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MAY/2012

“大人になる一歩手前の女性” を演じて出会えた新しい目線の自分【 今月のAnother Action Starter vol.2市川実日子さん】

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市川実日子
市川実日子(いちかわ・みかこ)
1978年東京都出身。モデルとして活躍したのち、2000年に映画「タイムレスメロディ」で女優デビュー。「とらばいゆ」(01)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。「blue」(03)では、モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。主な映画出演作は、「嫌われ松子の一生」「ユメ十夜」、「めがね」、「マザーウォーター」など。TVドラマ作品に「すいか」、「恋愛二―ト」、「階段のうた」などがある。

仕事の現場に入るときには
いつだって恐怖心がついて回る

5月12日公開の映画『レンタネコ』で荻上組5年ぶりの映画出演にして、主人公・サヨコを演じた市川実日子さん。
きりりとした透明感と、ゆるりとしたあたたかみ……。2つの相反する空気を合わせ持つところが、市川さんの個性ではないだろうか。
そんな独自の存在感を活かし、モデルや女優といったジャンルを超えて軽やかに行き来しているのかと思いきや、実はそうではないという。

「最初は、モデルの仕事も女優の仕事も、ものすごく怖いものでした。知らない世界に対する恐怖心が強かったんです。いまでも毎回、新しい現場に入るときにはすごく緊張するし、『怖い』という気持ちがわき上がりますね」

誰しも新しいことに挑むときは緊張して逃げ出したくなる。市川さんにとっても、怖いと感じることは全力で取り組もうとしている仕事である証なのだ。
ただ、いざ現場に入ってみると、その場を楽しんでいる自分に出会えることも過去の経験から分かっているという。

「映画の現場には、テレビドラマやCMとは違う時間の流れ方があるんです。緊張はしますがその空気感はすごく好き。わたしだけじゃなく、現場にいる人はみんな、それぞれの立場で緊張しているんですよね。そういう現場独特の緊張感を含め、それまで自分が出会ったことのない感覚を味わえること、その緊張感からしか生まれないものを創り出せることが、仕事の楽しさだと思います。たくさんの現場を経験してきて、やっと楽しめるようになってきたのかな……」

仕事場へはお気に入りの飲み物を水筒に入れて持って行くのが市川さんの定番。

「今回の撮影現場では白湯(さゆ)をよく持って行きました(笑)。あとはハーブティーとか。ただ、日によって突然、現場でコーヒーを飲みたくなることがあるんです。何か強いものが欲しくなるというか。普段はあまり飲まないので自分でもすごく不思議なんですけどね」

緊張を和らげるためなのか、逆に緊張の高ぶりに合わせた強い刺激を求めているのか。無意識のうちに選ぶものこそ、研ぎ澄まされた感覚が欲しているのかもしれない。
普通だったら流してしまうような「自分の中の微妙な変化」に、違和感を感じることができるのも市川さんの感性の鋭さならでは。

また市川さんは、映画やドラマなど長い期間を要する撮影が終わったら、必ず髪を切りたくなるという。市川さんにとって髪型を変えるという行為は、ひとつの仕事が終わって新しい自分に向かうための儀式になっているのだろう。

そういえば、『レンタネコ』の主人公・サヨコは長い髪を無造作に結んでいたが、いま、目の前にいる市川さんは、少年のような涼しげなショートカットだ。映画のパンフレットにある通り、「大人の女性になりきる一歩手前の少年っぽさを残した佇まい」である。

大人になる一歩手前の女性を
30代で演じるために

市川実日子
『レンタネコ』は、市川さん演じる、古い一軒家にたくさんの猫と同居している正体不明の「レンタネコ」屋・サヨコが、老若男女問わず、寂しさを抱えている人たちと猫の出会いを助ける物語。
サヨコから猫を借りるのは、年齢も境遇もバラバラな4人。夫と愛猫に先立たれた老婦人、単身赴任中の中年男、自分の存在意義に疑問を感じるレンタカー屋の受付嬢、そして、サヨコと浅からぬ因縁を持ち、いまはとある組織から追われる男だ。

市川さんにとって、昨年の夏、暑い盛りに撮影をした『レンタネコ』は、久しぶりの映画の現場だった。
撮影に入る前、荻上直子監督からサヨコのキャラクターについて「大人になる一歩手前の女性だ」と説明をされたそう。

「台本を一読して、確かに大人っぽくはないなと(笑)。だから、20代半ばぐらいのときに演じたら素の自分でバランス良く演じられたかもしれないと思いました。でも、既に30代になっているし、いまの私が演じる『大人になりきる手前の女性』って、どんな人なんだろうって。悩んだ挙句、サヨコがどういう人なのか決めかねたまま、撮影に入っていきました」

監督はどう考えているのか? 周囲の役者はどうとらえているのか?
同じ台本の言葉を読んでも、人によって受け取り方は異なる。それらを咀嚼して、取り入れて撮影のなかでサヨコ像を手探りで固めていった。

こうして出来上がったのが、コケティッシュでキュートな一面を持ちながら、前を見据えて歩き続けているサヨコ像である。

「実は『少年っぽさ』っていうキーワードは知らなかったんですよ。映画が出来上がってパンフレットを見て、『へぇ、わたしってそうだったのか』って(笑)。確かに、そういう雰囲気を出せって言われても難しいですよね。だから、それはもともと自分の中ににあったものをうまく出せたのかなって思います」

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