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JUL/2014

土木系女子“ドボジョ”でも「長く働く」は実現できる?

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土木系女子

女性の仕事というと、事務や販売、営業などが一般的と思われがち。しかし最近では、さまざまな仕事で女性の積極活用が行われている。その一つが、男性の仕事というイメージの強い建設・土木業界。国土交通省は土木系女子・通称“ドボジョ”を増やすための取り組みを行っているが、ハードな仕事という印象が強い現場でも、女性は本当に長く働き続けることができるのか。本当のところを国土交通省で女性の更なる活躍の推進を担当する西山茂樹さんに聞いてみた。

建設業における女性の数は全体の15%
労働環境や両立支援策の未整備が原因に

「現在、建設・土木業界では、男女を問わず現場の担い手不足が高まっています。そこで国としても、人材確保および育成策として、技能者の処遇改善や教育訓練の充実強化、現場の生産性向上など6つの柱からなる、中長期の総合的な施策を策定しました。その一つに、『女性のさらなる活躍推進』を位置付け、『現場で働く女性の建設技術者や技能労働者を5年以内に現在の2倍にすることを目指す』という目標を定めています。この業界では必ずしも女性の活躍に注目してこなかったという経緯も踏まえて、国としても本格的な対策を打ちたいと考えています」

現在、建設業における女性の就業者数は全体の15%にとどまっている。同じ第2次産業の製造業が31%であることに比べると、まだまだ低い数字だ。女性が増えない理由はどこにあるのだろうか。

「現場で働く女性たちに聞くと、ほとんどの方が挙げるのが女子トイレや更衣室の問題です。『トイレが男性と共用なのは堪え難い』というわけですね。この労働環境の問題は非常に大きいと考えています。もう一つの問題は、結婚・出産・育児との両立です。建設・土木業界の現場で働く人たちは、勤務時間が長くなりがちな傾向にあります。特に地方の場合は現場が遠いことも多く、集合場所から車で2時間近くかかる現場も珍しくない。朝8時の朝礼に間に合うには5時に家を出なくてはいけないとなると、保育園への送り迎えさえ難しくなってしまいます。それに、技能者は手に職を付けた方たちですから、出産や育児でしばらく現場を離れると腕が落ちてしまうのではないか、復帰しても仕事をちゃんとこなせないのではないか、という女性自身の不安の声もあります」

女性のコミュニケーション能力や調整能力は
建設現場で高く評価されている

では、こうした課題をどのようにクリアしていくのか。国土交通省でも民間と連携しながら具体的な施策の取りまとめを進め、8月中には行政と業界が協力し、行動計画「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定する方針だ。例えば労働環境の改善については、国が公共工事を発注する際に、必要に応じて女性用トイレや更衣室の設置について積算上配慮することを検討中。国交省の直轄工事で女性の登用を促すモデル工事も試行している。

「女性の就業を促すという意味では、女性活用に積極的な企業の情報を発信することも重要です。業界全体として機運の盛り上がりはあっても、実際に女性を採用するかどうかについては、建設会社によって温度差があります。その中で女性が気持ちよく働くためには、女性の登用に前向きな企業の情報を広く公開したり、子育て支援を進めている会社をモデル企業として水平展開するなどして、働く意欲のある女性とマッチングすることが必要だと考えています」

ところで、女性たちの多くは「建築・土木業は男性社会だから、女性であることがハンデになるのでは?」と考えがちだ。その点、実際はどうなのだろうか。西山さんによれば、「実は女性であることがメリットになることも多い」という。

「建設業の現場では、さまざまな立場や職種の人が出入りします。男性ばかりだと、ともすれば人間関係がギスギスしがちですが、女性が加わることで潤滑油となり、現場が明るく円滑に回るようになったという声をよく聞きます。女性はコミュニケーション能力が高く、周囲の人とネットワークを構築して仕事を進めるのが得意なので、段取りや調整に長けていると男性たちからも高く評価されていますよ。工程間のネットワークが重視される建設業に必要な能力に長けているのです。また、造園業やリフォーム業なら、女性ならではのデザインセンスや生活者視点を活かした提案をすることもできます。例えばキッチンのリフォームなら、よく料理をする女性のほうが、お客様のニーズに応えやすいですよね。女性特有の感性や物の見方が活きる場面は、皆さんが考える以上に多いのです」

本当に重労働なのは一部の職種だけ
技術や能力さえあれば体力面でも不利にならない

また、「体力面では女性が不利」というのも職種によって実情は異なる。建設・土木現場の職種は多岐に渡るため、技術や能力があれば、腕力は問われない仕事もたくさんあるからだ。一見すると重労働に思える鉄筋躯体の組み立ても、工具を用いて鉄筋を針金で留める作業では女性の技術労働者も活躍できる。内装業や電気設備関係、塗装業や造園業なども比較的女性の活躍のチャンスが多い。

「ともすると男性中心で前近代的なイメージを持たれやすい建設・土木業ですが、実は女性が活躍できる産業です。建物を造り、橋や道路を造り、街を造るというとても知的で高度な産業であり、きわめて高い社会的使命を負った仕事でもあります。建設とは創造であり社会・経済の進歩発展の礎である、その魅力を広く正しく伝えることが私たちの役目であり、この業界で活躍する女性を増やすことにつながると考えています。今後は進学や就職といった進路選択を控えた高校生や大学生に向けたPRも行っていく予定です。女性が現場に入ってくださることで、産業全体に新しい活力や刺激が生まれます。女性が増えれば、現場の環境や仕事の進め方を変える推進力になるのです。国としても、業界全体を活性化する原動力になってくれることを期待しています」

女性が活躍できる仕事は広がりつつある。国が女性活用推進に本腰を入れ始めた今だからこそ、女性の側も思い込みや偏見を取り払って、広い視野で自分が活躍できるフィールドを探してみてはいかがだろうか。

お話を伺った方
国土交通省 建設業課 建設業政策調整官
西山茂樹さん
平成12年建設省入省。都市計画や道路行政などに関わり、7月から現職。建設業における中長期的な人材確保対策や女性の更なる活躍の促進等を担当している

取材・文/塚田有香

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