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MAY/2019

グレイヘア・近藤サトさんが送るアラサー女性へのメッセージ「若さに執着するのも、生きにくいのも、あなたのせいじゃない」

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社会人になってしばらくは先輩や上司からかわいがられていたのに、気がつけばその対象は後輩に。20代後半を迎え、30歳を目前とする中で、「新人」とか「若い女の子」ではなくなっていくことに、なんだか焦るような気持ちを抱えてしまうこともある。

そんな女性たちに、50歳を目前に白髪染めを止め、「脱・美魔女」の新しい生き方を提案する近藤サトさんからのメッセージを送ろう。美しいグレイヘアで生きる彼女が「アラサー女性はもっと自分勝手に生きていい」と語る真意とは−−。

「若さ=価値」だと思ってしまうのはあなたのせいじゃない

近藤サト グレイヘア
近藤サトさん
1968年岐阜県生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。91年4月、フジテレビ入社。報道番組や情報番組などのナレーションを担当。98年9月、フジテレビ退社。フリーランスに転身後は、落ち着いた声質をいかしてNTV『有吉反省会』、CX『梅沢富美男のズバッと聞きます!』などのナレーションを中心に活躍。40代後半からグレイヘアに移行しテレビにも出演、その姿が注目と称賛を集め、グレイヘアという選択肢を世に広める第一人者に。『グレイヘアと生きる』(SBクリエイティブ)はグレイヘアを通して、より自由に生きるための方法を書き下ろす初めての著書

私は30歳までアナウンサーをしていました。私がアラサーだったのはもう20年前のことだけど、「若さ=女性の価値」っていう価値観は、あの頃とあまり変わってないのかもしれないですね。

アナウンサーを辞める直前の28歳ごろって、仕事が減っている感覚があったんです。私が実績を残せなかっただけかもしれないけれど、今思えば、当時感じていた不安の根源には、どんどん入ってくる若い新人女性たちへの恐怖があったと思います。

これは今だから言えることですけど、当時の私がそう感じてしまうのは仕方がなかったんですよ。あの頃は湯飲みを洗って片付けるのは新人女性の仕事で、男女で明らかな差がありました。そうして入社して数年経つとお局と言われて、そういう環境が私を不安にさせていたんだと思うんです。性格やキャラクターではなく、置かれた環境が私を追い詰めていた。

さすがに今はここまであからさまな男女差はないかもしれないけれど、多くの企業は残念ながら当時とさほど変わっていない気がします。20年がたっても世の中が変わらないだなんて、驚きですけどね。

だから若さを女性としての魅力だと思ってしまうことも、若さに執着してしまうことも、あなた自身のせいではないっていうことは、ちゃんと認識した方がいい。新人の女の子がちやほやされているのを見てモヤモヤしたり嫌な気持ちになったりした時に、自分を卑下する必要はありません。

そもそも、アラサーの女の子たちが置かれている状況ってバランスが悪いんですよ。女性活用が叫ばれているけれど、職場の管理職女性は少ない。多様性が大事だって言われているのに、女性たちが実際に置かれているのはそういうものを受け入れる組織ではない。それこそグレイヘアで会社に行ったら「染めなさい」って言われるかもしれません。

企業が変わってない中で、女性にだけ変われと言っているようなものですから、つらいのは当たり前ですよね。ある意味、あからさまな男女差があった私たちの世代の方が、建前上は男女平等だとされている今よりも楽だったかもしれない。

だからね、今の若い女の子たちには同情しますよ。「女はつらいよ」な時代だっていうことに早く気づいた方がいいと思います。

目指すところや希望とは違ったとしても、平等に評価される環境を選んで

近藤サト グレイヘア

見た目の若さにはいつか限界がきますから、「若さ=価値」っていう考え方から抜け出さないと人生は先細りする一方です……といった発言を、私はメディアの力を笠に着せて言えていますけど、思っていても言えない人たちの方が多いと思います。それに、若く見せている方が生きやすいっていうのもあるんですよ。「50歳なのにお若いですね」って言われる方が、今までの価値観に逆らわずに済むから楽なんです。

先ほど話した通り、若くなくなっていくことが怖いのは、あなたのせいじゃない。まずはそのことを自覚して、それからあなたの選択が始まるんです。若さが武器になる社会を逆手にとってもいいし、戦ってもいい。でも体力も気力も限られたものだから、こんなところに時間を割いている場合じゃないと思ったら、「若さ」というステージから降りたっていいと思います。

会社を変えるのだって一つの手段です。女性だからという理由で評価されなかったり、必要以上に若い女の子をちやほやしたりするような環境に自ら行くことはありません。前途洋々たるアラサーの女性たちには、たとえ自分の目指すところとは少し違ったとしても、平等に評価される会社を戦略的に選んでほしいなと思いますね。

例えば同じ出版社に行くとしても、好きな作家が本を出しているけれど旧日本型の組織で女性が上に行くのは難しいA社ではなく、まずは実力で評価してもらえるB社で力をつけて、そのあとにA社に転職するとかね。A社に行くのが本来の筋道だったとしても、今の日本の会社の中には、現実的に女性が活躍するのが難しいところもある。こういう戦略を持つことは、今の女性たちに必要になってくるのではないでしょうか。

私はグレイヘアで注目していただいて、成功した女性と思われているでしょうけれど、それは私が特別すごいわけではないんです。全ては周りの方々のサポートが背中を押してくれたおかげ。自分が身を置く環境を選ぶのは本当に大切なことだと思います。

これまでのあなたの人生経験は、新入社員には絶対負けない

近藤サト グレイヘア

自分の年齢や老いを受け入れるタイミングは、体の弱さを実感した時に自ずとやってきます。30代になって若さを失うにつれて、だんだんと鎧を身に付け装備を増やし、体力の減少とともに「重っ!」って気が付く(笑)

私にとっては白髪染めの負担を減らすことが、歳をとって弱くなった自分を労ることだったけれど、皆がグレイヘアにするべきだなんて全く思いません。それこそ美魔女の方たちって、ものすごく体力があるんですよ。私と同じ歳であの鎧を着れる体力があるだなんて信じられないですもの(笑)。ブラボー! と拍手を送りたい気持ちです。

鎧の重さに耐えられなくなったら一個ずつ装備を外していけばいいわけですから、体力があるアラサー女性の皆さんは、まだまだガンガンいっちゃってください。ただ、新人の女の子に対抗しようとするのは無駄な戦いだってことは伝えておきたいかな。若さという視点だけで見ればすでに勝敗は決まっていますから、そこからはさっさと逃げた方がいい。

でもね、あなたが会社に入社してそれなりの年月を過ごしているのに対して、新入社員はまだ1年目です。これまでのあなたの人生経験は、新入社員の若造には絶対負けない。もしかしかしたら肌ツヤは負けてるかもしれないけれど、「肌なんて数ある判断基準の中の1つに過ぎないでしょ!」って私は思います。

今の若い女の子はいい人過ぎる。もっと自分勝手に生きましょう

もしかしたら、以前までかわいがってくれていた先輩や上司に「お前も歳取ったな」みたいなことを言われて、傷ついている人もいるかもしれません。でも、それは良いことなんですよ。傷ついて、強くなって、そうやって“本物の鎧”が作られるんです。

例えば私にとって白髪染めは一つの鎧だったけれど、それは最後まで自分を守ってくれるものではない。おばあさんたちがどうしてあんなにも強いかというと、今まで散々苦労して、傷ついて、それを乗り越えたことで作られた“本物の鎧”があるから。歳を取って体は弱くなるけれど、人生経験を積むことでメンタルはどんどん強くなっていくんです。

近藤サト グレイヘア

ですから、大いに傷ついてください。ただ、負けちゃだめ。卑屈になったら終わりです。「お前もババアになったな」って言われたら、「お前もな!」って冗談を打ち返すくらいの強さを持ちましょう。そうやって打ち返す女に「ナイスボール!」って言えるのがちゃんとした上司ですよ。「なんだお前!」って怒るような人は超旧型の上司ですから、さっさとバツを付けて職場を変えた方が賢明です。

今の若い女の子たちって、なんていうか……いい人なんですよね。不満を抱えながらも、会社の中でちゃんとバランス取ろうとする人が多いけれど、もっと自己中になっていいんですよ。そうやって自分に向き合って突き詰めていった先に、視野は広がっていくもの。変に賢く最初からバランスを取ろうとしてしまうと、ずっと世界は狭いままです。

アラサーなんて人生の序の口だし、思っているより人生は長期戦。30歳ごろの自分を振り返ると、日々短期戦の繰り返しで、かなり体力を消耗していたなぁと思います。でもね、就職活動や目の前の仕事で感じている達成感なんて、後から振り返ったら米粒みたいなもの(笑)。逆に「私の人生終わった」って思うような時も、人生の戦いは長いですからね。

繰り返しになりますけど、「日本の社会って生きにくいなぁ」と思うのは、決してあなたのせいじゃない。そんなに気負わなくていいし、もっと周囲の人や社会のせいにしていい。広い目とユーモアを持って、時に傷に絆創膏を貼りながら、もっと自分勝手に生きましょう。

取材・文・構成/天野夏海


近藤サト グレイヘア
グレイヘアと生きる』(SBクリエイティブ)
わざわざ年齢よりも若く見せなくてもいいんだ。そう思えたとき、女性たちの心は解放される。本書は、近藤サトさんの白髪を染めないという決断をとおして、「脱・美魔女」の新しい生き方を提案。年齢に抗うことなく、年齢を受け入れることの、すがすがしくも、颯爽とした生き方のすばらしさを訴えるエッセイ集。

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