
単に性格の話をするだけではNG! 面接で長所や短所を聞かれた時の答え方
面接時には長所や短所について質問される場面があります。なぜ面接官が聞いているのかを理解することで、どんな回答をすれば良いのかが見えてきます。この記事では、自分の長所と短所の見つけ方や、適切な回答方法について解説していきます。
なぜ面接で長所や短所を聞かれるの?
面接時の質問に「長所」について回答する場面があります。これは、単に自分の良いところを回答すればいいというわけではなく、自分が募集ポジションにマッチすることをアピールできるような内容を回答するよう心掛ける必要があります。企業側は「あなたの長所を知る」ために質問しているのではなく、「あなたを採用するか判断する」ために質問しているからです。適切な回答内容について解説していきます。
長所や短所を通して面接官が知りたいこと
面接官が面接で知りたいことは、応募者がどのような人物かということ。「性格」ではなく、明確に長所・短所として尋ねるのは、応募者が自分自身をどのように捉えているかを把握するためです。長所は自分自身の「強み」が分かっているだけでなく、それが応募先企業でどう活かせるのかまでイメージして答えるものです。
強みが分かっている人は、自らの活躍できるフィールドを理解しており、雇う側としても強みを生かした仕事を任せることができます。
短所を伝えるのは気後れするかもしれませんが、短所と長所は表裏一体。短所をどう改善しようとしているかを伝えることで、「自らの課題を見出す力がある」という自己分析ができている証にもなります。
特に面接官が知りたいのは、以下の2つのポイントです。

自分の強みと弱みを把握しているか
自分の性質を理解することは、自信や向上心を持つことにも繋がります。短所を改善し、長所を伸ばすことで、より活躍のフィールドを広げることができるのです。チームでの仕事であれば、お互いの欠点をカバーし合うことで、より良い成果が生まれることもあるでしょう。
その仕事に必要な能力をもった人物か
例えば、営業職なら人と話すのが得意、研究職であれば集中力があるなど、職種によって向き・不向きな性格というのは少なからずあります。また、業務内容だけでなく、一緒に業務を進めるメンバーとの相性面も非常に重要です。面接官は応募者の長所と短所を聞くことで、社風に合っているか、現在働いている社員に馴染めるかなどを見極めています。
長所と短所を準備するときに押さえたい5つのポイント
長所(短所)、理由、エピソードと伝えるべき要素が多いため、どう話せば分かりやいか、自分自身がしゃべりやすいか、まずは整理して書き出してみてください。原稿ができたら、何度も声に出して練習しましょう。
原稿を作る際に気を付けたいポイントを5つ紹介します。

1.先に結論を述べてから理由を説明する
長所・短所を話すときは、必ず「私の長所(短所)は~~です」と、結論を先に述べるようにしてください。
根拠となるエピソードはビジネスシーンに関する、具体的な体験談や出来事だとより良いでしょう。
2.長所と短所はセットで考える
面接では「長所と短所を教えてください」と、セットで聞かれることも多いです。この時、長所と短所はつながりのある一要素にした方が良いでしょう。そもそも、長所と短所は表裏一体です。同じ要素でも、視点の違いによって良くも悪くも見えるのです。
例えば、長所が「柔軟性がある」だとします。しかし、これは裏を返せば「軸がぶれやすい、流されやすい」とも受け取れます。短所については改善点、対応策を添えながらも、「強み」になる可能性もそれとなく伝えることが大切です。短所もあなたの性質の1つであって、必要以上に卑下する必要はないのです。
3.答えは1つに厳選しておく
特に長所については、あれもこれもと伝えたくなってしまうもの。面接は自己PRの場ですから、意気込んでしまう気持ちも分かります。しかし、長所・短所ともに、伝えるのは1つに絞るようにしましょう。
要素が多ければ多いほど、逆に「これ」という長所がない、自信がないのを取り繕おうとしているように見えてしまいます。
ちなみに、「短所(長所)はありません」というのは、自ら「自己分析ができていない」と答えているようなものなのでおすすめできません。
4.企業の求める人物像をイメージする
企業が掲げている経営理念や社風が「自ら行動する人」だった場合、「与えられた仕事を実直にこなす」人物はマッチしません。これは、「与えられた仕事を実直にこなす」ことが悪いわけではなく、その企業とはマッチしないということです。
企業が求めている人物像は、会社のホームページや求人情報から読み取ることができます。自分の長所や短所と照らし合わせ、どんな内容であれば企業とマッチしそうかを考えてみましょう。
5.ネガティブなイメージの言葉は使わない
特に短所の説明の際ですが、「~ができない」「~は難しい」など、強い否定やネガティブイメージのある言葉を使うのはできるだけ避けましょう。「~してしまいがち」や「~してしまうことがある」といった、改善の余地がある自身の傾向として話すことを心掛けてみてください。
面接で伝えやすい長所・短所の表現
捉え方によっては長所と短所が逆にとられてしまうような言葉選びは避けたいものです。以下に、面接などで伝えやすい長所・短所それぞれの表現の例を挙げました。より自分自身の性質に近しい、そして適切に伝えられる単語を考えてみてください。
よくある長所の一覧
長所には、性格的な要素、行動的な要素、思考的な要素、対人的な要素など、さまざまな切り口があります。要素に合った理由や、具体的なエピソードを添えられると説得力が増します。以下では、面接で語られることの多い長所を一覧で紹介します。
性格
誠実、真面目、慎重、明るい、前向き
行動
計画性がある、責任感がある、行動力がある、忍耐力がある、集中力がある、体力がある
思考
視野が広い、主体性がある、向上心がある、論理的、臨機応変、想像力がある、創造性がある、切り替えが早い、粘り強い
対人
リーダーシップがある、社交的、気配りができる
よくある短所の一覧
短所にも、長所と同じく性格的・行動的・思考的・対人的な要素などの切り口があります。面接で語られることが多く長所に言い換えやすい短所を一覧で紹介します。
性格
頑固、優柔不断、心配性、慎重すぎる、繊細、引っ込み思案、気が強い、鈍感
行動
行動が遅い、マイペース、せっかち
思考
熟考型、負けず嫌い、八方美人、意志が弱い、理屈っぽい、打たれ弱い、溜め込みやすい
対人
人の頼みを断れない、お人良し、自己主張が激しい、人に厳しい
短所については、1つ注意しておきたい点があります。それは、身体的な要素や持病などを「短所」としないことです。例えば、背が低い(高い)ことが短所とした場合、大人になった今、これを改善する方法はほとんどありません。また面接官に背の低い人がいた場合、失礼にあたります。短所はあくまで、自身が「課題」として捉えていることを言い、対策や改善方法と合わせて話すのがベストです。
好印象を与える長所と短所の答え方
上記で挙げた長所・短所の一覧から、いくつか例文を作成しました。先述した通り、まず結論を伝えてから理由付けをしていくのが基本的な構文となります。自分なりの理由の並べ方、情報の取捨選択について考えるなどを参考にしてみてください。
長所の答え方・例文
長所の伝え方の基本的な構文は「長所」+「理由」+「具体的なエピソード」+「仕事への生かし方」です。決して根拠のない「自慢話」にならないように注意してください。

ホスピタリティーがある
私の長所は、ホスピタリティーがあり、誰に対しても円滑で丁寧なコミュニケーションがとれることです。長らく窓口業務を担当していたお客さまからも高い評価をいただいておりますし、会社からもトラブル対応の主任を任されております。この長所を生かし、業界でもトップクラスの、御社の顧客満足度に貢献できればと考えております。
調整力がある
私の長所は調整力があることです。前職では部署横断プロジェクトの調整役を務めたり、業務以外の場でも、社内行事の幹事を数多く担当したりしてきました。日程調整や意見すり合わせだけでなく、メンバー同士が対立したときはすぐに仲裁に入るなどチーム内でのバランサー役になるよう心掛けています。特に大人数の中での立ち居振る舞いには自信があります。
継続力がある
どんな逆境でも挫けない、継続力が長所です。研究職というのはなかなか日の目を見ない、耐え忍ぶことが多い職種であると実感しております。しかし、諦めず続けることで大きな成果を得られることもあります。以前携わっていた○○というプロジェクトは、6年という長い年月が掛かりましたが、今では社を代表する製品になっています。諦めず達成できたことが、私の自信にも繋がりました。
短所の答え方・例文
短所の答え方の構文は、「短所」+「理由」+「対策・改善方法」です。具体的なエピソードは必要なく、「短所」を「課題」と位置づけ、いかにしてクリアするかに話の重点を置くようにしてください。または、短所を転じて「強み」に変えるというのも良い表現です。あまり卑屈に考えすぎたりせず、あくまで前向きに話すように心掛けることが大切です。

「心配性」=「慎重派」「責任感がある」
私の短所は心配性なところです。本当にこれで良いのかと何度も確認したり、何か勘違いをしていないかと考え直したりと、行動に移すまでに時間を要してしまいがちです。ただ、以前上司に『あなたの仕事は確実で信頼ができる』と言ってもらえたことで、そんなに悪いことではないのかもしれないと自信を持つことができました。現在は経験を積んだことで、徐々に考え込む時間を短縮できている実感もあるので、将来的には強みにできたらと考えています。
「マイペース」=「ブレない」「周囲に惑わされない」
短所はマイペースなところです。自分のリズムで作業をしてしまうため、過去に協調性がないと言われてしまったこともありました。現在は定期的に周囲からフィードバックをもらい、チームで進める仕事の足並みを崩さないよう心掛けています。ただ、この短所を長所と捉えてくださる方もいて、長期的な個人プロジェクトをいくつか任せていただいたこともあります。
「ガンコ」=「粘り強い」「負けず嫌い」
頭が固いと言いますか、ガンコなところが短所です。納得がいくまで食い下がってしまったり、強い主張をしてしまいがちです。そのため上司とぶつかることも多いのですが、ある時「多様性」という言葉を知り、私はこう思うけれど、他の人はどう思っているのだろうか、そう考える背景は何なのだろうか、と自問自答するようになりました。最近では客観的に物事を捉えられるようになってきて、意見が違う相手とも話し合いで解決できるようになりました。
長所も短所も企業とのマッチングを判断する材料!
長所と短所は、どんな内容をチョイスし、どんな言葉で伝えるかは十分に検討する必要がありますが、「ないものを無理に作る」必要はありません。自分の強みを活かし、弱みを補填し合える企業でなければ、入社後にミスマッチが発生する可能性もあります。
あくまでも自分の特徴をより魅力的に伝えるにはどうしたら良いか、どの特徴を強く打ち出していけば良いのかという点にフォーカスして回答をしましょう。
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