「“就職したら仕事第一”。自分を縛り付けていた固定概念から抜け出せました。」
◆社交ダンスに打ち込んだ大学時代。そして、憧れの空港へ就職。
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大学時代の4年間は毎日が部活一色。けれど当時は、就職後もダンスを続ける気はありませんでしたね。「就職したら、仕事が第一。バリバリのキャリアウーマンにならなくちゃ!」という固定観念もありましたし、何より自分の好きな仕事を見つけられたからです。空港の滑走路で、パドルを振って飛行機を誘導する「グランドハンドリング」。大学で国際系の学部に在籍していた私にとって、空港で働くことはまさに夢でした。
◆「最後の思い出」のはずが、「ずっと続けたい」に。
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そんな私が迷い始めたのは卒業直前。同じスタジオに通う別の大学の男の子から、「一緒にペアを組んでダンスの大会に出ないか?」と誘われたんです。最後の思い出づくりにいいかなと軽い気持ちでやってみたら、彼とのダンスがすごく楽しくって。ファイナルまで残ることができたことも、“このままもっとダンスを続けたい”と思うきっかけになりました。
とはいえ、その頃には入社は目の前。「これ以上はダンスを続けられない」と、話し合いの末にペアを解消したんです。実際、グランドハンドリングの仕事は積み荷の上げ下ろしのような力仕事も必要だし、夜勤もある。休日も土日とは限らない。趣味で踊る余裕もなくて、ダンスは月に2~3回、たまに練習場に通うので精一杯でした。
◆「もっとダンスを楽しみたい」というジレンマが募った毎日
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私がグランドハンドリングの仕事を離れることになったのは、その男の子から「もう一度、一緒にダンスやらない?」と声を掛けてもらったから。社交ダンスは体力も精神力も必要なスポーツ。年齢を重ねると体も思うように動かせなくなりますし、競技者として一線に立てる時間は限られている。だったら、ここでやるしかないなと。
新卒1年目で会社を辞めるリスクも、「夢の仕事」を手放すことも、かなりの勇気が必要でしたね。でも、それ以上に、自分のやりたいことにずっと蓋をして生きていく人生の方が、よっぽどリスキーに思えたんです。