24 JUN/2025

「将来の目標がない」から抜け出すには？キャリアのプロが解説 “自分軸”を見つける２ステップ【転職Q＆A 喜多村若菜】

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働く女性の転職Q&A

20代～30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス！「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します

今回、転職に関するお悩みに答えてくれたのは、自分の特性や価値観に合った仕事を見つけるためのキャリアコーチングサービス『ミートキャリア』を運営する、株式会社fruor代表の喜多村若菜さん。

「長期的なビジョンや目標設定が苦手だ」と悩む女性のお悩みについて、キャリアのプロである喜多村さんに解説してもらいました。

株式会社fruor
代表取締役CEO
喜多村若菜さん

1993年大阪府生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、アクセンチュアに入社し、基幹系システム開発のコンサルティングを経験。2017年8月より教育関連のベンチャー企業の立ち上げに携わり、採用・育成を担当する中で、働き方の選択肢が少ないことに疑問を持つ。19年に株式会社fruorを設立

お悩み：長期的なキャリア目標を立てられない

27歳／総合職／転職経験なし

将来のキャリア目標を立てるのが苦手で、長期的なビジョンが持てません。日々の仕事に追われていると、つい目の前のことばかりに必死になってしまい、自分のキャリアについて深く考える余裕もありません。

上司との面談でもキャリアについて聞かれると、ついその場限りの「それっぽい答え」でごまかしてしまいます。

このままでは、いざ転職を考えた時に、自分の言葉で将来のビジョンを語れないのではないかと不安です。長期的な目標設定のコツってありますか？

回答：明確なビジョンが描けないこと自体に、焦る必要はない

先が見えないのは不安になりますよね。

「長期的なキャリア目標が描けない」という悩みは、多くの方が抱えているものです。会社のキャリア面談ではとりあえずそれっぽいことを言っているという人がほとんどなのではないでしょうか？

実は、キャリア支援の現場では、「明確なビジョンが描けている人」の方が少数派です。約8割の人がキャリアの目標を明確に持っていないと言われており、むしろ明確なビジョンが描けないのは普通です。それ自体に焦る必要はありません。

ただ、それでも「自分の言葉で将来のビジョンを語れないのが不安」という質問者さんのお気持ちもすごく分かります。どこに自分のキャリアが向かっているのか見えないと、この先このままで良いのだろうかという思いが出てきますよね。

長期的な目標というのは、描こうと思って描けるものではありません。

無理に目標を見つけようとしても、心の底から思えてなければ頑張ることもできないと思います。

目標ややりたいことがなくても、キャリアに迷わなくなるための方法があります。それは自分のことをしっかりと理解することです。

具体的には、自分の「強み」と「価値観」を理解することが大事です。

たとえば、自分は「どんな場面で力を発揮できるのか」「どんな働き方をしていると心地よいか」「何を大切にしてキャリアを選びたいか」など、こうした軸を持っていれば、いざ転職しようと思ったときに、自分の言葉で意思を語れるようになるのです。

今回はその「キャリアに迷わないための軸の作り方」についてお話したいと思います。

キャリアに迷わないための軸の作り方１．強みを理解する

強みというと、皆さん「できること」をイメージすると思います。例えば、営業が出来ます、デザインが出来ますといった、いわゆるスキルのようなものです。

もちろん、それも強みの一つではあります。ですが、それよりも大事なものは、「自然とできてしまうこと」「苦なく続けられること」「やっていて自分らしさを感じられること」といった、”あなたらしさ”です。

無理をして頑張らなくても発揮される行動傾向のようなものが本質的な”強み”です。

これを私たちは「特性（生まれ持った性格のこと）」と呼んでいますが、以下の3つのステップで、自分の“本質的な強み”を見つけていきましょう。

１．過去の“うまくいった経験”を思い出す

まずは、「これまでの仕事の中ですごく頑張れた」「周りから感謝された」「とてもやりがいを感じた」という経験を三つほどピックアップしてみてください。

このとき、数字で表せる成果が出ているかどうかを気にしてしまう人もいますが、ここではあくまで特性を明らかにできればいいので、成果が出ていない経験でも大丈夫です。

次に、その場面でどんな行動をとったかを詳しく書き出してみましょう。特に注目したいのは、このような部分です。

・どんな役割を担っていたか？
・自分のどんな工夫や考え方があったか？
・他の人とどのように関わっていたか？

２．共通点を探す

三つの経験を書き出したら、その中にあるあなたらしさの共通点を探します。

例えば、「相手の意図をくみとって先回りして動いていた」とか、「周囲の混乱を整理していた」とか、「裏方としてチームを支えていた」といったようなものです。

こうした特徴が、幼少期や学生時代から同じなのであれば、より一層本質的なあなたの特性となるでしょう。

３．自信がなければ、周りの人に聞いてみる

ただ、いくらうまく行ったと感じていても、「努力して頑張ってやりきった」という感覚ばかりなら、それは“後天的に身につけた能力”かもしれません。

逆に、「気が付いたらやっていた」「周りに驚かれて初めて気付いた」ような行動こそが、本来の“強み”です。

こうした強みは自分自身では当たり前に感じるものなので、自分では気付かないことも多いです。

そんなときは、同僚や友人に「私の強みってどんなところ？」「私ってどんな人？」と聞いてみるのもおすすめです。他者視点を交えることで、自分では気付けなかった視点で自己理解が進められます。

強みが理解できれば、転職をするうえでも仕事が選びやすく、また今後のキャリアプランとしてどのようにキャリアを伸ばしていきたいのかも明確にしやすくなります。

キャリアに迷わないための軸の作り方２．大事にしたい価値観を整理しておく

強みの理解と合わせて進めたいのが、価値観の整理です。強みだけ分かっている状況では、「あなたはどうしたいのか？」といった問いにまだ答えられません。

キャリアの目標がない方は、目標ではなく、どんな自分でありたいかといった「状態」を意識してみると考えやすくなるかもしれません。

例えば、仕事にコミットしてスキルアップを大事にしたいとか、ある程度の年収を確保できれば家庭や趣味の時間を優先したいとか、せっかく働くのであれば社会貢献性の高い仕事がしたいとか、そういう自分自身の理想の姿です。

これは人生のフェーズによって変わっても良いものです。”今”は何を大事にしたいか考えてみてください。

もし思いつかなかった方は、嫌だった経験から逆算することも一つの手です。

「これはイヤだった」「つらかった」という体験があれば、なぜつらかったのか？何が満たされなかったのか？を振り返ってみてください。その時の状況を裏返せば、あなたが本当に大切にしている価値観が見えてくると思います。

こうした「強み」と「価値観」が明確になっていれば、目標がなくても自分の言葉で「どんな仕事ができて」「どういうことを大事にしたいと思っている」ということが伝えられるでしょう。

個人の目標やビジョンがなくても大丈夫、仕事の目標は会社の目標に沿って立てられれば良いと思います。

「いつでも転職できる状態の自分」を手に入れよう

未来が見えていないとき、人は不安になるものです。でも、見えない将来のビジョンを無理に描こうとしても絵に描いた餅にしかなりません。

大切なのは、「どんなときに自分らしく働けるか」「今の自分が何を大事にしたいか」を知り、自分が合う仕事や環境に居続けられるかどうかです。

まずは、自己分析からはじめてみてください。自分を知ることができれば、それがキャリアの自信につながることでしょう。

「いつでも転職できる状態の自分」が手に入れられると、今の仕事にも余裕を持って頑張れるようになると思います。

「将来の目標がない」から抜け出すには？キャリアのプロが解説 “自分軸”を見つける２ステップ【転職Q＆A 喜多村若菜】

お悩み：長期的なキャリア目標を立てられない

回答：明確なビジョンが描けないこと自体に、焦る必要はない