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APR/2018

【小説で学ぶ初心者のための投資術】Vol.2 めぐみ、真の「愛と銘柄」を求めて

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今どき女子は、恋もお金も「賢く」たしなむ
投資、時々、女と男。

働けど働けど、なかなか給料は増えない――。その上、この超低金利時代。預貯金だけの運用では、貯金も増えず、将来が心配! そこで気になるのが「投資」だけど、始め方やうまく付き合う方法は……?株式投資のプロが、恋愛小説風に指南します!

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あれから2週間ほど経つけだるい木曜日の夜、2人はまた、カフェCalmにいた。

出先から直帰してきた優子は外交の女性らしくスーツで、めぐみは今時のIT企業の社員らしくカットソーとデニム姿で、やはり窓際の席に座って、料理が出てくるのを待っていた。

小説で学ぶ初心者のための投資術

優子 「平日に会いたいだなんて、珍しいね。一体どうしたの?」
めぐみ「ちょっと悩んでてさ……」

優子 「何? この前の彼と何かあったの?」
めぐみ「私もそんなに若くないし、長期的な視野を持って恋愛しようとは思ってるんだけど……」

優子 「おー、めぐみもついに婚活モード?」
めぐみ「一旦振ったけど、この間優子の話を聞いて、よりを戻そうと思って遅刻の理由を訊いてみたんだ」

うんうんと軽くうなずきながら、目の前に置かれた料理に目線を落としながら聞いていた。

めぐみ「30分も待ち合わせに遅刻した理由は、道に人がうずくまっていたから救護してたんだって言うんだよね」
優子 「へー、立派じゃない。何でそれをめぐみに最初から言わなかったんだろうね」
めぐみ「いかにも善い人みたいな印象になっちゃうのがイヤで、照れくさかったみたい」

今日も一日外回りでお腹がペコペコだった優子はBLTサンドイッチにガブリと噛みつきながら言った。

優子 「かわいいじゃん」
めぐみ「そうなのよ。自分がイイ人って言いふらさないところがかっこいいなって、逆に思ったんだ」
優子 「それはそれは」

話の展開に反してめぐみは、皿の上のポテトをフォークで突っつき、ストレスいっぱいの感じだ。

めぐみ「・・・・・・」
優子 「え、まさか、彼から振られちゃったの?」

勢いよく首をタテに振ると、
めぐみ「彼ね、自分の事を信じてもらえなかったことがショックだったみたい」
要するに、「よりは戻さなくていい」と言われてしまったようだ。

優子 「逃がした魚は大きい……か。これもやっぱり、株式投資でもあるあるなエピソードだわ」
めぐみ「株と一緒にしないでよ、落ち込んでるのに……」
優子 「ごめんごめん。でも、慌てて売った次の日に反騰、その後ず~っと値上がりってことがよくあるからさ(笑)」
めぐみ「……恋愛でも投資でも、そういうことってあるんだね……」

ポテトを口にほおばりながら、めぐみは暗い表情を見せたが、優子はあまり気にしていなかった。
だって、めぐみの立ち直りの早さをよく知っているから。

優子 「まぁ、次いこうよ次! もっとイイ人が見つかるって!」
めぐみの口真似で茶化すように言った。

めぐみ「イイ人を見つける自信、今はなくなっちゃったな。私、見る目ないもん」

いつになく落ち込みが大きい様子を見て「おや?」と思った優子は、気分転換になればと思い、めぐみが興味を持っている投資の話を続けた。

優子 「教えようか、見つけ方。株の銘柄だけど」
めぐみ「よし、この際、財産形成に走るか。男探しは二の次で!」
優子 「ははは。そう来なくっちゃ!」

優子はさっそく鞄からお決まりのタブレット、スケッチブックにペンを取り出した。

小説で学ぶ初心者のための投資術

優子 「大きく分けて2つのやり方があるんだ。一つは定量分析」
めぐみ「出た。難しい単語!」

優子 「株式投資って、株価とか会社の利益とか数字がよく出てくるよね。そういう数字を使って銘柄を選ぶのが定量分析」
めぐみ「数字、苦手だな~」

優子 「結婚相手ってさ、年収とか、身長とか、年齢、卒業した大学のレベルとか気にならない?」
めぐみ「愛があればって言いたいところだけど、やっぱり気になるね(笑)」

優子 「全部数字だよね。そういう条件で探していくのが、定量分析」
めぐみ「お~!じゃあ、きっと私も無意識に定量分析いつもやってたんだろうな(笑)」

優子 「で、結果はどうだった?」
めぐみ「……え、それ、訊く? いじわる(笑)」

めぐみの恋愛失敗談を山ほど知っている優子は、それ以上は問い詰めず、先を続けた。

優子 「もう一つは、定性分析っていってね、企業のビジネスモデルや取り巻く環境を見て選ぶの」
めぐみ「ビジネスモデル?」

優子 「例えば、そうね、A社が出したゲームは高齢者でも楽しめるコンセプトだ・・・とか」
めぐみ「あ、それ良さそう。うちのおじいちゃんいつもヒマしててさ、ボケちゃうから何かすれば? っていっても、膝痛くて外に出るの億劫で~なんて言ってるの。高齢者でも楽しめるゲームならやるかも。意外にハマったりなんかしてね」

優子 「これから、高齢者が増えるしね」
めぐみ「なるほど。男性に例えると、時代の先を見てやりたいことが決まっているってとこかな?」

優子 「そうね。他にも、社員の健康に気を使っている企業が今後伸びていくかも……みたいな発想かな」
めぐみ「分かった。性格とか将来性で選ぶってことね」

めぐみは、自分の過去を振り返るように目を閉じてアイスコーヒーを飲みながら、優子がスケッチブックに何かを書くのを待っていた。

小説で学ぶ初心者のための投資術

優子
 「こんな感じかな?」
めぐみ「定量分析ってさ、彼氏を選ぶのは簡単だけど、株は難しそうだね」
優子 「うん、ちょっと勉強が必要で、テクニックもいるかもね」

めぐみ「そういえば、前の彼氏は年収1,000万円超えてて、羽振りもよくてそこが楽しかったけど、付き合って3カ月後にリストラされて無職になってたなぁ」
優子 「ああ、そんなこともあったね」

めぐみ「で、別れた」
優子 「株でも、どちらかといえば、定量分析は短期投資に向いているわね。数字が変わっちゃうから」

めぐみ「数字はあくまでも今までのことなんだって思い知ったわ」

めぐみは、吐き捨てるようにいうと、窓の外に見える街灯の光に目をやった。
そして、ハッと気づいた優子は恐る恐るきいてみた。

優子 「あ、だから、次は、大きな夢を語る彼にしたのね」

めぐみは黙ってうなずくと、話題を変えるように言った。

めぐみ「企業の定性評価ってどうやるの? これも難しいんじゃない?」

優子はその切り替えにホッとすると、ゆっくり首を振った。

優子 「プロの投資は企業訪問とか決算説明会に行って調査・分析をするけどね」
めぐみ「じゃあ、素人のアタシには無理じゃ?」

優子は、食後のコーヒーに砂糖を入れて混ぜると、おもむろに訊いた。

優子 「もう、部屋の模様替えした?」
めぐみ「え、何、急に。土曜日にニトリに行って見てきた。海をコンセプトにした涼しそうなラグとカーテンやベッドカバーが揃っていたから、つい、まとめて買ってきちゃった」

優子 「あそこ、いいよね。部屋の形にディスプレイしてあってイメージしやすいよね」
めぐみ「そうなのよ、見ているだけでも楽しくて、つい寄っちゃう。で、買っちゃう」

移り気なめぐみは季節ごとに飽きたといっては部屋の模様替えをするのだった。

優子 「ニトリの株ってどう? ニトリのオーナーになるっていう目線で」
めぐみ「あ~、いいかもね。最近、駐車場とかレジも混んでるし、儲かってそう」

優子 「ニトリのお得意さん、めぐみは立派にアナリストだね」
めぐみ「よく行っているからね。なるほど、そうか。そういうことか。魅力も語れるよね」

優子 「消費者が一番その企業のことを知っているし、今はインターネットで何でも見られるから、その企業が他に何をやっているか調べやすいでしょ」
めぐみ「納得。それならアタシでもできそう。株主になるならっていう目線でこれからは行ってみようかな」

めぐみは、いつの間にか注文していたいちごタルトをインスタグラム用に撮影しながらこんなことをつぶやいた。

小説で学ぶ初心者のための投資術

めぐみ「今まではさ、彼氏作るのに年収とか学歴とか気にしてたし、インスピレーションで決めちゃうようなところもあったけど、これからは『友達からお願いします』ってしてみようかな?」
優子 「それ、すごくいいと思うよ」

優子は、ちょっとオトナになった親友の横顔を見ながら、まとめに入った。

優子 「よく知らないのに付き合うと、喧嘩になった時に頑張れないよね。ちょっとむかつくことがあっても、その人の大きな魅力を知っていれば大目にみてあげたり、ここは我慢しようってなるじゃない。長く愛を育むには、相手をよく知らないとネ。株もそう、人から勧められた銘柄を何気なく買ったり、株価チャートだけ見て買っても、こんなはずじゃなかったってなりやすいもの」

めぐみ「長く愛を育む、か。優子、いいこというね」

ただし、よく知っていても、将来有望と思っていても、間違うことはある。環境が変わってしまったり、経営方針が変わってしまったり……。

彼氏と株の違うところは、一度に相手が一人でなくても揉めないところだ。だから、将来有望と思える企業の株をいくつか買ってみよう。一人がとんだダメ男に変身してしまっても、あとの二人がカバーすることができるから。これを分散投資と呼ぶ……。

素敵な彼氏との愛を育むことを夢見て、嬉しそうにイチゴタルトを頬張るめぐみに、彼氏についての分散投資手法は当面教えないでおこうと、優子は決めた。

カフェCalmの夜はゆっくり更けていく。

ハートブレイクから立ち直っためぐみは、次の愛を見つけるが、
恋多き女に訪れたまさかの事態は……。

次回へ続く

 株式会社One Tap BUY

【著者プロフィール】

株式会社One Tap BUY
執行役員コーポレートコミュニケーション室長
三好美佐子さん

1966年生まれ。明治大学法学部卒業。準大手証券会社の投資信託部を皮切りに、外資系資産運用会社3社や銀行での勤務を経て、オンライン証券の経営に携わる。2014年、3タップで1,000円から株が買えるスマホ証券「One Tap BUY」の立ち上げに参画。個人向け金融商品の開発やマーケティングに携わるなかで得た個人投資家の行動・心理と市場の動きに関する知識を活かし、数々の執筆を行う

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