会だが、篠原さんには「男性には負けたくない」といった気負いが一切ない。職場内でマイノリティーであることを過剰に意識することはなく、常に自然体だ。その秘訣は何だろうか。

求められるレベルが上昇中! 縁の下の力持ちな部品「高圧コネクタ用端子」

カーメーカーの子会社で車両設計に携わったのち、自動車の部品を作る矢崎グループに転職した篠原さん。社会に出て以来、車に関わる仕事を続けているが、特別「車好き」というわけではなかったそう。仕事選びの軸は、「モノづくりがしたい」というシンプルな欲求だ。

「学生時代から、モノづくりを仕事にしたいと思っていました。工業高専に進学したのも、ロボットコンテストで優勝経験があった母校のことを知って、純粋に『面白そうだ』と思ったからでした」

篠原さんが進んだ機械電気工学科では、40人前後のクラスに女性はたった3名。そんな中で5年を過ごしたことが、女性が少ない職場であっても気負わずに過ごせる素地を育てた。

「現職は300人中女性5人ですが、職場全体で見れば女性社員は20人くらいいます。体調面など女性ならではの悩みがあれば気軽に相談できるし、お互いがサポートし合うカルチャーがあるので、女性が少ないからという理由で困ることは全くないです」

現在、篠原さんが開発する「高圧コネクタ用端子」は、車の内部に設置されている部品。車には電気を流すケーブルが血管のように張り巡らされている。そのケーブルをつなぐコンセントのような役割を果たすのが、コネクタだ。

「高圧コネクタ用端子」
高圧コネクタ用端子
EV車両の内部構造
EV(電気自動車)の内部構造

「コネクタは、ハイブリットカーや電気自動車にとって欠かせない部品。大小さまざまで、車の中に何個もあります。スマートフォンも、ずっと充電していると熱くなりますよね? 車も一緒で、たくさんの電気を流して熱くなっても大丈夫なコネクタが必要。真夏の駐車場などの厳しい環境下でも、性能を維持できなければいけません。車を組み立てる際の使い勝手や、メンテナンスのしやすさなど、性能以外のところへの配慮も必要です」

電気自動車の生産量が上がっていく中で、求められるレベルはどんどん高くなっているという。コネクタは特定の車両に向けて開発することもあれば、開発してからカーメーカーに提案をすることもある。それぞれの開発プロセスによって、関わる人や確認事項が異なることに、入社当初は苦戦した。

「前職では自動車本体の設計を担当していたので、今とは開発の進め方が全然違います。転職したばかりの頃はその違いに悩むことが多々ありました。でも、当社には経験豊富な先輩たちがたくさんいますし、彼らがいつも助けてくれます。だから、私も『分からないからって立ち止まっていては損』と自分に言い聞かせ、周囲の人にいろいろ質問しながら仕事を覚えてきました。そのうちに、いつ誰に、何を聞くのがベストなのかが分かってきて、仕事の進め方もスムーズになりましたね」

「性別は個性の1つ」仕事の向き不向きに男か、女かは関係ない

開発するのは自動車の中の一部のパーツ。でも、そんなパーツ1つであっても、さまざまな人の仕事を経て世の中に送り出されている。

篠原さんが担う開発ポジションでは、社内各部署、社外の自動車メーカー、ありとあらゆる人の間に入り、コミュニケーションを取ることが求められる。相手の意図を正しく汲み取り、自分の意見も正確に伝える作業が非常に重要だ。

「私が常に心掛けているのは、『どう頼めば相手が気持ちよく仕事を引き受けてくれるのか』、『どんな意図で頼まれているのか』をしっかり考えること。複数の人が関わる開発案件は、わずかなコミュニケーションエラーがその後の仕事に大きな影響を与えることになりますから」

以前、社内で話し合いがうまくいかずに停滞していた案件に、篠原さんが入ったことで、開発がスムーズに進み出したことがあったという。それを上司に褒めてもらったことが、自信につながった。

矢崎総業株式会社(矢崎グループ)

「ピリピリしがちな会議の場面でも和やかに議論ができるのは、私に限らず女性の特技ではないでしょうか。皆が議論を交わしやすい場の雰囲気は、今後も自分からつくっていきたいです」

また、社内に女性が少ない分、周囲の人から「大事にされている」と実感するシーンも多々あるそうだ。

「女性だからってそんな気を使わなくていいですよって思うこともありますけど、大切にしてもらって『私、ラッキーだな』なんて思いながら、皆さんの気遣いに甘んじることもある。そこは気分次第です(笑)」

試作の際には重い荷物を運ぶなど、時には体力が必要になる仕事だ。しかし、篠原さんにとっては学生時代から当然のようにやってきたこと。ギャップを感じることはないという。

「男女で体力差はあるかもしれないけど、性別は個性の1つで、仕事において男女差は関係ないと思っています。女の人だからって全員が丁寧なわけじゃないし、男の人だってすごく繊細な人もいるし、気配り上手な人だっている。性別で自分の可能性を狭めずに、個人の得意不得意で仕事を選んだらいいんじゃないかなって思います」

開発者に必要なのは“誰にでも引き継げる仕事”を意識すること

コネクタの開発コンセプトが決まってから、車両に搭載されて世の中に出るまでにかかる時間は、平均でおよそ2年。篠原さんが最もやりがいを感じるのは、商品が形になっていく工程だ。

「設計図や3 Dモデルだったものが、節目ごとに試作品として形になっていき、手元に実物が届いた時は『おっ!』って嬉しくなっちゃいますね。私が今携わっている開発案件は5年がかりの長期プロジェクト。東京オリンピックの年に、世の中に出る予定です。スケジュール通りに進んで、最後まで仕事をやり遂げた時の達成感は格別だと思います」

だが、開発者がずっと一つの案件を続けられるとは限らない。途中で他の開発の部門に異動になって、完成まで見届けられないこともあるという。だからこそ大事なのは、目の前の仕事を“誰にでもできる状態”にすることだ。

矢崎総業株式会社(矢崎グループ)

「図面や資料を読めば誰でも分かるような状態にしておかないと、開発を引き継げなくなってしまうんです。再現性の高い仕事をするというのは、開発者にとって重要なことです」

それに付随して、仕事を一人で抱え込んでしまわないようにすることも、篠原さんが意識しているポイントだ。

「根が真面目な性格だと、全部自分一人で何でもやりたくなっちゃうんですよ。でも、それをやってしまうと、自分が辛くなるし、仕事が属人化してしまう。開発は一人でコツコツやる仕事のように見えるかもしれませんが、チームで一緒に仕事をする意識を持っている人の方が向いていると思います」

今年で入社3年目。今は海外向けの案件に、自ら手を上げている。

「前職でも海外の開発部署と組んで仕事を進めた経験があるし、当社に入社する前はワーキングホリデーで1年間ドイツにいたことがあります。ようやく当社の部品にも慣れてきて、社内の人からも認めてもらいつつある今、チャンスがあればぜひ海外との案件を担当したいと思っています」

矢崎総業株式会社(矢崎グループ)

篠原さんは、「興味のある仕事ができることが自分にとって一番大事」と目を輝かせる。車や機械は男の人が好きなもの。そんな世の中の漠然としたイメージよりも、大切なのは自分の気持ちだ。

好きなこと、やりたいこと、得意なことの前に、”女だから”は関係ない。
篠原さんが自然体に働ける理由は、そんなシンプルな考え方にあるのだろう。

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取材・文/天野夏海 撮影/赤松洋太

連載『紅一点女子のシゴト流儀』の過去記事一覧はこちら

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