スキルアップが早い未経験エンジニアに共通する「今日からできる」二つの習慣/エスユーエス

エスユーエスでエンジニアとして働く上月絢香さんと津田悠菜さん

長く仕事を続けたい女性たちに、「手に職」として注目されるエンジニア。

女性向けのプログラミングスクールが続々と登場し、エンジニアにキャリアチェンジする人も増えている。

一方、研修や講義でいくら技術について学んでも、実際に開発現場に入ると必ずと言っていいほどぶつかるのがスキルの壁だ。

大手企業に向けたITソリューションの提案や中小企業支援まで幅広く手掛けるIT企業・エスユーエス株式会社で働く、上月絢香さんと津田悠菜さんも、エンジニアになったばかりのころは「常に焦っていた」と明かす。

そんな二人だが、今や社内でも高く評価され、第一線で活躍している。

上月さんは元営業職。エンジニアになってからは、たった2年でプロダクト開発案件をサブリーダーとしてけん引する立場になった

津田さんは前職でもエンジニアだったものの、仕様書通りにプログラムを書く以上のことを担えずにいたが、エスユーエスに転職して2年で、顧客折衝をはじめ、保守開発の企画・提案など上流工程から担う存在に。スキルの壁を乗り越えて、日々成長している。

彼女たちはなぜ、成長を遂げることができたのか。二人がエンジニアデビューした頃に意識的に取り組んでいたことを聞くと、ある共通点が見えてきた。

エスユーエスでエンジニアとして働く上月絢香さん

エスユーエス株式会社
サブリーダー
上月絢香さん

新卒で広告業界の営業職に就き、5年ほど勤務。マネジャーとしてメンバー管理も手掛ける。結婚を機に退職した後、2022年にエスユーエスに入社し、エンジニアデビュー。入社後は、PHPを用いた開発案件に携わり、現在は、AWSの技術を習得しながらセキュリティー関連のプロダクト開発案件に携わっている。また、2年で開発チームのサブリーダーを担うまでに成長

エスユーエスでエンジニアとして働く津田悠菜さん

エスユーエス株式会社
津田悠菜さん

新卒で入社した企業でエンジニアの道へ。3年目のタイミングで、「仕様書通りにプログラムを書く」ことに留まっている自分のスキルに不安を感じ、2019年にエスユーエスに入社。入社2年目頃から、JavaやOracleを用いた保守・開発業務に従事。顧客折衝や、保守開発の企画・提案など、プロジェクトの上流工程から手掛けている

「分からないことが、分からない」からのスタート

編集部

今日はお二人の成長の秘訣について聞かせていただければと思っています。まず、お二人が今どんなお仕事を手掛けているのか教えてください。

上月さん

私は今、セキュリティー関連のプロダクト開発案件に携わっています。開発環境は、Node.jsです。

先月から、開発チームのサブリーダーを任されていて、メンバーマネジメントも業務の一つです。

津田さん

私は、物流関連のプロジェクトにおいて、JavaやOracleを用いた保守開発を行っています。

以前は仕様書を元に正確なプログラムの開発を行うことのみに従事しておりましたが、今は保守を行なっている際に発生した問題に対して、どのような開発を行うべきかこちらから複数の案を提案して業務を行っています。

編集部

お二人とも開発現場の主戦力として活躍されていますね。

でも、もともとエンジニアとしての経験、スキルがほとんどない状態からスタートされてるんですよね。

上月さん

はい、私は全くの未経験からのスタートでした。

編集部

なぜエンジニアになったのでしょうか?

上月さん

前職は営業職だったんですが、退職後、手に職をつけたいと思い転職を考えていたところ、「私はこれができます」と自信を持って言えるものが欲しいなと思い、エンジニアを目指すことにしました。

インタビューに答える上月絢香さん
編集部

専門性を身に付けようと思ったんですね。

上月さん

そうですね。あとは前職の営業経験も活かして、「コミュニケーションが得意なエンジニア」を目指したいなと思いました。きっと重宝されるんじゃないかなって。

編集部

なるほど。津田さんは前職ではどんなお仕事をされていたんですか?

津田さん

私は前職もエンジニアだったんですが、スキルがなかなか上がらず、エスユーエスに入社した時はスキルに全く自信がなくて。

指示されたことは正確に行なっている自負はありましたが、それだけで本当にいいのかと。転職のきっかけも自分のスキルへの焦りからでした。

編集部

お二人ともスキルに自信がない中でのスタートだったとのことですが、入社後にはどんな壁にぶつかりましたか?

上月さん

当たり前ですが、経験がなかったのでそもそもIT業界の常識や携わったプロジェクトの業務知識、開発言語のスキル不足などに苦労しました。

技術研修で一通りの知識を得ることはできたのですが、実際の業務に入ってみると、より実践的なアウトプットが必要であると痛感して。

質問しようにも、「何が分からないかが分からない」こともよくあり、最初は苦労しましたね……。

津田さん

私はスキル面で苦戦することも多かったですが、特に自分の発想力の乏しさに落ち込みました。

エンジニアは、知識や技術力だけでなくて、柔軟な発想を求められる場面もあるのですが、そこでアイデアが出てこない自分が悔しかったです。「なんで思いつかなかったんだろう!」って。

インタビューに答える津田悠菜さん

二人の成長を加速させた二つの習慣

編集部

最初は苦労したんですね。お二人はどのようにしてそんな状況から脱したのでしょうか?

スキルアップのためにやっていたことがあれば教えてください。

上月さん

私がやっていたことは、大きく二つです。

①ありのままの自分をさらけ出して、分からないことは遠慮せずに聞く
②分からなかったことはメモに残して、自分専用の辞書にする
上月さん

まず①からお話しすると、業務内容や技術知識について自分自身の理解度を確かめるために上司や同僚にアウトプットの機会を少し多めにもらっていました。

まず自分で調べて、ある程度理解ができたら、自分の認識を上司や同僚に共有していました。認識が間違ったまま先に進まないように、意識していましたね。

編集部

ありのままの自分を開示していたんですね。

「こんなことも分からないのかって思われそう」など、つい知ったかぶりしちゃいそうですが、上月さんはそういう思いはなかったですか?

上月さん

ないと言うとうそになりますが、そこは割り切って開示するようにしてました。できない自分を隠しちゃうと、後でつらくなるのは自分なので

普段はリモートワークのため、チャットツールでのコミュニケーションが主ですが、私は、未経験ということもあり、分からない点をテキスト化するのに時間がかかってしまうため、自分で調べてみてどうしても分からないときは、上司に直接電話で相談をしていました。

上月さん

電話だったら、話しながら不明点を解決できますし、焦っている気持ちも相手に伝わるので、丁寧なアドバイスをいただけるのもありがたかったです。

編集部

「しょっちゅう電話すると迷惑がられそう」などと思うと、躊躇しちゃいそうな気もします。

上月さん

最初はそんな思いもありました。でも私が早く理解して仕事が進んだ方が結果的にチームのためになりますし、どんどん相談させてもらいました。

私自身、営業職に就いていた頃マネジャーのポジションだったので、「分からないことはどんどん聞いてもらった方がいい」というのを知っていたからできた、というのもあるかもしれません。

上月さん

そして、学んだことはその日のうちにメモにまとめていました。覚えられるように手書きで作成し、辞書代わりに引けるようにラベルをつけて、いつも手の届く場所に置いています

業務でつまづいた時にこれを見れば解決できるので、本当に便利です。

上月絢香さん自作の辞書

業務でつまづいた時に見返しているという上月さん自作の辞書。これに何度も救われているそう

編集部

これが二つ目の「分からなかったことはメモに残して、自分専用の辞書にする」ですね。

上月さん

はい。エンジニアなのに手書きなんだ! って言われたりしますが(笑)、私は手で書いた方が覚えやすいですし、紙の辞書の方が振り返りやすくて使いやすいなと思ってます。

編集部

津田さんは、スキルアップのためにどんなことをしていましたか?

津田さん

実は、私も上月さんとほぼ同じことをしていました!

まず、つまづいたところはメモに残すようにしています。先ほど「発想力がない」という話をしましたが、自分にはなかった視点をメモにして残しておけば、アイデアの引き出しを増やしていけますから。

また、メモはテキスト形式で残しておき、誰が見ても分かるくらい詳しく書くように心掛けています。

編集部

それはなぜでしょう?

津田さん

自分が本当に理解できているかどうかを確認できますし、チームのメンバーや後輩に共有することで、自分以外の人たちの役にも立てるかなと思って。

編集部

すてきな考え方ですね。

津田さん

これから入社してくる後輩の中には、自分と同じ場所でつまづく人もいると思うので、その時に手を差し伸べてあげられたらいいなと思います。

また、このメモを見た後輩がさらにメモを書き足していくことで、どんどんブラッシュアップされていくのもいいですよね。

インタビューに答える津田悠菜さん
編集部

他にはどんなことをしていましたか?

津田さん

これも上月さんと同じなのですが、上司に質問をする時は、自分が何につまづいているのかが明確に伝わるような言い方を心掛けていました。

編集部

どんなふうに?

津田さん

①分からないこと
②自分で実行したこと
③その結果

これを伝えた上で、何が聞きたいかを明確にするようにしていました。

そうすることで、上司も「何をどこまで教えればいいのか」が分かりやすく、コミュニケーションをスムーズにできたように思います。

「できない自分を開示すること」がスキルアップへの第一歩

編集部

ありのままの自分を開示して、遠慮せずに上司と密なコミュニケーションを取る。そしてそれを業務に生かせるかたちで残す。これがお二人の共通点ですね。

上月さん

自分を正しく知ってもらい、周りを巻き込むことは、できない自分を「できる」に変えるために必要なプロセスです。

私はひたすらインプットを重ね、質問し、アウトプットするという繰り返しの中で、「どこまで私が理解しているのか」を周囲に伝え続けてきました

上月さん

そうすることで周囲の人も手助けがしやすくなるし、自然と振られるタスクの内容も私にピッタリのチャレンジができるものに変わっていったように思います。

AWSなどの新しい技術に触れる機会をもらえたのは、周りの人に自分の状況や理解度を知ってもらえたからだと思います。

編集部

できないからこそ「周りを巻き込む」姿勢が大切なのですね。

上月さん

そう思います。私は営業職を手掛ける中で、周囲の人たちとコミュニケーションを取って巻き込んでいくことには慣れていたので、この経験がエンジニアとしての成長を早めてくれるというのは、うれしい発見でした。

インタビューに答える上月絢香さん
津田さん

周りを巻き込むためには、自己開示がしやすい環境を選ぶのも大切です。

先ほど上月さんも、「遠慮せずに上司に電話する」と話してましたが、エスユーエスはこういった行動を迷惑がる人がいないんです。

むしろ積極的に聞くことを評価してくれる。だからこそ、できない自分を開示しやすいのかなと。

上月さん

それは本当にそう思います。面接で「ここならありのままの自分で働けそうだな」と思える会社を選ぶのも大切かもしれません。

津田さん

入社したばかりの頃は、どのくらい自分で調べて、どのくらいのレベルから質問していいのかすら分からなかったんですが、そこから相談しちゃってましたね。

エスユーエスはリモートワークで働くエンジニアが多いですが、相談しやすい風土があり、その上で適度に自分で考える余地も残してくれるので、成長につながりやすいのだと思います。

上月さん

あとは、ありのままの自分を知ってもらった上で、自分の強みを生かした成長ができるようサポートしてくれますよね。

私は未経験で入社したものの、前職でのマネジャー経験を活かせるポジションを与えてもらえたおかげで、入社3年目には開発チームのサブリーダーを任せてもらえました。

転職時に目指していた「コミュニケーションが得意なエンジニア」に少しずつ近づけている。今、そんな実感があります。

カメラに向かってほほえむ上月絢香さんと津田悠菜さん

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取材・文/一本麻衣 上月絢香さん撮影/竹井俊晴 編集/光谷麻里(編集部)