未経験からエンジニアになるには? エンジニアデビュー成功者4人に学ぶ転身方法【Woman type Meets!】
エンジニアの仕事に興味はあるけれど、自分もなれるの? 理系じゃないけどやっていけるの……? そんな不安から、エンジニアへのキャリアチェンジに一歩踏み出せずにいる女性は少なくないはず。
そこで、Woman typeでは「女性エンジニアのキャリアを考える1DAYウェビナー」を2021年12月18日に開催。
エンジニアになりたい女性のためのトークイベント「未経験からのエンジニアデビュー、どうだった? 先輩座談会」を実施した。
登壇した4人は全員、未経験からエンジニアへのキャリアチェンジを遂げている。
4人はどのようにして未経験からエンジニアになったのか。本ウェビナーの前半では、彼女たちの実体験を紹介。
後半ではVBAを使ったエンジニアリング体験会を開催し、参加者はワークショップ形式でプログラミングを学んだ。
この記事では、当日のトーク内容、体験会の概要をかいつまんで紹介する。
<スピーカープロフィール>
4人が未経験からエンジニアになった方法
ーー皆さんはなぜエンジニアへのキャリアチェンジを考えたのでしょうか?
ディー・エヌ・エー名和さん(以下、名和さん)「以前はIT営業職として働いていました。当時はITの基本的な知識もない状態だったので、お客さまとの会話すらままならず……。
そこで、サービス開発の基礎から学びたいと思い、一度エンジニアとして働いてみようと思ったんです。
最初は営業としてキャリアアップすることが目的でしたが、いざエンジニアリングの基礎を学び出したらハマってしまって。営業には戻らず、そのままエンジニアとして働き続けています」
サイボウズ川畑さん(以下、川畑さん)「私は『ものづくりに携われること』『専門職として働けること』『会社都合の転勤が少ないこと』の三つを軸に転職活動をしていました。その時に偶然サイボウズで働いている知人からQAエンジニアについて聞く機会があり、興味を持ったのです。
QAエンジニアとは、製品の品質保証を担うポジション。プロダクトマネージャーや開発エンジニアなど開発チームのメンバーと一緒に製品の仕様を考えたり、開発した機能をリリースする前に行うテストの項目を検討して実施したりします。
『プロダクトの品質を高めるプロ』という専門性に魅力を感じ、面白そうだなと思ったんです」
ワークスアイディ折笠さん(以下、折笠さん)「私は飲食店やパチンコ店の接客、生命保険の営業など、過去にいろいろな仕事を経験してきました。
そんな中、こうしてエンジニアになった理由は大したことではなくて……『プログラマーとかエンジニアって、何だかカッコ良さそう!』という直感だけでした(笑)」
Sansan池端さん(以下、池端さん)「私はもともとガジェットが好きだったのですが、エンジニアリングの世界に足を踏み入れたのは、知り合いにプログラミング学習のための書籍をもらったことがきっかけでした。
試しに勉強してみたらすごく面白くて、『これを仕事にできたらいいな』と思って、本格的に学び始めました」
ーー未経験からのエンジニアデビュー、皆さん具体的には何から始めたのでしょうか?
池端さん「最初は独学からスタートしました。その後、中途でも未経験者を受け入れてくれるIT企業のインターンシップに挑戦したんです。
いざ職場に入ると、やっぱり大変でした。周りの知識量と比較して、自分は知っていることもできることも少なくて。
ただ、エンジニアって、みんな多かれ少なかれ『スキルアップする苦労』を経験しているんですよね。
なので、新人がつまずきやすいポイントを分かった上で、先輩たちもアドバイスしてくれました。
そのおかげで基礎的なエンジニアリングのスキルが身に付いて、正社員として就職することもできました」
折笠さん「私は職業訓練校に通って、プログラミング言語のPHPを学びました。
そこで半年ほど勉強した後、腕試しのつもりでアプリ開発にチャレンジしてみたんです。
その開発過程をアピール材料にして転職活動に挑戦。実務は未経験でしたが、自主的に学んでつけた知識と個人開発の経験を買っていただけて、今の勤務先であるワークスアイディへの入社が決まりました」
名和さん「私の場合は、未経験で入社して実践で学んでいきました。
最初はさまざまな開発経験が積める企業で働きたかったので、SIer(システム開発や運用などを専門に請け負う企業)に転職して、現場の先輩の仕事を見よう見まねで覚えていきました。
当時は先輩の手伝いをするだけで精いっぱいでしたが、『絶対に技術力を身に付ける』という強い気持ちで仕事に取り組み、少しずつスキルアップしていきました」
川畑さん「私も名和さん同様、完全に未経験の状態でサイボウズに入社しました。
ただ、選考を受けるにあたってQAエンジニアの業務に関わる資格のテキストを読んでみたり、サイボウズで働くQAエンジニアのブログを読んだりして、仕事内容について理解を深めるようにしました。
学ぶ熱意を示せたからこそ、未経験でも採用してもらえたのかなと思います」
先輩の話が全然分からない! 「入社後の壁」の乗り越え方
ーーエンジニアデビューした後、仕事は順調でしたか? 苦労したことがあれば教えてください。
川畑さん「最初のうちは、チームメンバーの会話についていけなくて苦労しました。
ITやWebに関する専門用語が理解できなくて、先輩から『この資料を読んでおいてね』と言われてじっくり目を通しても、そこに書かれている言葉の意味すら分からないんですよ(笑)
なので、『ここが分からない、理解できない』と包み隠さず伝えて相談するように心掛けていました。
入社当時は、先輩たちにとにかくたくさん質問したことを覚えています。そうやって、分からないことを一つ一つ減らしていきました」
池端さん「私も、優秀な人に囲まれているおかげで勉強にはなったけど、話している内容を理解できないことは日常茶飯事。それがすごく悔しくて、帰りの電車でよく泣きました(笑)
でも、不思議とエンジニアを辞めようと思ったことはなかったんです。こんなに悔しいということは、『自分はそれくらいプログラミングに本気なんだな』と思ったので」
ーー池端さんは、「先輩エンジニアが話していることが理解できない」状況をどのように抜け出したのでしょうか?
池端さん「正直なところ近道はなくて、とにかく諦めずに学び続けました。
するとある日、急に『分かる』時がきて。その瞬間がうれしくて、もっともっと学びたい、分かることを増やしたいと思うようになりました。
また、新人だろうとベテランだろうと、エンジニアである以上は、技術のことを学び続けなければいけません。
ITの世界は新しい技術がどんどん出てくるので、今もたくさん勉強していますよ」
折笠さん「私も、プログラミングスクールに通ったとはいえ、現場に入ったら分からないことだらけでした。
『私がスクールで学んできたことは、基礎中の基礎だったんだ』と痛感するシーンばかり。先輩や上司の指示が理解できない、さらに言えば『何が分からないのか分からない』状態で質問すらできない状態でした(笑)
『どこが理解できないのか』を自分の中で整理して、それから周囲に相談したり、勉強したりするようにしてきました」
名和さん「私は、エンジニアになった直後、担当していたシステムに大規模な障害が発生したんです。
障害の原因がどこにあるのか全くわからなくて、泊まり込みでトラブルシュートしたけれどお手上げ状態。
すると翌日、出社してきた上司があっさり原因を究明したんですよ。あの時は自分のふがいなさを痛感しましたね。
ただ、その出来事がきっかけで『もっと理解できるようになりたい』と奮起することができました」
視聴者からの質問に回答! 面接対策、会社選びのポイントは?
ーーここからは、ウェビナーに参加している視聴者の皆さんからの質問に答えていただきます。
質問①エンジニアへのキャリアチェンジに興味があるのですが、自分には適性がないのでは、と不安です。その不安はどうすれば解消されますか?
名和さん「エンジニアの中にも、さまざまなポジションがありますよね。
私はインフラが専門分野ですが、アプリの開発やサービス画面を作るフロントエンド、川畑さんのようなQAエンジニアなど、ここにいる4人だけ見ても、それぞれやっている業務も使う言語もバラバラです。
まずはエンジニアの仕事を調べてみて、自分が面白そうだと思える分野やテーマを見つけるといいのではないでしょうか」
池端さん「そうですね。もしエンジニアの種類が多すぎて迷うようなら、『自分は何を作ってみたいのか』と考えてみるといいですよ。
ただ、私自身は適性などはあまり考えずに飛び込んでしまいました(笑)」
質問②おすすめの学習方法や資格など、学びに関するアドバイスをください
折笠さん「『自分が作りたいものを作る』ための技術を学ぶのが、モチベーションの維持にもつながるので、一番いいと思います。
私も自分が作りたいアプリの開発を想像し、それに関連するカリキュラムを職業訓練校で受講しました。
アプリ作りが楽しかったので、そのための勉強なら頑張れたんですよ。興味があること、自分が楽しいと思えることから始めてみるといいですね。
資格はあるにこしたことはないですが、必要に応じて取得したらいいのかなと思います」
池端さん「私もそう思います。自分のやりたいことを実現するために資格が必要なければ、無理して取る必要はないですね」
川畑さん「私は入社後に、ソフトウェアテストに関する資格である『JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level』を取得しました。会社から補助が出ること、1つ上の年次の先輩が取得されていたことがきっかけです。
実は入社前からテキスト自体は読んでいたのですが、ソフトウェアテストの基本を理解できたので、QAエンジニアに興味がある方には役に立つかもしれません」
名和さん「私もエンジニアになってから、知識を増やすために『MCP』と呼ばれるMicrosoft 認定資格を取得しました。
その資格の勉強をきっかけに、インフラエンジニアになりました」
折笠さん「私の会社では、AWSの資格取得が推奨されています。クラウドサービスの理解を深めるために役立ちますからね。
それと、基本情報技術者試験は幅広いIT知識が習得できる資格なので、最初に取るのに適しているかもしれません。」
質問③未経験でエンジニア採用の面接を受ける際は、何をアピールしたらいいんでしょうか?
名和さん「不安な気持ち、すごく分かります! 未経験だとアピールできるものはない、と思ってしまいますよね。
でも、まずは『なぜエンジニアになりたいのか』『エンジニアとしてどんなことを実現していきたいのか』、熱意を持って話すことが大切だと思います」
川畑さん「私も面接はとても緊張しました。今は自分が面接官をする立場になって、未経験者の方と面接でお話しする機会もあります。
そこで思うのは『エンジニアという仕事をちゃんとイメージできていること』の大切さです。
どんな仕事なのか理解した上で『なりたい』と思って面接に臨んでいる方であれば、名和さんがおっしゃる通り熱意はちゃんと届くと思います」
エンジニアの仕事はゲーム的? ロールプレイングの勇者になりきる
ーー最後に、皆さんが感じているエンジニアの仕事の醍醐味について教えてください。
折笠さん「自分の作ったシステムが、人や社会の役に立つことですね。『このシステムがあって良かった』とユーザーさんに思ってもらえる。そこにやりがいを感じます。
未経験からチャレンジすることに躊躇する人もいると思いますが、腹を括って努力して『経験者』になってしまえば、やりたい仕事も自分らしいキャリアも選べる立場になれる。
エンジニアの仕事に少しでも興味を持っているなら、一歩踏み出してみてほしいです」
名和さん「私は仕事で海外のエンジニアと接する機会があるのですが、技術のロジックはどこの国でも一緒。まさに、『技術は世界の共通語』だなと感じます。
技術の知識があれば、世界各地のエンジニアとつながり、語り合い、一緒にシステムを作っていくこともできる。それって感動的ですよね。
もしもう一回、仕事を一から選び直すことになったとしても、私はエンジニアになりたい。モノを作る喜び、出来上がったときの達成感は、本当に素晴らしいですから」
川畑さん「入社前、エンジニアは一人でパソコンに向かって黙々と作業するのかな、と思っていたんです。
でも、実際にはチームで取り組むことが多くて、コミュニケーションが非常に大切な仕事でした。それもまた、エンジニアとして働く楽しさの一つ。
みんなで力を合わせてモノづくりをしてお客様に喜んでもらえると何ものにも変えられないやりがいを感じます」
池端さん「私はゲームをするのが好きなんですが、エンジニアの仕事はロールプレイングゲームに似ていると思うんです。
エンジニアは与えられた課題に対し、試行錯誤しながら問題解決の方法を探していく仕事。
そして、課題を解決する過程で、どんどんレベルアップして強くなっていけます。
これはゲームの面白さそのもの。苦労と達成感が交互に訪れるからこそ、どんどんハマってしまうんですよね」
VBAで事務作業の自動化に挑戦! エンジニアリング体験会
本ウェビナーの後半では、トークセッションに登壇した折笠さんが在籍するワークスアイディが講師を務めるエンジニアリング体験会を実施。
2022年2月にエンジニアスクール「DX-Training」の開校を控えるワークスアイディの上席執行役員・松本竜也さんが講義とワークショップを行った。
体験会の冒頭では、「そもそも開発とは?」という基礎から、開発言語の種類、未経験者がつまずきやすいポイントなどを解説。
その後、「VBA」というプログラミング言語を用いて、Excelで自動計算の仕組みを作るワークショップに参加者全員で取り組んだ。
体験会終了後の参加者アンケートでは、「講義が分かりやすかった」「プログラミングが楽しかった」「VBAをもっと学びたいと思った」との声が多数あがった。
ワークスアイディがエンジニアスクール「DX-Training」を開校!
今回の体験会で講師を務めたワークスアイディが新設するエンジニアスクール「DX-Training」では、現在第一期の受講生を募集中。
「DX-Training」はプログラミングの知識を身に付けるだけでなく、「エンジニアとして働く」ことをゴールに据えた、女性向けの新しいスクールだ。
エンジニアデビューを目指す人は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
文/上野真理子 編集/栗原千明、秋元祐香里(ともに編集部)