「具体策」と「優先順位」を考えることが目標達成のカギ
理想の生活を実現するポイントは、いつまでに何をすればいいのかを明確にすること。そのためには、早いうちから自分の価値観を明確にし、優先順位を付けましょう。そうすれば、『子どもを2人産むことを優先して、結婚式にはお金をかけない』など、現実的な選択肢が見えてきます」(氏家さん)
すべてを手にするのは難しくても、取捨選択することで理想に近付くことができるのだ。
また、自分が何を望んでいるのか分からないという人は、「大枠の目標から決めてみるといい」と柏木さんは語る。
「20代のうちはできるだけ幅広い業務を経験し、30代では自分の専門領域を見つけてみる。40代で専門性を極め、50代のころにはその世界でプロフェッショナルになる。これが私の描いてきた大枠のキャリアビジョンなんです。また、歳を重ねると理想像も変化しますから、若いうちから軌道修正をできるような応用力を身に付けておくといいでしょう」(柏木さん)
下の図は、前ページで判明した35歳の理想像をもとに、それをかなえる「キャリア&ライフプラン」を練った一例。なりたい自分が明確な人も、そうでない人も、これを参考に自分流のプランを考えてみよう!
新入社員時代から毎年、収入の15%ずつを貯蓄した金額
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
28歳は売り手市場で採用側の期待値も高く、好条件で転職できる可能性が高い」(柏木さん)。現職が結婚・出産後に働きにくい会社の場合は、選択肢が多いこの時期に仕事と家庭を両立しやすい会社への転職を考えて。「転職に伴うリスクも考慮し、年収と同程度の額を貯蓄しておくと安心です」(氏家さん)
新婚旅行代などを含めた金額。ご祝儀を考えると出費はほぼ0に
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
結婚後は毎日遅くまで残業するのが難しくなることも考えられる。その代わり、時間内での仕事の効率を上げたり、自宅に仕事を持ち帰るなどの努力を。「退社時間を早めても、独身時代と同じ成果を上げること。長く働き続けるためにも、会社に貢献する意志があることを周囲に示す必要があります」(柏木さん)
夫婦の年収を約900万円としたとき、年収の30%を貯蓄した額
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
「この先出産をすることを考えると、できれば産休前に役職に付き、社内で一定の地位を確立しておきたいですね」(柏木さん)。肩書きはなくても、“自分にしかできない仕事”を作っておけば、会社での価値も高まる。「夫と家事の協力体制を確立するなど、生活の基盤づくりもこの時期に」(氏家さん)
出産は保険外のため出費も多いが、手当などの返金も望める
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
「ワーキングマザーは、産休中には健康保険から出産手当金が、育児休業中には雇用保険から育児休業給付金がもらえます。会社を辞めずに正社員として働くことが大事です」(氏家さん)。また、休暇中は会社の現状がつかめず不安になりがち。「職場の人とはこまめに連絡を取っておきましょう」(柏木さん)
月額6万から7万円。就業状況によって金額は変化する
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
時短制度がある企業も多いが、「キャリアと収入を考えると、できれば定時までは働いてほしい」(柏木さん)。そのためには、延長保育が可能な保育所を見つけるなど、働く環境を整えておくことが必要。「2~3歳になれば保育料も随分下がるので、働き続けたいならここが頑張りどころです」(氏家さん)
出産した人数によって手当の金額が変わることもある
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
2回目の出産で育児にも慣れてきたはずなので、休暇中も社会復帰をより意識した過ごし方を。メールや社内のイントラネットを利用して会社と連絡を密に取り、仕事の進行状況や課題を共有することは可能なはず。「次の転職の可能性をにらみ、この間にキャリアの棚卸しをしておくのもいいですよ」(柏木さん)
4000万円の物件購入の場合。購入費の20%と諸費用5%
【この時期にベストな「ワーク&ライフ」】
育休を終えて職場復帰。30代で自分の専門性を極め、一生働き続ける意志が固まったら、それを実現できる会社へ転職するという手もある。「今は企業側も、ロールモデルとなる女性を求めている。採用時にも、これまで育児と仕事を両立してきた実績がプラス材料として評価されると思いますよ」(柏木さん)
2人の子どもとマイホームを持ち仕事も頑張るワーキングマザーに
「貯蓄額800万円」のみ未達成という結果に。「これからは、共働きでどんどん稼いでいけます。2人の年収の30%を貯蓄していけば、2~3年以内に、目標の金額まで溜まるはずです」
上のグラフは、36歳以上の女性に35歳時の暮らしについて聞いたもの。「働いていた」という人の大半が正社員雇用だったのにも関わらず、年収は328.3
万円と低めに。役職付きで働いている人はまだ少ないものが現状のようだ。また、結婚、出産、マイホームに関しても、「いいえ」と答えた人が半数を超え
た。そんな中、理想の35歳の条件を全て満たしていた人は全体の6%。決して多いとはいえない数字だが、20代のうちから計画を立て、実行していけば、
必ず理想は現実になるはずだ。