未経験でも大丈夫? キャリアアドバイザーに聞いた、女性がエンジニアになるメリットと注意点

世の中のIT化が進み、身の回りのことがどんどんシステム化している昨今。プログラミングやシステム開発ができるエンジニアのニーズは高まる一方です。

その中で増えつつあるのが、エンジニアへ転向する女性。ITサポート、テクニカルサポートなど関連職に就いていた人や、販売・サービスなど異業種からチャレンジする方までさまざまです。

今回は、女性がエンジニアになるメリットとデメリットについて見てみましょう。

宮崎果林

監修キャリアアドバイザー 宮崎果林

IT企業でシステム開発とQAエンジニアを経験。業務知識を活かして人に価値を提供できる仕事をしたいという想いから、「type転職エージェント」へ。「エンジニアの気持ちが分かるキャリアアドバイザー」として、転職希望者の目線に合わせたカウンセリングを持ち味とし、多くのエンジニアからの信頼を得ている。

エンジニアとは?

エンジニアとは

エンジニアの仕事とは、システムのコードを書くプログラマから、システム設計をするSE、プロジェクトをまとめるPM(プロジェクトマネージャー)まで幅広くなっています。

未経験では、インフラエンジニアと呼ばれるソフトウェアやネットワークを円滑に運用するための環境を整備する仕事に就く方が多いですね。

アプリケーションの上に乗っているサーバーやネットワークの監視・運用から始めて、安定稼働するかどうかを見守ります。その後のキャリアパスは構築、設計、要件定義、PMとステップアップしていきます。

インフラエンジニアは、最初のうちは設定作業などが多いのでプログラムがまったく書けなくてもOK。専門的な言語を学ばなくても、なることができます。

エンジニアの男女比

男女比

※type転職エージェントの登録者のうち、エンジニア経験者を対象に男女比を調査(対象:2012年1月1日~2013年3月31日期間の登録者約5000名、2018年1月1日~2019年3月31日期間の登録者約9200名)

type転職エージェントサービスにご登録者いただいた方の中から、エンジニア経験者を対象に男女比データを算出しました。

2012年1月1日~2013年3月31日期間は、男性が全体の80.3%を占め、女性は19.7%という結果でした。

ところが5年後の2018年1月1日~2019年3月31日期間では男性が全体の72.2%、女性が27.8%という結果になっています。

つまり5年間で約10%も女性エンジニアの割合が増えていることになります。このデータからも、女性エンジニアが増加傾向にあることが分かりますね。

女性がエンジニアになるメリット1:評価が男女平等

評価が男女平等

エンジニアの場合、基本的に男女平等に評価されます。女性だから基本給が低い、昇給が遅いといったことはありません。「男性と同じくらい稼げるから、手に職を就けてエンジニアになりたい」という女性もいます。

良いシステムを開発し、使い勝手のいいプログラムを書ければいいなど、評価基準が明確なエンジニアの世界。しっかり仕事で成果を出せれば、その分正当に評価してもらえます。

IT業界はまだ女性が少ないので、女性の比率を上げるため、採用マーケットでは女性の方が採用されやすい傾向にあります。同じスキルを持つ候補者がいた場合、女性の方が選ばれやすいことも。女性に有利な状況になっています。

女性がエンジニアになるメリット2:産休・育休後に復帰しやすい

産休・育休後に復帰しやすい

社内に前例がいないため、産休・育休が取りづらいという業界もあるようですが、スキルのあるエンジニアなら、一時的に仕事から離れても復帰しやすい傾向にあります。

得意な言語がある、Linuxサーバーの構築ができるなど、何かしらの武器があるとより復帰しやすいでしょう。

エンジニアの中には、産休・育休をきっかけに転職する人も増えています。働く環境を変え、リモートワークやフレックス勤務を推奨している企業で仕事と育児の両立を目指す人も増えています。

40代以上の女性も活躍しているのがエンジニアの世界。20代後半から未経験ではじめても間に合います。長い目で見てキャリアを築くことができるでしょう。

女性がエンジニアになるメリット3:時間や場所にとらわれない

エンジニアはつくった「成果物」が重視され、どこで・いつ働くかはそこまで重要とされていません。

IT企業の中には、在宅勤務やリモートワークを推奨している会社や、夫婦そろって採用してくれる制度を設けている会社、家族ごとオフィスの近くに移住していいという会社もあります。

週4日勤務や子どもが小学校6年生になるまで時短勤務OK、エンジニアは全員地方在住で出勤の必要がないという会社まであります。

産休・育休後に復帰しやすい

IT企業は深夜まで残業するイメージが強いですが、最近は残業月10時間以内を掲げる会社も多くなっています。和室があったり、ドリンクバーやカフェがあって飲み放題、社内にマッサージルームがあるなど、オフィス環境の整備に力を入れている会社も増えています。

こうした制度が整っているのは、ベンチャー企業に限ったことではありません。

従業員6000人を超える大手システム開発会社でも、リモートワークや在宅勤務を推奨したり、サテライトオフィスを設けたりなど女性が働きやすい環境を整備しています。

業界全体で女性の働き方支援をしているので、IT業界の専門知識のある転職エージェントなどに相談して、いろんな企業を見てみてほしいと思います。

ここまでエンジニアのメリットや、魅力的な側面を主にあげてきましたが、エンジニアになるにあたって注意したいポイントも解説します。

エンジニアの注意点1:スキル取得の努力が必要

何といってもITの知識を身につけなければエンジニアとして働くことはできません。

テクノロジーの発達は日進月歩。常に新しい技術を学び続ける努力も必要です。それが億劫だったり、その労力をかけたくない人は向いていないでしょう。

スキル取得の努力

保険会社などは、エンジニアに限らずそもそも女性社員が多いので、金融業界の知識があればプログラムの知見は浅くてもジョブチェンジしやすいでしょう。特に、インターネット保険会社は、女性の働き方に柔軟な印象があります。

今持っている業界知識に、ITの知見をかけあわせれば、それは強力な武器となるでしょう。たとえば、銀行の窓口業務をしている方が、システムの勉強をすれば、「金融×IT」となり、大きな強みとなります。

おすすめの勉強方法は、セミナーに通うこと。体系的に学ぶことができるので、基礎的な知識がしっかり身につきます。YouTubeやインターネット講座でもわかりやすいものがたくさん出ているので、積極的にスキルアップにチャレンジしてみましょう。

エンジニアの注意点2:チーム体制ごとに異なるマネジメント方針

チーム体制によるマネジメントの違い

IT業界にもさまざまな組織体制があります。顧客企業からシステム開発の案件を受託して、オーダーに沿ったシステムを大きなチームでつくりあげる場合もあれば、自社でつくった独自のサービスや製品を開発していく会社もあります。

大手のシステム開発会社の場合、担当するのは大規模システムの一部分。みんなでいくつかのシステムを分担し、それをさらに小さい機能ごとに開発していきます。一個人が担当するのは、それをさらに細かく切り分けたプログラムの一部分。

「自由な働き方」を夢見ても、未経験の場合は特に、仕事のプロセスや目標をきっちり管理されることも大いにあります。

こういう企業ではいろんな顧客のシステムに触れることができますし、システム開発の一連の流れをひと通り経験できます。

先輩社員がマンツーマンで付いてくれることも多いので、未経験にはおすすめ。エンジニアとしての土台を築くことができるでしょう。

自分のスキルや志向にあった組織体制なのか、IT専門の転職エージェントに聞いてみると良いでしょう。

まとめ

あらゆるものごとがIT化し、IoTやAIなどニーズが高まるばかりのエンジニア。

業界も右肩上がりで、華やかな側面もありますが、それだけでは転職は難しいもの。「やりたい」という気持ちは大切ですが、「やれるのか」も考えた方がいいでしょう。

未経験でエンジニアになりたい場合も、好きなITサービスを見つけたり、業界ニュースをチェックするなど、できるところから「やりたい」気持ちを、形にしてくださいね。

※こちらの記事は『type女性の転職エージェント』より転載しております

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