頑張らない、忖度しない。令和時代の働く女性の新たなロールモデル「フリーバッグ」が登場!

海外ドラマコラムニストの伊藤ハルカが、旬な海外ドラマ作品の中から、注目のパワーウーマンをご紹介! 強くて、知的で、お茶目で、美しい……個性的なキャラクターが続々と登場する海外ドラマから、女性の“働き方&生き方”を学んじゃおう!
こんにちは。海外ドラマコラムニストの伊藤ハルカです。
連載初回となる今回は、エミー賞コメディー部門を総なめにし、今、最も話題な海外ドラマ『Fleabag フリーバッグ』(Amazon Prime Video)をピックアップ。
頑張らない。忖度しない――。傷だらけな人生を、皮肉たっぷりに生き抜くアラサー女性フリーバッグは、まるで『セックス・アンド・ザ・シティ』に登場するサマンサの現代版……!?
今月の作品:『Fleabag フリーバッグ』

“フリーバッグ=うす汚いもの”という言葉が作品タイトル、主人公のニックネームでもある英国コメディー『Fleabag フリーバッグ』。
ロンドンで倒産寸前のカフェを経営するフリーバッグは、皮肉屋で性欲が強めの30代女性。浮き沈みのある人生を、彼女なりにたくましく生きています。
シーズン1で描かれたのは、フリーバッグとカフェの共同経営者だった親友との複雑な友人関係。そして、シーズン2ではアラサー女性が共感できる、“この世代ならではの独特なオトナの恋愛観”がリアルに描かれています。
今月のパワーウーマン:フリーバッグ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)

自分が経営しているカフェは廃業寸前。それでも仕事への熱意はそこそこ。恋人と「別れてヨリを戻して」を繰り返し、街ゆく人との一夜限りの情事を楽しみ、乳がん検査の時には医師に「痛くないです。むしろ気持ちいいです」と口走る――。
フリーバッグはこれまでの海外ドラマでは見たことがない、大胆不敵な女性キャラ。初めて見た方は少し戸惑うかもしれません。

でも、次第に愛着を感じる存在になっていくから不思議。姉へのコンプレックス、うまくいかない父との関係。30代特有の家族や仕事、恋愛の悩みがリアルに描かれ、押しつぶされそうな孤独を皮肉を言うことで紛らわせるフリーバッグを見ていると、つい共感してしまいます。
大人になると、そう簡単に「辛い」と周囲に言えなくなってしまうもの……。たった一人で努力し、前に進もうとするフリーバッグの健気な姿を見ていると、わが身を重ねて応援したくなってしまうのです。

これまで、海外ドラマに登場するパワーウーマンといえば、『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサのような存在をイメージする方が多かったと思います。男性の上に立ってバリバリ仕事をして、セックスだって主導権はいつも女にある。いくつになっても自分を磨く努力を怠らず、いつも完璧なヘアメイクとファッション。ちょっと威圧的でクールなキャラクター、といったところでしょうか。
一方でフリーバッグは、ファッションにはあまり興味がなく、仕事へのモチベーションも低いし、口を開けば皮肉ばかり。人から良く思われたいという欲求も一切ないので、他人にも率直な言葉を口にします。
恋に仕事に、ありったけの力で頑張るこれまでのパワーウーマンからは一変。力みすぎず、ありのままの自分を忖度なく表現する彼女こそ、令和時代の新たな女性のロールモデルかもしれません。

そんなフリーバッグを演じるのは、イギリス出身の女優フィービー・ウォーラー=ブリッジ。このドラマで原作、脚本、主演を務める才能溢れる女性で、今エンタメ界が最も注目する女性の一人です。
女優・クリエイターとして、このドラマ以外にも多くのヒット作を手掛けるフィービーは、現実世界においても“パワーウーマン”。それでも、自分の一人芝居がきっかけで大ヒットドラマとなったこの作品には、思い入れとともに生みの苦しみがあったよう。エミー賞の授賞式では、「何かを書くのは本当に大変でつらいけれど、なぜ書くのか。この瞬間のためです」とスピーチ。エミー像を高く持ち上げた彼女の笑顔が印象的でした。
過激で、新しくて、それでいてリアルな30代女性の姿を投影したフリーバッグが世界中で愛されるのは、きっと共感する部分があるからこそ。恋愛をするとその先に結婚や出産が見え隠れし、ワークライフではキャリアアップを考え焦る……。30代は忙しくて大変な時期だけど、虚勢を張る必要はなし! 私たちもフリーバッグのように、もっと「ありのままの自分」を素直に認めて、仕事も、恋愛も、等身大で楽しんでもいいのかもしれませんね。
作品情報

『Fleabag フリーバッグ』
Amazon Prime Videoで、シーズン1~2を独占配信中!
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『今月のパワーウーマン』の過去記事一覧はこちら
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