第117回
働く意識、20年前と今
20年前と今を比較してみました。
2025.11.18
アンケート実施期間/2025年10月6日~10月16日 有効回答数/306名
調査方法/女の転職type会員に対してWeb上で調査
今回は女の転職type20周年を記念して、働く女性の意識や環境が20年前※から、どのくらい変化したのかを調査しました。20年前に行われた調査を参考に設問を設定しているため、一部時代にそぐわない表現を使用している箇所もございます。あらかじめご了承ください。また、回答者の属性は20年前のデータと大幅に異ならないよう、近い属性へアンケートを行っています。
今回の調査でわかったこと
●理想の年収1位は「400~500万円未満」で、20年前から大幅に増加
●「子どもができたら退職し、大きくなったら再び職業を持つ」は、20年で3分の1に減少
●職場で性別による格差が「ある」と感じたことがある人は、20年前から約20%増加
●20年前も今も、転職したい理由1位は「賃金が低い」
●生き方を参考にしたい人は「黒木瞳さん」→「ジェーン・スーさん」「高市早苗さん」
●「家事・育児ともにパートナーと分担する」は20年前から30%増加
今回の調査では、働く女性の意識について、20年前と比較して調査しました。
昨年の年収は、2025年では「200~300万円未満」が最も多く、「300~400万円未満」が続きました。20年前は「200~300万円」が最も多く、「100万円未満」が続きました。理想の年収では、2025年も20年前も「400〜500万円未満」が1位でしたが、300万円未満を理想とする回答は20年前の28.8%から、2025年には7.5%まで減少しました。反対に、「300万円以上500万円未満」を理想とする人は、20年前の33.9%から2025年には65.4%へと大きく上昇しました。
ライフステージが変化した後の理想の働き方は、2025年・20年前ともに「子どもができたら産休をとりつつ、職業を持ち続ける」が最多でした。「退職し、大きくなったら再就職」という回答は20年前の29.9%から2025年には10.6%へと大幅に減少しましたが、「わからない」は5.5%から12.2%へと約2倍に増加しました。
職場で性別による格差を感じたことがある人は91.2%で、20年前の70.1%から20%近く増加しました。格差の内容は、2025年は1位「子育てのハンデ」、2位「家事のハンデ」でしたが、20年前は1位「給与・ボーナス」、2位「昇進・昇格」でした。「採用」「配属」「福利厚生」などでの格差を感じる割合は、20年前と比較して減少しました。
転職したい理由の1位は、2025年・20年前ともに「賃金が低い」でしたが、2025年(65.7%)は20年前(41.9%)より割合が増加しました。「通勤時間が短い仕事につきたい」は20年前の9.7%から2025年には33.3%へと大幅に増えました。転職経験者が妥協した条件は、2025年・20年前ともに「給与・ボーナス」が最多でした。
生き方を参考にしたい女性については、2025年は自身の考えを発信している「ジェーン・スーさん」「高市早苗さん」が同率1位にあげられました。パートナーを持つ場合の役割分担では、「家事・育児ともにパートナーと分担する」という回答が20年前の41.0%から2025年には69.4%へと30%近く増加し、「自分は家事・育児を中心にし、仕事は家計の補助程度」の回答は20.5%へと減少しました。
Q.1昨年の年収と理想の年収は?
昨年の年収について聞いたところ、2025年は1位「200~300万円未満」30.1%、2位「300~400万円未満」24.5%でした。20年前は1位「200~300万円未満」22.3%、2位「100万円未満」20.8%です。
この20年で女性の就業率が10%以上増加していることやM字カーブが解消されつつあるなど、女性の働き方が変わってきていることを踏まえると、この差はその変化を裏付けていると考えられます。
続いて理想の年収を聞いたところ、2025年は1位「400〜500万円未満」36.6%、2位「300〜400万円未満」28.8%、3位「500〜700万円未満」16.3%でした。20年前は1位「400〜500万円未満」17.0%、2位「300〜400万円未満」16.9%、3位「500〜700万円未満」15.8%で、20年前から順位に変動はありませんでした。
しかし、20年前は「100万円未満」6.3%、「100~200万円未満」9.7%、「200~300万円未満」12.8%と、300万円未満の人が28.8%だったのに対し、2025年は「100万円未満」0.3%、「100~200万円未満」2.3%、「200~300万円未満」4.9%と、300万円未満の人は7.5%にとどまります。
逆に、20年前は「300~400万円未満」16.9%、「400~500万円未満」17.0%の合計が33.9%だったのに対し、2025年では「300~400万円未満」28.8%、「400~500万円未満」36.6%と合計が65.4%に大きく上昇しています。この20年で働く女性の理想の年収は上昇傾向にあることがわかります。
Q.2ライフステージが変わった後の理想の働き方は?
結婚・出産後の理想の働き方を聞いたところ、2025年も20年前も「子どもができたら産休をとりつつ、職業を持ち続ける」が最多でした。「子どもができたら退職し、大きくなったら再び職業を持つ」は、20年前29.9%から2025年10.6%と、大幅に割合を減らしました。また、「わからない」と回答した人は、20年前5.5%から2025年12.2%と、約2倍になっています。
Q.3職場で性別による格差を感じたことはある?
職場で性別による格差を感じたことはあるか聞いたところ、2025年は「ある」91.2%、「ない」8.8%でした。20年前は「ある」70.1%、「ない」29.9%だったので、「ある」と回答した人が20%近く増えています。
Q.4どんな格差を感じた?
Q.3で「格差を感じたことがある」と回答した人に、その内容を聞いたところ、2025年は1位「子育てのハンデ」63.1%、2位「家事のハンデ」61.3%、3位「昇進・昇格」57.7%でした。20年前は1位「給与・ボーナス」63.1%、2位「昇進・昇格」60.0%、3位「家事のハンデ」56.1%です。
20年前と比較して大幅に減少した回答は、「採用」20年前 37.8%→2025年 29.0%、「配属」20年前 34.8%→2025年 23.7%、「福利厚生」20年前 20.5%→2025年 9.7%でした。
Q.5転職したいと思った理由は?
転職したいと思ったことがある人に、その理由を聞いたところ、2025年は1位「賃金が低い」65.7%、2位「職場の人間関係がよくない」44.2%、3位「仕事内容が合わない」35.6%でした。
20年前の回答では、1位「賃金が低い」41.9%、2位「家庭などと両立しやすい仕事につきたい」27.0%、3位「仕事内容が合わない」23.7%で、一部の順位に変更がありました。
「通勤時間が短い仕事につきたい」と回答した人の割合は20年前は9.7%でしたが、2025年は33.3%で大幅に増加しており、リモートワークの人気を伺わせます。
Q.6転職した時、妥協した条件は?
転職したことがある人に転職した時に妥協した条件を聞いたところ、2025年も20年前も「給与・ボーナス」が最多で、半数程度の人が回答しました。2位と3位はそれぞれ、2025年は「正社員雇用」と「通勤事情」、20年前は「労働時間・休日」と「正社員雇用」でした。
Q.7生き方を参考にしたい働く女性は?
生き方を参考にしたい人の具体的な名前を聞いたところ、2025年は同率1位「ジェーン・スーさん」「高市早苗さん」、2位「天海祐希さん」、3位「北川景子さん」があげられました。自分の考えをしっかりと持っていて、それを世の中に発信している女性の名前が多くあげられていました。
20年前は、1位「黒木瞳さん」、2位「緒方貞子さん」、3位「松嶋菜々子さん」、4位「マザー・テレサさん」でした。
Q.8パートナーを持つなら、仕事と家事はどう分担する?
※パートナーはいらないと回答した人を除く
もし今後パートナーを持つなら、どんな役割分担をしたいか聞いたところ、2025年も20年前も1位「家事・育児ともにパートナーと分担する」、2位「自分は家事・育児を中心にし、仕事は家計の補助程度」でした。
ただ、「家事・育児ともにパートナーと分担する」は、20年前41.0%から2025年 69.4%と30%近く増加。反対に「自分は家事・育児を中心にし、仕事は家計の補助程度」は、20年前37.3%から2025年20.5%と、20%近く減少しています。
※比較した20年前の調査
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局「平成16年版 働く女性の実情」のあらまし」2004年
NTTコムリサーチ「働く女性に対するアンケート」2005年
※調査データ(グラフ)は、小数点第2位以下は四捨五入しているため、合計しても100にならない場合があります。
調査データの引用・転載について
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