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MAY/2020

社会現象を起こす『鬼滅の刃』の魅力を徹底解説!「コロナ禍にこそ、働く女性に読んでほしい」とキャリア心理学者が推す理由

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10代〜20代を中心に、幅広い年代から絶大な支持を集めている漫画『鬼滅の刃』(集英社)。『週刊少年ジャンプ』で2016年から連載がスタートし、2019年4月にテレビアニメ版の放送がスタート。

出版不況と言われる中で、今年5月13日に発売されたコミック最新刊(20巻)は、初版280万部、シリーズ累計発行部数が6000万部(電子版含む)を突破している。少年漫画ながら女性ファンも多く、まさに「社会現象」と呼ぶにふさわしい人気ぶりだ。

キャリア心理学を専門としている大東文化大学社会学部助教の井島由佳さんは、「コロナ禍、不安を抱えている人、理不尽なことに苦しんでいる人にこそ、この漫画を読んでほしい」と話す。それは一体なぜなのだろうか。

『鬼滅の刃』の魅力や、社会現象を巻き起こしている理由とあわせて井島さんに聞いた。

井島由佳

大東文化大学社会学部助教
井島由佳さん

大東文化大学社会学部社会学科助教。心理・キャリアカウンセラー。1970年東京生まれ。東京家政大学大学院家政学研究科人間生活学専攻修了。博士(学術)。専門は教育心理学、キャリア心理学。CDA、産業カウンセラー。ライフキャリアと漫画に関する研究を行う。キャリアデザイン、チームビルディング、メンタルヘルスなどの専門家。自治体や企業等で研修講師を務める。学校教育において、キャリアデザインに関するテキスト作成と教員研修、キャリアカウンセラー養成講座を長年担当。大学のキャリアセンター長として、学生の就職支援も行う。また、キャリアデザイン授業のプログラムも開発している。漫画を使った講義・研修・セミナーが人気。最新著に 『「鬼滅の刃」流強い自分のつくり方』(アスコム)

鬼との壮絶な戦いの中で描かれる
家族愛、成長、死、人生の選択

まず、『鬼滅の刃』をまだ読んだことがない方に向けて、簡単に概要を説明しますね。

『鬼滅の刃』は『週刊少年ジャンプ』で連載されている、吾峠呼世晴先生の剣戟漫画です。物語の核となるのは、鬼との戦いを通して人間的な成長を遂げていく主人公の少年、炭治郎とその仲間たちの姿。

舞台は大正時代の日本。炭を売る心優しき炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変し、唯一生き残ったものの鬼へと変異してしまった妹・禰豆子を元に戻すため、二人は旅立ちます。

炭治郎や鬼殺隊(※1)のリーダーである「柱」(※2)たちの生き様と、鬼となった者の生き様、家族愛と成長と死。これらが鬼との壮絶な戦いの中でしっかりと描かれており、骨太の作品となっています。

(※1)鬼を狩る力を有した剣士たちによる組織
(※2)「鬼殺隊」において、最高位に立つ精鋭剣士のこと

個性豊かなキャラクターの中に、必ず「推し」が見つかる

いま、『鬼滅の刃』の人気は、とどまるところをしりません。コミックは異例の発行部数、関連グッズは即座に完売という状況が続いています。きっと、漫画やアニメを見たことがない方でも、『鬼滅の刃』が売れているという話題を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

では、どうして『鬼滅の刃』は社会現象になったのか。そして、少年漫画であるにもかかわらず、20代女性の心をも掴んだのか。

その理由は、言葉にするとシンプルですが、原作漫画が非常に良質で面白い作品であること。そして、魅力的なキャラクターが数多く登場することが大きいと思います。

『鬼滅の刃』に登場するキャラクターは皆、個性がはっきりしています。また、その個性が育まれたバックグラウンドもしっかり描かれており、それぞれの人、鬼にも感情移入できる構造になっています。それが、スピード感を持って展開されていくのです。

主人公である炭治郎は家族思いで素直。性格に裏表がなく、優しさ、慈悲の心、強い正義感を持っており、努力家。天然ながら、どんな苦難にもあきらめずに立ち向かう少年です。

また、炭治郎の仲間である我妻善逸(あがつまぜんいつ)はヘタレ系、嘴平伊之助(はしびらいのすけ)は度が過ぎるほどの猪突猛進タイプ、鬼殺隊で柱を務める冨岡義勇(とみおかぎゆう)は寡黙で天然、煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)の熱血キャラ、宇髄天元(うずいてんげん)のイケメン破天荒、それぞれのキャラクターの違いがかなり明確です。

女性に人気のある少年漫画といえば、『テニスの王子様』や『黒子のバスケ』、『ハイキュー!!』、王道の『ONE PIECE』や『NARUTO』などが思い浮かぶと思いますが、いずれも「自分好み」の推しキャラを選べるところは共通しているのではないでしょうか。

2019年にアニメ化されたことによって、一気にファン層を広げた『鬼滅の刃』。キャラクターの声や動き、衣装、セリフの言い回しなど、女性にとっての「萌え要素」がたくさんあります。

明快なストーリー、緊張とゆるみの繰り返しによるメリハリ

本作のストーリーの中枢は「鬼を倒す」の一言に尽きます。例外はありますが、鬼殺隊に所属する隊士のほとんどが、鬼に家族を殺されたり、家族が鬼にされたりという過去を持っています。

鬼を倒し、人が殺されないようにしたい。家族がバラバラになるような悲しい出来事がないようにしたい。そういう強い思いを全員が抱いています。

登場人物の「目標」も、「悪は誰なのか」も明確で分かりやすいのが特徴です。しかし、そこに「鬼の過去」というアクセントもあります。鬼は元々、人間だったのです。

理不尽な思いをしたり、不条理なことにぶつかったりしたことで、鬼となることを受入れた人たちの過去が描かれることで、鬼にも感情移入していきます。

次いで、「死」と隣り合わせの緊張感も本作の魅力。生と死の狭間に、時々ゆるい雰囲気が加わり、ほっこりします。そして、矢継ぎ早にまた死の恐怖が迫るーー。このメリハリ感が読者を飽きさせず、惹き込んでいくポイントでしょう。

人気少年漫画の「お決まり」は、キャラクターがどんどん強くなり、逆境を克服して成長し、信念を貫き、仲間と友情を深めて勝利を手にしていく……というものです。

『鬼滅の刃』にもこの王道ストーリーはありますが、それに加えて、「家族愛」と「慈悲」、「死」というテーマも中心にあります。こうした「ドラマ」要素が、多くの女性ファンを惹きつけているのでしょう。

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