この秋冬のファッションは、クラシック一色に染まる気配。今までの着こなしよりもぐっと大人っぽくエレガントなムードが主流になってきます。レディーライクな装いへと、スタイリングの見直しも必要になってくるでしょうが、その際に重要なパーツとなりそうなのが、着こなしを演出する小物たちです。
グローブやスカーフなど、クラシック気分を高める小物はいろいろとありますが、とりわけ印象の強い帽子は着こなしをダイナミックに変えて、クラシックコーデを呼び込んでくれます。つばの広い女優帽や、レディー風のカクテルハット、ヨーロピアンなたたずまいのソフト帽など、レトロな雰囲気を放つ帽子をかぶるだけで、それらしい雰囲気が寄り添うから、この秋は進んで帽子を新調する価値があります。
1903年創業の老舗オーストリア帽子ブランド「MÜhlbauer(ミュールバウアー)」が手がけるハットは、多くのセレブリティーを顧客に持つことでも知られています。オノ・ヨーコ、マドンナ、メリル・ストリープ、ブラッド・ピットといった、帽子が似合う大人セレブも認める本物ブランドです。
婦人用のチロルハットからスタートし、現在も、熟練した職人によってひとつひとつ丁寧にハンドメイドで作られています。現在、ブランドを率いるクラウス・ミュールバウアー氏は4代目で、先代同様に若い頃から帽子職人となるべく訓練され、家業を受け継いだそうです。
叙情的でポエティックな世界観を秘める東京発ブランド「LyricisM(リリシズム)」のクリエイティブディレクター、佐々木真由美さんは、早くから「ミュールバウアー」の作品に魅了されていた目利きの1人。2007年秋冬コレクションからは「LyricisM by MÜhlbauer」をスタートし、「LyricisM」コレクションのスタイリングに不可欠な存在となりました。
この秋冬コレクションでは、1940年にインスパイアされた、白鷺(サギ)の羽根がポイントになったヴェールハットや、60年代ヴィンテージにフォルムの着想を得た、ミンク素材のファーハット、ミンクファーにヴィンテージの桜のモチーフを散りばめたハットがそろいます。
ヴィンテージセレクションに長けた佐々木氏と、熟達した帽子職人ミュールバウアー氏が互いに認め合ったリスペクトが見事にかたちとなりました。この秋冬に街を色づかせるクラシックファッションにぴったりの風格とノーブル感を兼ね備えた帽子をワードローブに迎えて、レディーな装いに深みを増してみて。
Feather&Veil Hat ¥47,250
Fur Hat ¥71,400
Sakura Fur Hat ¥49,350
ファッションジャーナリスト。複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤー、プレスも経験。ファッション業界の現場経験を生かして、最新コレクションやトレンド情報を多彩なメディアで発信している。
「買う側・着る側の気持ちが分かる」という消費者目線で、世の中の流れ・今を発信する、リアリティを感じさせる解説に定評がある。
宮田理江 公式ブログ :「fashion bible」