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DEC/2017

「私なんて」っていつまで言うつもり? 自分で自分を拷問するのは今すぐやめましょう 【ジェーン・スー】

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2017年11月28日、雑誌『AERA』主催の働く女性を応援するプロジェクト「ワーキングウーマンのための“新ライフマネジメント論”」が開催された。特別講演は、作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストなど、幅広く活躍するジェーン・スーさん。「人生は臨機応変!」と題した講演の一部を紹介しよう。

「有限のリソース×不確定な未来=不安」
私たちは適度な記憶喪失になっておく必要がある

ジェーン・スー
ジェーン・スーさん
1973年、東京生まれ東京育ちの日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。音楽クリエイター集団 agehaspringsでの作詞家としての活動に加え、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』でパーソナリティーを務める。著書に『今夜もカネで解決だ』(朝日新聞出版)、『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫、第31回講談社エッセイ賞受賞)など多数

今回のテーマは、「人生は臨機応変」。

結婚してる・してない、仕事してる・してない、子供いる・いない。最低でも私たち女性が置かれている状況は、8パターンあるんですよ。さらにそこに介護があったりする。そうなるともう、隣の芝生が何色なのかも分からない。一人一人の置かれている状況があまりにも違うからです。時代はどんどん変わっていて、ロールモデルなんかいやしない。

時間、体力、集中力。忘れがちですが、これらのリソースは有限です。ここをまず気に留めておいてください。誰にとっても1日は24時間で、パフォーマンスをする時間にはそこまで差がない。体力、これはまずいですよ。びっくりしたんですよ、これが老化か! って。今まで言っていた「老けた」「しわが」「背中の肉が」なんて寝言の範疇ですよ。40半ばになりましたら、やる気はあるのに目が閉店。視点が合わなくなって、頭痛になり、涙は出てないのに画面がにじむ。しかもそれが18時半ぐらいに来ちゃうんですよ。定時じゃないですか(笑)。

体力と関係しているのが集中力。これがもう全然ダメ。やる気はあるけど、気がつけば同じところを何度も読んでいる。ペンを取りに行き、消しゴムを置いて戻って、「あれ、私は今なんでここにいるんだっけ?」っていう。

そして未来は不確定です。リソースは有限で、未来が不確定。これを掛け合わせたら不安でしかないんですよざわざわとした気持ちになるのは当たり前。デフォルトだと思っていただきたいんです。既存の働き方は終焉を迎え、頼んでもいないのに寿命が延びました。何かし損ねているわけじゃなく、お手本がいないんですよ。

だから「今までこれでうまくいった」とか「うちの親はこれで成功した」とか、 そういうのに縛られるといろいろなものから取り残されていっちゃうんじゃないかなと思います。ご存知の通りテクノロジーが物凄いスピードで進化していて、個人のファイナンシャルとテクノロジーが繋がっていく中で、法律の整備が間に合わないって話があるじゃないですか。法律が間に合ってないのに私たち自身が間に合うわけがない。

とにかく臨機応変に、状況の変化とともに自分の生き方を変えていかなきゃいけない。適度な記憶喪失になっていく必要があると思うんです。既にもうなっているところもありますけど(笑)

モチベーション、なくてもよくない?
将来必要なものが分からないなら、取捨選択をするしかない

参加者の皆さんからいただいた質問、相談内容を見ていて、だいたい傾向があることに気づいたんです。

・時間がない
・モチベーションが足りない
・やりたいことが分からない
・バランスが取れない
・優先順位がつけられない
・キャリアアップと家族の両立ができない

共通しているのは「足りない」っていうこと。

ジェーン・スー
興味津々でスーさんの話を聞く女性たち。

「モチベーションが足りない」は皆さん真面目過ぎですね。モチベーション、別になくてもよくない? 本当に必要かっていうのはよく考えた方がいいと思います。朝活を否定するわけじゃないですが、サークルとか、“やった気にさせる”パッケージは世の中にゴロゴロ売っている。 ここにお金を払うだけだと、儲かるのは“奴ら”です。こっちは虚無ですよ。向上心は持ち過ぎない方がいいんじゃないかと思います。

もう一つ気づいたのが、これは今に始まったことじゃないってこと。私たち、 10代から同じことに悩んでいる気がする。「モチベーションがない」「やりたいことがない」って、つまりいつの時代にもそう簡単には解決できないことなんですよね。だからこのくらいの悩みがあるのはむしろ健やかだと思います。

老後の不安に関する質問も多かったです。私も友達と2時間ぐらいLINEします。最終的に「何とかなるでしょ」って終わるんですけど。

老後に必要なお金って計算したことあります? ぞっとしますよ。私たち、90歳過ぎまで生きるらしいんです。65歳で定年退職したとしたら、残り25年。年間300万円必要だとしたら、普通一人の人が生きていくのに必要な額は7500万円です。

ただ、これも不確かなんですよ。ハイパーインフレが起きたら貯金があってもおしまいだし、投資を分散したとしても確定はできない。

カーナビを思い出してください。目的地を入れると到着時間が出るんですけど、車が動くたびにその時間がジャンジャン変わりますよね。現在の状況ではこの到着時間だけど、渋滞や事故といった外的要因で変わる。機械の限界がそこなのであれば、私たちの未来に対する予想なんて、競馬の予想と変わらない。

多分私たちは70歳過ぎまで働くことになるでしょう。将来何が必要なのかが分からないことを考えると、その都度取捨選択をしていくしかない。

会社員の時に3回転職しました。その度に「異業種で新しいことを学ぶから年収を下げてもOK」とか「同じ業界だからギャラ交渉頑張ろう」とか、得るものと捨てるものを明確にしてきました。これは功を奏していると思います。

今の仕事に関しては、正直やろうと思っていたことじゃないんです。ただ、信用できる人が「やってみなよ」って言ったことを全部信じてみた。興味がなかったりできると思わなかったりしたことでも、一応やってみたら意外とできたんですよ。ただし、信用できない人が言う「やってみなよ」はだいたい敗戦処理ですから手を出さないように

“Forty is new twenty”
人生100年時代の40歳は、夕方に目が見えなくなる20歳である

『LIFE SHIFT』っていう本にハッとした一文があって、ここまで長生きになってくると、年齢とステージが一致しなくなっていくんですって。新しいことを50歳くらいで始めないと暇になっちゃうわけですよ。そうすると「85歳でまだ店に立つおばあちゃん」とか「70歳で大学に入り直したおじいちゃん」みたいな話題がニュースソースじゃなくなる。これはすごくありがたいこと。

「こんな歳にもなって」っていう価値観に縛られて、私たちはいろいろなものを遠慮してきたと思うんですけど、それがなくなっていく。つまり幸せの形が変わってくるわけじゃないですか。私たちにやるべきことがあるとしたら、幸せの形が多様になっていくことを推し進めていくことだけだと思うんですよ。

今、“お仕着せの幸せ”から9割9分の人が外れている。仕事が充実していて、自分の生活があって、旦那さんは家事に協力的でお子さんは優秀。そして家がキレイ。そんな人何人いるんだって話でしょ? これを幸せって言われちゃったらこれこそ無理ゲーってやつだし。多様性を浸透させていくことが、結果的に自分の首を絞めないことになる

あとは大人になる必要がなくなりました。なぜならば大人はもっと先だから。「40歳にもなってなんて子供っぽいことで悩んでるんだろう……」。それでオッケーです! 我々にはあと40年以上あるんです。つまり冗談でも強がりでもなく、“Forty is new twenty”なんです。40歳は新しい20歳ですよ。

これ、全然テンション上がる話じゃないですからね。夕方に目が見えなくなる20歳ですから(笑)。しかし知恵と経験を身につけた20歳でもあるわけです。

新しい20代として、やるべきことよりもやりたいこと、得意なことのリストを作ってほしいんですよ。To do リストばっかり作ってるでしょ? あと、女の人が「私なんかにはできないから」って言うの、片っ端から頭をハリセンで叩いていきたいぐらい「何を言っているんだ!」ですよ。できるよ!

もう一度言います。今40歳だったとしても、最低でもあと40年は生きていかなきゃいけないんです。下手したら、50年、60年。まだまだ折り返し地点ですよ? こんな長い時間を「できない」って言いながら生きるなんて、そんなの超拷問。得意なことをリストにして、できないことをやめた方が結果楽です。人生は長いっていうか、死ねなくなっちゃったんで、チャレンジはいつでもできる。

それに得意なことを見つけることは自分の単価を上げることに直結します得意なことを見つけたいなら、まずは他人を信用してください。あなたが信頼している他人が言う「あなたの得意なこと」は、世間で高い値がつくものだと思います。それを強みととらえて、仕事にしていきましょう。

「キラキラしてる=幸せ」はやめましょう。これ以上頑張るのは無理!

ジェーン・スー
そもそも私たちは頑張っている。そして疲れている。偉いと思うんですよ。私も毎日ヘトヘトです。今精一杯だと思うんですよ、皆さん。誰一人サボっている人はいないと思うんです。

「活力的にならなければイキイキと生きているとは言えない」っていう錯覚をまず捨てましょうよ。F-1レーサーのピットインみたいな生活をしているじゃないですか。時短は楽しいし、ライフハックもいいけど、やり過ぎると「車が入ってきました!2分で出します!」っていう、この精度を上げていくだけになる。これがやりたかったことか?って思い返してください。

損と無駄がない方が賢く見えるけど、賢さを追求すると孤独に近づいていくんですよね。損や無駄や非効率を敵視していると、コミュニケーションがどんどんなくなっていく。

とにかく、これ以上出来を良くするのは無理! だってもう一生懸命やっているんだから。

「まぁいっか」の精神を持ちましょう。いとこの一番好きな言葉なんですけど、 彼女は人に対する期待値をどんどん下げて「まぁいっか」って言ってたら、人生がだいぶ楽になったそうです。これはサラリーマンの時にやっておけばよかったなと思います。

仕事の精度を上げようとすると「なんでここをツメないんだ!」って人を許せなくなっていく。ただ少し距離を置いて見てみると、頑張っても頑張んなくても給料は一緒だから、別にそれでいいっていう人達はいるんですね。問題に手を出しても「手出し手当」はつかないんで。

自分がやっている仕事と自分自身を同一化しないでください。うまくいかなかった時に、すごくつらくなるから。もう少しサラリーマンの時にふわっと仕事をしておけばよかったなと思います。イライラする時間で他のことをすればよかった。

あとは人的セーフティネットをつくりましょう。結婚していても子供がいても、旦那が先に死ぬかもしれないし、子供は独立して海外で暮らすかもしれない。女友達は唯一元本割れしない資産だと私は思っています

そして、新しいものを毛嫌いしないように。『Ok,Google』なんて恥ずかしくて言えなくない!? でも、新しいものを取り入れた方が確実に世の中との接点は広がります。テクノロジーとコミュニケーションがセットになってきている以上、これからはなおさらそうです。

最後に、キラキラしようとしないこと。キラキラしようとすると、相当の摩擦熱が私たちを襲います。「キラキラしてるね」って言われるのはいいんですけど、「キラキラしてる=幸せ」ではない。疲れます。夕方に顔がくすんだっていいんです。夕方には顔がくすむし、目も見えない。でも、それが「新しい20代」ということで、これからも臨機応変にやっていきましょうよ。

取材・文/天野夏海 撮影/栗原千明(編集部)

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