「28歳のロリータファッションとヌンチャク」が“しょこたん”の生きた証になった理由【今月のAnother Action Starter vol.14 中川翔子さん】
ゾンビ、特撮、サブカル、アクション
大好きなモノが詰まった映画は、女子の心をつかむディテールが満載!
「しょこたん」の愛称で知られるマルチタレント、中川翔子さん。彼女が幼いころからずっと憧れてきたのは、仮面ライダーやウルトラマンなどの特撮ヒーローたちだ。実は人見知りで引っ込み思案だという中川さんが芸能界に入ったのも、「変身したい、ヒーローになりたい」という夢があったからだという。
「3歳ぐらいのときからずっと変わらず、特撮を見てヒーローのポーズを練習することだけが生きがいだったんです。でも、デビュー後も特撮映画のオーディションには落ちてばかりで。『今生では叶わなかった夢だけど、生まれ変わったらまたオーディションを受けに来るぞ!』と心に誓っていながらも、あきらめかけていたんです」
いったんはあきらめかけた夢。けれど、大人の女性になった中川さんのもとに、映画『ヌイグルマーZ』主演の話が舞い込んだ。
「最初にお話をいただいたときには、私の妄想なんじゃないだろうかって思ったぐらいにびっくりでした。強く思い続けていれば夢は絶対に叶うんだということを、改めて教えていただいた気がします」
中川さんが演じるのは、ロリータファッションに身を包んだ“ダメ子”こと、鮎川夢子。何をやってもダメダメな彼女が、宇宙生命体が憑依したヌイグルミ、ブースケと合体して「ヌイグルマー」に変身し、世界征服をたくらむ悪党から大好きな人を守るために戦う――という奇想天外なストーリー。
スクリーンには、ゾンビ、ヒーロー、サブカルにアクションといった、中川さんが大好きな世界がカオスとなってあふれる。そういったジャンルが好きな男性向けの作品なのかと思いきや、中川さんは「女子なのに、ヒロインではなくヒーローというのがこの映画のステキなところ! ぜひ女子に見てほしい」と目を輝かす。
「登場人物は、悪役も含めて一風変わった女子ばかり。彼女らが抱える哀愁やひたむきさにグッとくる部分も多いと思います。また、一回こじれてしまうと大変な女子同士の友情だけど、歯車が噛みあったら一生モノの友達になれるんだというメッセージは、私自身、演じていてとても気持ちが良かったですね。映画そのものが女子祭りといった感じで、スカッとするんです。ハチャメチャなストーリーの中に散りばめられた女子心をつかむディテールを楽しんでほしいなと思います」
オセロが黒から白にパタパタっと裏返るように、
自分の過去がすべていとおしく思えた
今でこそ、特撮、アニメ、ホラー、カンフーなどなど、オタクな魅力を存分に発揮して誰にもまねできない個性を放ち続けている中川さん。しかし中高生の頃は、そんな彼女の関心が理解されず、いじめを受けたこともある。次第に孤立感を深めていった中川さんは、ますます自分の好きな世界だけに傾倒していった。
「大好きな世界があったから現実を耐えることができたんです。逆に言えば、好きなことや熱中できるものさえあれば、人は輝くことができるということ。それこそがこの映画のメッセージでもあるし、私からのメッセージでもあります」
中川さんは、今回の映画ではプロのメイクに頼らず、自分自身の手でメイクを行った。その理由を、「主人公ダメ子と一体化したい気持ちが強かったからかな」と振り返る。
「ダメ子は、中高生時代の私と同じ、生きることに自信が持てない人間。私の人生といくつもリンクする主人公です。そのダメ子が、『大好きな子を守らなくては』という気持ちを頼りに、どんどん強くなっていくというファンタジーにリアリティを持たせるために、自分自身をより強く重ねたかったのかもしれません」
“ダメ子=しょこたん”の最大の見せ場は、ゾンビとヌンチャクで戦うシーン。「人は誰も完璧ではないのだから、ダメ子のままでもいいんだよ」というメッセージを分かりやすく伝えるためにも、ヌンチャクシーンには気合いを入れて臨んだ。
「このシーンは、実はすごく意味のある重要な場面なんです。だから絶対にカッコよく見せたくて。でも私は体育の授業が大の苦手で、成績はいつも1。だからこそ、このシーンは自分の力できっちり決めたかった。どんなシーンなのか、ぜひ注目してほしいです」
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