設計アシスタントからレストラン企画プランナーへ
『紅虎餃子房』をはじめ、オリジナリティ溢れたレストランの展開で注目を集める際コーポレーション。
前田志智子さんが、この会社の飲食店の企画全般を担う企画立上チームで、飲食店のプランニングに携わるようになったのは6年前からだ。
「次々にオープンするので、いままで何店舗手がけたのかなんて数えたこともない」と笑う前田さん。前職は設計事務所勤務とはいえ、店舗のコンセプト考案やメニュー開発に関わった経験はなく、現職へはまったくの未経験での転身だった。
転職のきっかけは、前の会社の倒産。転職情報誌で就職先を探しているときに、際コーポレーションの求人と出会った。面接で話した社長の「来たいなら、いつからでも来て。お互いにフィーリングが合えば一緒にやりましょうよ」という言葉に魅了され、話を聞くほどに「ここで働きたい」という気持ちは高まった。気がつけば「何でもします、勉強させてください」と言っている自分がいたという。
レストランは、さまざまなプロフェッショナルの創意の結晶だ。建築家、デザイナー、料理人、店長、そしてオーナー。前田さんの仕事は、彼らの中心に立ち、それぞれの能力とアイデアを最大限に引き出して、店舗のオープンという目標に導いていくことだ。
「良い人になりすぎないよう気をつけてます。『まあいいか』と流しちゃったところは、結局あとで必ず社長に指摘されるので(笑)」
ベテランの仕事人たちに要求をぶつけるのは難しい面もあるはずだが、「皆に気持ちよく働いてもらうこと」を信条に、熱意の裏に笑顔を忘れない。繰り返される夜を徹しての打ち合わせ。妥協のない店作りを目指すほどに、肉体的にも精神的にも追い詰められる。
「強くなったと思います。たいていのことには、もう動じないですよ(笑)」
料理にこだわりを持つ同社のレストラン。「料理に関しては常に新しい知識を吸収する努力を続けています」と語る前田さんからは、妥協せず、ゲストに幸せな時間を提供することを第一に考える、レストラン作りのプロの姿勢が垣間見えた。