音楽も絵本も自分が“創りたい”作品を生み出していきたい【 今月のAnother Action Starter vol.4川本真琴さん】
「自分で肩書を付けるとしたら“軽音部”。
女の子が数人集まると、部活っぽいでしょ?」
曲を作り、絵本を作る川本さん。歌手やシンガーソングライター、アーティストなど、さまざまな肩書きがあるなかで、どんな呼ばれ方が一番しっくりと来るのだろうか?
「うーん」としばし悩んだのち、川本さんが発した言葉は、「軽音部」。
「だって、女の子って何人か集まるだけで、仕事も遊びも部活みたいなノリになりますよね?」
気の合う仲間と何かを作り上げていく。川本さんは、そんな自然な姿を大切にしている。過剰な格好良さは、それほど必要なものではないという。
「クリエイティブにこだわり過ぎて、作り込めば作り込むほど、人間っぽさがなくなるような気がするんです。クリエイティブってステキだけど、あまり作り込まないほうが魅力的なこともある。フランス料理は美味しいけれど、毎日食べるものじゃないっていうのと似ているかも(笑)。私の周囲の人も、『ザ・仕事人』って感じではない、素朴な味わいの人が多いんですよね」
とはいえ、日常は素朴なだけでは済まない。川本さんは、思い切って飛び込んでみたものの、「二度とやりたくない」と後悔する失敗もあったという。
「たとえば、友だちのライブに飛び入り参加するハメになっちゃったときですね。チャレンジしたものの準備が足りないから、やっぱり大失敗で。そのときは1週間ぐらい悶々と後悔し続けましたよ(笑)。でも、しっかり後悔したあとは、次こそは取り返してやるって思っちゃうんですよね。そして次に同じ場が来たときは、不思議と全然動じなくなっているんです」
二度と挑戦したくないけど、二度目が来たら絶対やってみせる。矛盾しているようにも聞こえるが、どちらも正直な気持ちなのだ。その気持ちがあったからこそ、さまざまな高い壁を乗り越えてこれたのかもしれない。だからといって無責任に「何でもチャレンジしてみたらいいんじゃない?」なんていうアドバイスはできないと、川本さん。
「わたしだって本当は、平穏な時間を保っていきたいんですよ。大きなチャレンジって、3年に1回ぐらいで十分です(笑)」
曲作りを基本に
たくさんの作品を作り続けたい
川本さんは8月に『風流銀河girl』と銘打ったライブを予定している。ライブに向けて、「いかにも『風流銀河girl』って感じだねと言われるような、タイトル通りのライブにしたい」と抱負を語る。
「実は、“girl”という言葉は後から付けたんです。バンドが主体になるライブだけど、個人的な思いも加えたいなと思って。バンドって、エンターテインメントで華やかな印象が強いぶん、女の子の個人的な心情を入れるのは難しいと思うんです。でも、今回は、あえてそこに私的なものを表現できたらなって考えているんですよね」
とにかく今は、演奏する曲を早く決めないと、と笑う。
そんな川本さんの今後の理想の姿は、これまで同様、作品を作り続けていくことだ。作品には、絵本の制作も含まれる。
けれど、「やっぱり楽曲が一番の基本」だと、川本さん。
「曲を作っているときって、本当に楽しいんですよ。やりたくないときに無理に作っても、薄っぺらい感じになって、たいして面白くないものが出来上がってしまうから、結局ボツにしてしまいます。だから、やりたくないときにやっても意味がない。もちろん、締め切りに追われることもありますけれどね(笑)。曲を作るときは心から楽しみながら、誰かに聞いてほしいって願いながら作っています。これからもいろいろな人の力を借りつつ、たくさんの曲を作っていくのが私の役割だと思っています」
【東京】 公演日:8/5(日) 会場:東京 渋谷CLUB QUATTRO 時間:OPEN 17:00 / START 18:00
【大阪】 公演日: 8/8(水) 会場: 大阪 梅田CLUB QUATTRO 時間: OPEN 18:00 / START 19:00
サイト:www.salon-kawamoto.com/
絵本「とうめいの龍」「ブリキの姫」
2012年2冊同時刊行され話題となっている初の描きおろし絵本。気鋭のイラストレーター井ノ上豪さんが作画を担当し、読み聞かせもできるのにアートな雰囲気も味わえる大人も楽しめる2冊。
原作:川本真琴 絵:井ノ上豪
取材・文/朝倉 真弓 撮影/竹井俊晴
『Another Action Starter』の過去記事一覧はこちら
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