出版業界ってどんなところ? 未経験でもチャレンジできる仕事が知りたい!

「本が好き!」という方や「ファッション誌の編集者って何だか憧れる…」という方なら、出版業界への転職も頭によぎるのではないでしょうか。でも、周りに出版業界の人ってなかなかいないのでは? 実際のところ、出版業界、しかも名前を聞いたことがある大手企業はかなり狭き門なのです。

この記事では何となく知っているけれど……という方へ、出版業界とはどんなところか、未経験でチャレンジできる仕事はあるかなどを詳しくご紹介します。

出版業界ってどんなところ? 未経験でもチャレンジできる仕事が知りたい!

出版業界は大きく4つに分かれる

出版業界は大きく【出版社】【編集プロダクション】【書店・ネット書店・電子書店】【出版取次】の4つに分かれています。

出版社

「出版社」は、本や雑誌などの出版物を企画・制作します。さまざまなジャンルで本を出す「総合出版」とよばれる大手出版社と、経済や学習参考書など専門分野のある出版社、小説やエッセイなどいわゆる文芸書の出版社などがあります。

全国で3,000社以上あるといわれますが、半数以上が社員10名以下の小規模会社、また約7割は首都圏にあります。

編集プロダクション

「編集プロダクション」は出版社の外注先、とイメージすると分かりやすいでしょう。出版社からの依頼で編集や制作の仕事を担当します。企画部分まで行うことも少なくないようです。出版社よりも入社のハードルは下がりますが、激務の傾向が見られます。

書店・ネット書店・電子書店

書店には街の「書店」、本の売買ができる「ネット書店」、電子書籍を扱う「電子書店」があります。総合的にあらゆるジャンルの本を取り扱う書店から専門書店、古本を扱う書店までさまざまなタイプの書店があります。

出版取次

「出版取次」は聞きなれないかと思いますが、出版社が制作した本を仕入れて全国の書店へ送る卸売り(流通)の役割をする会社のことです。

大手2社で全国シェアの7割を占めると言われ、その他に駅・コンビニ向け、教育機関向けなど幾つかの取次会社や電子書籍データを加工して卸す「電子書籍取次」会社などがあります。

出版業界にはどんな職種(仕事)があるの?

出版業界で業界未経験が転職しやすい2つの職種と、よく聞く職種2つについてご紹介します。ただし、出版業界の求人はそもそも少なく、基本的には職務経験者が有利であると考えておきましょう。

事務職

出版社など出版業界の企業にも、営業や総務、経理などの部署で事務職の応募は少なからずあります。業界未経験でも事務経験があれば採用の可能性はありますが、1つの求人に多数の応募者が殺到するので高い競争率を勝ち抜かなければなりません。

書店営業・広告営業

出版社には書店営業、広告営業という仕事があります。

「書店営業」は担当エリアの書店をめぐり、書店の仕入れ担当者に自社の本を置いてもらうように営業をかけたり、フェアなど販促活動を提案します。こうした営業活動を通じて得た情報を編集者に伝えたり、新刊のアイデアを伝えたりするのも大事な仕事のうちです。

また、出版物の広告のクライアントや雑誌のスポンサーを見つけるのが「広告営業」の仕事です。

どちらの仕事も売り上げに直接関係するため出版業界において重要なポジションですが、業界未経験OKの求人が出る可能性高いのはこれらの職種です。

編集者

本や雑誌の編集者は出版業界の人気職種です。企画や取材・撮影ディレクション、編集(記事作成や校正)などコンテンツの全工程に関わります。編集プロダクションでも編集部分を中心に出版社から請け負う編集者がいます。

基本的に経験者が求められるので、未経験者なら運よくアシスタントからか、あるいはライターなど他の仕事で経験を積む必要があるでしょう。

校閲

校閲の仕事は、書籍や雑誌などの誤字・脱字や変な日本語をチェックしたり、原稿を読み込んで事実と違うことや矛盾することなどを見つけ出します。つまり、出版物の正確性を高める仕事をするのが「校閲」といえるでしょう。

そのため、出版社や編集プロダクションで未経験OKの求人はほぼ出ないと考えましょう。アルバイトで校正(誤字脱字のチェック)の仕事から始めるなど、実力をつけて転職のチャンスをうかがう必要があります

出版業界に必要な経験や資格

未経験者でも出版業界へ転職できる経験、スキルはこれ!

業界未経験で出版業界へ転職したいなら、多くの業界でも通用する経験やスキルでチャレンジしましょう!

事務経験

一般事務職や営業事務など既に事務の経験があれば、出版業界に転職できる可能性はあります。ただし、出版業界自体の求人が少ないこと、競争率が高いことは前述した通りです。

接客・営業の経験

書店営業は本の売上を伸ばすことがミッションですから、書店の仕入れ担当者へ書籍の魅力を世の中の動きに絡めてアピールしたり、時にはPOPなど宣伝用アイテムの制作サポートを行ったりして人間関係や信頼関係を築いていく力が必要です。また、市場を分析してプレゼンする能力も大事で、広告営業も同じです。

そのため、他業界で営業経験や接客や営業経験があれば即戦力として評価されるでしょう。

出版業界で資格は重視されない

出版業界の、特に人気の編集に関わる職種では資格は重視されず、実力主義の世界といえるでしょう。

ただし、事務職なら「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」はおすすめです。エクセルやワードなど事務職に必須のマイクロソフト社オフィス製品の技能を証明する唯一の資格で、転職で即戦力をアピールできるのがこのMOSです。

また、営業なら担当エリアによっては自動車運転が必須ということもあるかもしれません。「普通自動車第一種免許」が必要かどうか、応募事項をしっかりチェックしてみてください。

出版業界の最近の動向は?年収はどれくらい?

出版業界の最近の動向

出版業界は、現状では不況といってよいでしょう。書籍・雑誌の販売額はピークだった1996年の半分以下となっています。特に雑誌不況は深刻で続々廃刊が出ています。

ただし、全く希望がないかと言えばそうでもなく、電子書籍市場はとても順調に伸びていますし、オーディオブックという形も少しずつ人気が出ているようです。

最近では、無料マンガのアプリ、定額で雑誌が読めるアプリ・サービスの利用も広がっています。このようなデジタルコンテンツ分野へビジネスを広げられる企業であれば、将来性にも期待できるかもしれません。

出版業界の給与は大手と中小で格差が大きい

出版業界で、大手出版社と言われるところは他業界と比べても平均収入が高いようです。大手出版社であればどの職種でも高収入が期待できますが、業界全体としては中小企業が多いですから、年収は250万円~600万円と規模や業績で大きく差があると考えておきましょう。また、出版社はベストセラーが出るとボーナスがかなりアップするのも特徴です。

編集プロダクションは平均年収が出版社に比べると低い傾向が見られますので、しっかりと企業研究を行い納得のいく転職活動をしましょう。

※年収金額は、サイト内の求人情報や公的機関のデータなど幅広く調査した情報から総合的に算出しています。

20代で出版業界未経験でも事務職、営業職は採用チャンスあり

事務職や営業職であれば、出版業界経験がなくても採用される可能性はあります。出版業界の企業数自体が多くはなく小規模な会社もかなり多いことから、求人がいつもあるとはいえませんが、「どうしても出版業界に身を置きたい」という人は応募を検討してみましょう。

出版業界では、編集や校閲など他の職種の転職は経験者に限られる傾向があります。残業が多くハードワークと言えますし、実力主義の世界ですが、多くの女性が活躍しています。

未経験から編集にチャレンジしたい人は、ライターや校正などで経験を積みながらチャンスを狙いましょう。

出版業界のまとめと注意点

出版業界はそもそも求人数自体が少ない傾向があるのと、小規模な会社では即戦力を求められるので他の業界では歓迎される20代も、出版業界においては転職できる仕事は限られます。

また、大手以外では給与条件が「とても良い」とは言えないので、本や雑誌が好きなどのやりがいを重視して、覚悟を持って飛び込める方にはおすすめです。

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