“年相応”を気にする女性に、志茂田景樹が一言 「年齢なんて自分で決めればいいじゃない」

Twitterでの悩み相談が人気の志茂田景樹さん。40万人を超えるフォロワーが、毎日志茂田さんに悩みを打ち明けている。そこでWoman typeでも、働く女性の多くが抱えているであろう悩みを相談してみた。

「今年30歳になるのですが。『もう20代じゃなくなるんだから、もっと大人っぽくしたら?』みたいに言われることが増えました。ファッションや生き方など、年相応にした方がいいのでしょうか……」(29歳/Webデザイナー)

僕は今、“新18歳”です

志茂田景樹さん

志茂田景樹さん
1940年生まれ。小説『黄色い牙』で直木賞を受賞後、作家活動のほか、タレント活動、ファッションモデル、教育講演など多方面で活躍。近年は家庭における童話・絵本の読み聞かせの必要性を痛感し、『よい子に読み聞かせ隊』を結成。読み聞かせ隊長として、ボランティアメンバーとともに全国で活動を行っている
Twitter:@kagekineko

僕は今“新18歳”で、3月25日の誕生日には“新19歳”になって、その次の年、2020年には“新成人”になります。僕は1999年に、「2000年3月25日に“新0歳”になろう」って決めたんですよ。年齢なんて、自分で決めちゃえばいいんです。

2000年3月25日の朝は、本当に清々しい気持ちで目覚めました。「今日から新0歳だ。大きな夢を描いて、目標をボンボン立ててやってみよう。

なんていったって、新0歳だからね」。そんな気持ちになれました。その時の夢がどの程度実現したかはともかくとして、意識の中には今もそういう気持ちがしみ込んでいます。

もちろん体は0歳ってわけにはいかないですし、2年前には膠原病と診断されて、足がうまく動かなくなりました。ジョギングどころか、早足すら不可能で、特に歩き始めは、のそのそした歩き方になっちゃいます。

でも、それはそれで今の自分の特性ですから、そういう特性を取り入れたライフスタイルに変えればいいわけ。となれば、別に膠原病を発症したことで、マイナスの意識になることはないんです。

新しい自分のライフスタイルの中でできることはいろいろあって、夢の描き直しもできる。そういうふうに僕は考えています。

年齢を気にすると、マイナスの答えしか引き出せない

志茂田景樹さん

第一、年齢を気にすると、「もう30代だからミニスカートは似合わないかな」みたいに、マイナスの答えしか引き出せないんです。でもね、やっぱり人がどう思おうと、自分は自分ですから、“自分ファースト”でいいと思うんです。

要するに、人と対比するのではなくて、「自分はどうなのか」と。自分の気持ちの問題なので、周りに比べるものを置かなくていいわけです。

本当の自分の気持ちや希望、欲望があるなら、そうすればいいんですよ。悪いことをするわけでも、人に迷惑をかけるわけでもないですから、“本当の自分の気持ち”に合ったことをする。

ちゃんと暮らしているっていうことは、基本的な常識のようなものはちゃんと身に付いているはずですから。だったら、他の人に斟酌(しんしゃく)することはないんです。

そうやって自分第一に考えればいいものを、すぐに誰かと比べてしまう。そうすることで、せっかく若い感覚を持っていても、しぼんでいってしまうんですね。

例えばね、最近は「かわいい」って言葉の意味が何十通りもあるでしょう? 僕が今まで知っている「かわいい」の意味だけじゃないんですよ。

じゃあ、どういう場合に若い人たちが言う「かわいい」を使ったらいいんだろう。これも「かわいい」のか? そうやって自分で考えて、意識して取り込んでいく気持ちが大切なんじゃないかな。

同年代の人から「何それ?」って言われたら、「最近はこういうときにも『かわいい』って言うんだよ」って教えてあげればいいんですよ。

自分と向き合う時間を多く持つことで素敵な“自分ファースト”が築ける

人と違うことをしていると、なんやかんや言われたり、顰蹙(ひんしゅく)や妬みを買ったりすることもありますけど、そういう時は「自分はこれでいいんだ」と耐えることです。

僕は1990年代に、たしか雑誌のグラビア企画だったと思うんですけれども、「髪の毛をカラーリングしてみませんか?」って言われて、濃くて鮮やかなブルーにしてみたんですよ。

当時は茶髪がごく稀にいるくらいで、青の頭の人はいなかったから、かなりインパクトがあってね。せっかくだから、撮影後もそのままにして、その頭で『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』や『笑っていいとも!』に出たら、すごい反響があったの。

志茂田景樹さん

「いろいろ変遷がありまして、今はオレンジをメインにしながら、緑も黄色も赤も入っています」

色眼鏡で見る人は多いですけど、耐えていれば自分も気にならなくなっていくし、周りも気にしなくなります。

会社勤めの女性だと、鮮やかな髪の色は難しいかもしれないですけど、たぶん、「多色のカラーリングはダメ」なんて社則はないと思うんです。

もし勇気があったら、やってみていいんじゃないですか。社内的に大きなインパクトがあるだろうし、いろいろ意見も出るでしょうけれども、罰しようがないですよ。仕事をきちんとやっていればね。

そうやって続けていりゃあ、周りも認めざるを得なくなるんですよ。最初のバッシングや顰蹙(ひんしゅく)の渦に耐えて、貫いた人間が絶対に勝ちなんです。物事っていうのは、そういうものですから。

皆、自分というものと、もっともっと、向き合う必要があるんじゃないですかね。

友達やママ友、会社の人と話している中で、ちょっと違うなと思ったことを、「どこが違うと思ったんだろう?」と、一人になった時によく考えて、明確にする。

そうやって自分と向き合う時間を多く持つことによって、“自分が望んでいる自分”が分かって、素敵な“自分ファースト”が築けると思います。

取材・文・構成/天野夏海 撮影/竹井俊晴 企画・編集/栗原千明(編集部)