「やりがいはあるけど一生は続けられない」“燃え尽き”を防いで長く働くための三つの視点【ジコリカイCEO阿部和也】
20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します
今回寄せられたのは、「今の働き方を一生続けられる自信がない」という女性のお悩み。
仕事にやりがいはあるけれど、毎日終電帰りで休日も仕事モード……。「今は若さと体力でなんとかなっているけれど、30代、40代になっても続けられるの?」と不安を感じている人は多いはずです。
そこで今回答えてくれたのは、「自己理解」のメソッドでキャリア支援を行う株式会社ジコリカイ取締役CEOの阿部和也さん。
仕事のやりがいと、長期的な心身の健康を両立できる「サステナブルな働き方」を見つけるヒントを教えてもらいました。
株式会社ジコリカイ 取締役CEO 阿部和也さん
早稲田大学政治経済学部卒業後、ユニリーバ・ジャパンで営業・営業企画に従事。マースジャパンでファイナンス職を経験後、人の成長に関心を持ちグロービスへ転職。その経験を経て再びマースで事業推進に従事。転職後のミスマッチと子どもの誕生を機に、自己理解の重要性を実感。株式会社ジコリカイとビジョンが重なり2023年に入社、25年より取締役CEOに就任。「自己理解が当たり前の社会」の実現を目指す。
お悩み:今の仕事は好きだけど、この働き方を一生続ける自信がない
今の仕事は裁量も大きくやりがいがありますが、毎日遅くまで働き、休日も仕事のことを考えています。
20代の今は体力で乗り切れていますが、この働き方をずっと続けていくことは想像できません。
仕事のやりがいと、長期的な心身の健康を両立できるような働き方を見つけるには、どうすればいいのでしょうか?
「やりがい」と「続けられる働き方」は、どちらかを諦めるものではない
「やりがいはあるのに、このペースで一生続けられる気がしない」
そう感じるのは、単なる体力の問題ではなく、自分の生き方と働き方のバランスがずれてきたサインかもしれません。
やりがいを感じる仕事ほど、つい期待に応えようとして、自分の休息や余白を後回しにしてしまいます。
でも本来、仕事は人生全体の一部にすぎません。健康、家族、学び、趣味など、他の領域の充実があってこそ、仕事のやりがいも長く続いていくものです。
大切なのは、“頑張る量”を減らすことではなく、“頑張り方の質”を変えること。
そのためには、自分にとって「頑張れる理由(=価値観)」と「自然にできるやり方(=才能)」を理解することが欠かせません。
さらに、仕事以外の領域を見つめ直すことで、“自分らしく続けられる働き方”の輪郭が見えてきます。
無理なく続けられる働き方を見つける三つのステップ
もし今、「やりがいはあるけれど、この働き方を続ける自信がない」と感じているなら、頑張り方の“量”ではなく“方向”を見直すタイミングです。
ここでは、燃え尽きずに成果を出し続けるための三つのステップを紹介します。
ステップ1:何にやりがいを感じているのか?― 価値観を棚卸しする
まずは、仕事の中で「心からやりがいを感じた瞬間」を思い出してみましょう。どんな場面で、どんな気持ちになっていましたか?
例えば、次のようなケースでも「やりがいの源泉(価値観)」は全く異なります。
気持ち:自分の努力が誰かの笑顔につながった実感があった
→大事にしている価値観:「努力」「達成」など
気持ち:自然体のまま認めてもらえた安心感があった
→大事にしている価値観:「自律」「調和」「ありのまま」など
このように、やりがいの裏には「自分が大切にしたい価値観」が必ず存在します。
それらを明確にすることで、「私は何のために頑張りたいのか」という目的がクリアになり、無駄な迷いが減っていきます。
ステップ2:自分の得意を見つめ、発揮できているかを棚卸しする
次に、自分の才能を整理してみましょう。才能とは「意識せずに自然とできてしまう行動や思考パターン」の中に隠れています。
例えば、以下のような「動詞」があなたの才能の表れです。
・複雑な情報を整理する
・相手の気持ちを察する
・新しい仕組みを考える
・チームの意見をまとめる
・混乱した状況で落ち着かせる
この才能が、今の仕事の中でどれくらい発揮できているかを見てみましょう。
たとえば、「(時間をとって)整理する」ことが得意なのに常に突発対応に追われていたり、「チームをまとめる」ことが得意なのに個人業務ばかりを任されていたりすると、本来の力が十分に活かせず、疲労感が増していきます。
逆に、才能が活きているときは、集中が途切れず、自然と周囲に良い影響を与えているはずです。
「どんな場面で自然に力を出せているか?」「逆に、どんな状況だと力を封じられているか?」を照らし合わせることで、“疲弊の原因”が見えてきます。
もし才能が発揮できていない環境があるなら、すべてを自分で抱え込む必要はありません。
以下の三つの代替策を整えることで、無理なく続けられる働き方に近づいていきます。
1.他の自分の才能で補う
2.得意な他者に任せる
3.仕組み(ツールやルール)でカバーする
ステップ3:仕事以外の領域にも目を向け、理想の人生を描いてみる
最後に、「バランスホイール」という考え方を使って人生全体を見渡してみましょう。
仕事・健康・家族・友人・お金・学び・趣味・社会貢献など、人生を構成する8つの領域に分けて、「今の自分はどんな状態か?」「本当はどうありたいか?」を書き出してみるのです。
まずは現状の点検から始めます。
「仕事に没頭しすぎて健康が後回しになっている」「家族や友人との時間が減っている」「趣味や学びの時間を取れていない」といった今のバランスの偏りに気付くことが第一歩です。
さらに、その先に理想の輪を描いてみましょう。
「週に一度は自然に触れる時間をもち、自分を省みる時間を取りたい」
「毎日30分は読書をして、将来に役立つ知識を学び続けたい」
「同じ志を持つ仲間と月に1回、地域活性化に向けた活動をしたい」
こうした小さな理想を描くことで、仕事中心の視点から、“人生全体を整える視点”へと切り替わっていきます。
仕事は、人生を支える大切な一部であって、すべてではありません。
やりがいを長く続けるためには、自分が心地よく生きられる輪の中心に立つことが欠かせないのです。その輪が整っていくほど、仕事にも自然とエネルギーが循環していきます。
「このままじゃ続かない」は、再スタートのサイン
「続けられる働き方」は、我慢の結果ではなく、自分との整合性の積み重ねです。
才能で“どう頑張るか”を最適化する
バランスホイールで“どんな生き方を目指すか”を描く
この三つの視点がそろったとき、やりがいと健やかさは自然に両立していきます。
「頑張りたいのに、続ける自信がない」という今の悩みは、実はあなたが自分の人生を真剣に見つめ始めた証拠です。その違和感は、心と体が「このままではあなたらしくいられないよ」と教えてくれているサイン。
だからこそ、立ち止まることは弱さではなく、これからの未来をつくる力です。
これからは、仕事だけでなく、健康・家族・学び・趣味といった“人生の輪”全体を見直してみてください。
その輪の真ん中に、自分の価値観と才能を置けたとき、働く意味も、頑張り方も、きっと変わっていきます。
「やりがい」と「健やかさ」は、対立するものではなく、支え合う関係にできます。そして、その最初の一歩は“自分を知ること”から始まります。
働き方を変えるには、“自分を知る対話”が必要
ここまでのステップを実践するだけでも、働き方は確実に変わっていきます。ただし実際には、一人で整理しきるのは簡単ではありません。
なぜなら、価値観や才能といった「自分らしさの核心」は、あまりにも当たり前の行動や思考の中に隠れていて、自分では気付きにくいからです。
だからこそ、伴走してくれる存在がいることで、自分では見落としていたものが言語化されていきます。コーチとの対話を通じて、あなたの働き方の軸がより鮮明になるのです。
もし一人で整理しきれないと感じたら、ぜひ私たちの自己理解プログラムを検討してみてください。「大事・得意・好き」をもとに、自分らしいキャリアや働き方を再設計する3ヶ月間のコーチングプログラムです。
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