女性比率や育休取得率で判断するのは危険?「長く働けるコンサル企業」を見極めたい女性が陥りがちな罠

女性比率や育休取得率で判断するのは危険?「長く働けるコンサル企業」を見極めたい女性が陥りがちな罠

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ESG経営の推進や女性管理職比率の向上を目指し、コンサルティング業界でも女性採用が加速している。しかし現実には、さまざまな要因から女性コンサルタントが長くキャリアを築けず、定着率の低さが課題となっている。

では、「女性が安定してキャリアを築けるコンサルティングファーム」を見極めたい転職者は、何に注目したら良いのか。

つい、女性比率や育休取得率といった数字に目が行きがちだが、「表面的なデータで判断すべきではない」と指摘するのは、これまで五千社近くの採用に関わってきた人材エージェント・株式会社morich代表の森本 千賀子さんだ。

森本さんに“長く働ける企業を見極めるポイント”を伺うとともに、実際に「女性コンサルタントの定着率の高さ」で注目される横河デジタル株式会社の取り組みについて、人事責任者の塲田聖さんに話を聞いた。

森本 千賀子さん

株式会社morich代表取締役
森本 千賀子さん

新卒で現インディードリクルートパートナーズ(リクルート)に入社。転職エージェントとしてCxOクラスの採用支援を中心に、4万名超の求職者と接点を持ち、2500名超の転職に携わる。リクルートエージェントでは累計売り上げ実績は歴代トップで全社MVPなど受賞歴は30回超。2012年にはカリスマ転職エージェントとして『プロフェッショナル~仕事の流儀~』(NHK)に出演。 17年3月株式会社morich設立。現在、NPO理事や社外取締役・顧問など「複業=パラレルキャリア」を意識した多様な働き方を自ら体現。日経オンライン・プレジデントオンラインなどの連載のほか、著書多数。22年には日経新聞夕刊『人間発見』の連載や『ガイアの夜明け』(テレビ東京)にも取り上げられる■X

コンサル業界で女性活躍が進みにくい三つの理由

編集部

コンサルティング業界で女性が定着しにくい要因は何でしょうか?

森本さん

大きく3つ挙げられます。

1.ハードワークになりやすい
2.女性の昇進に対するハードルが高い
3.女性が長期的視点でキャリアパスを描きにくい
森本さん

まず1つ目は「ハードワークになりやすい」ことです。コンサル業はクライアントありきの仕事になるケースが多いため、勤務体制や業務時間がクライアント主体で決まりがちです。

クライアントの業種によっては、長期駐在を伴う地方出張が増えたり、長時間労働や不規則労働を強いられたりすることもあります。

編集部

クライアントの業務に入り込む必要があるコンサルタントならではの課題ですね。

森本さん

2つ目は、「女性の昇進に対するハードルが高い」ことです。

コンサルティング業界は成果主義の評価体制を取り入れている企業が多く、プロセスよりも結果で評価されやすい傾向があります。

今はリモートワークを廃止してハードワークのスタイルに戻ってきている企業も増えているため、「ハードワークに耐えながら短期間で成果を出せる人=優秀」というバイアスのもと評価が行われてしまうことも。

そうなると、ライフイベントと両立する社員は不利になり、昇進が遅れるケースが多いのです。

森本 千賀子さん
編集部

今は男性の育休取得事例も全国的に増えていますが、それでもまだ育児によるキャリアの停滞は女性に偏りがちですから、女性の昇進が遅れやすいわけですね。

森本さん

ええ。コンサル業界は全体で見ると女性管理職比率も高くないので、男性視点のマネジメント体制になりやすいんですよね。

そして3つ目は、「女性が長期的視点でキャリアパスを描きにくい」こと。

コンサル業界では昔から「アップ・オア・アウト(昇進するか、会社を去るか)」の風土が根強いことが影響しています。

森本さん

例えば、「今は育児が大変だから昇進は目指さず、現職にとどまったまま長期的な視点でキャリアを考えよう」といった“ステイ”の選択肢を選びにくいコンサルティングファームはまだまだ多いんです。

編集部

そうなると、ライフステージが変わるタイミングで離職を選ぶ女性は多そうですね。

森本さん

実際、コンサル業界では入社時の女性比率は高まりつつありますが、30代以降の女性の離職率は依然として高いというデータがあります。

これは、育休後のキャリア形成が難しい企業がまだ多く存在していることの表れだと考えられます。

森本 千賀子さん
編集部

では、コンサルタントとして長く働ける企業を見極めたい女性は、どのような視点を持てばいいのでしょうか。

森本さん

時短勤務やリモートワークといった柔軟な勤務制度があるのはもちろん、実際に活用されているかどうかに目を向けてみましょう。実際に制度を利用した後の昇進事例があるかどうかも確認すべきです。

女性リーダーのロールモデルがいるかどうかは、キャリア継続性のバロメーターにもなります。

森本さん

また、長時間労働やハードワークができなくても専門性がしっかり評価され、うまく貢献できる仕組みがあるか。長期的な視点でキャリア開発に取り組んでいるかにも注目してみると、「アップ・オア・アウト」の風土かどうかを見極める一つの指標になります。

業種や領域による先入観は持たず、企業ごとの風土や働き方を見て判断してみてください。

働きやすいコンサル企業の見極めポイント

「アップ・オア・アウト」と真逆のコンサルティングファームの裏側

実態を伴う制度があり、制度を活用した女性が長期的にキャリアを築き、活躍しているコンサルティングファーム──。

まさにその条件にマッチする企業がある。それが、今回話を聞いた「横河電機」発のコンサルティングファーム。横河デジタル株式会社だ。

同社では女性コンサルタントが10年、20年と働き続ける例も珍しくなく、育休取得後にグループリーダーやマネジャー、部長を務める女性も複数いる。

一般的には女性がキャリアを築きにくいと言われる「製造業」向けのDXコンサルティングを担う同社の女性コンサルタントたちが、長期的なキャリアを描けるのはなぜなのか。横河デジタルで人事責任者を担う塲田 聖さんに、話を聞いた。

塲田 聖さん

横河デジタル株式会社
タレント・アクイジション・ディレクター
塲田 聖(ばた・みな)さん

シマンテック、シスコシステムズ、デルなど外資系IT企業で営業を担当した後、ヘッドハンターに転身。外資系や日系企業のエグゼクティブ人材の採用支援に携わる。2021年にIBMに人事として転職し、中途採用を担当。23年6月に横河デジタルに入社し、Talent Acquisition Director(タレント・アクイジション・ディレクター)として優秀な人材の採用を積極的に行っている

編集部

横河デジタルには、長く働き続ける女性コンサルタントが多いと聞きました。

塲田さん

20代から働き始めて、産休・育休を取得し、子育てが落ち着いた後も引き続き働き続けている女性コンサルタントが何人もいますし、育休取得後にマネジメント職に就く女性も複数います。

多様なキャリアを実現する女性のロールモデルがいますよ。

編集部

彼女たちが長期的にキャリア形成できるのはなぜなのでしょうか?

塲田さん

まず、当社が柔軟性の高い勤務形態であることが挙げられます。

コアタイムなしのフルフレックス制を採用していて柔軟な働き方ができるので、男女問わず勤務時間をずらしてお子さんのお迎えに行ったり、お子さんの事情で仕事を抜けたりするのが当たり前になっていますね。

横河デジタル株式会社 タレント・アクイジション・ディレクター 塲田 聖さん
編集部

男性や独身女性も柔軟に働くのが当たり前の環境なら、育児中の女性が引け目を感じることもありませんね。

塲田さん

そうですね。例えば当社の部長で双子のお子さんのお父さんがいるのですが、先日「子どもが二人とも体調を崩してしまい、自分が看護するので、社内ミーティングを調整してほしい」と急遽早退していました。

上層部の男性社員がこんな感じでプライベートとバランスを取っているので、皆がプライベートを大切にしやすい風土が自然と醸成されているのかもしれません。

編集部

すてきなカルチャーですね。製造業のコンサルティングだと、現場に足を運ばなければいけないケースも多そうですが、リモートワークも取り入れているのでしょうか?

塲田さん

当社は、製造業に向けた「DXコンサルティング」になるため、工場に常駐する必要はないんです。

基本的には赤坂のオフィスに勤務していて、もちろん現地に足を運ぶことはありますが、データを分析したり、分析基盤を構築したりと、ITの側面が強いためリモートワークも可能です。

プロジェクトルームで仕事をする必要がある場合、客先での業務が必要なケースもありますが、プロジェクトによってはリモートで勤務していただいて構いません。

編集部

なるほど。そうなると、長期滞在を伴う地方出張も頻繁には発生しないのでしょうか?

塲田さん

月に1、2回程度の出張が発生することはありますが、家庭の事情を優先しますので、無理に遠方に行っていただくことはないですね。

通常3~10人のチームでプロジェクトに取り組んでいるので、それぞれの事情を汲みながらサポートし合っています。

編集部

地方出張や長時間労働ができる社員の方が評価が高くなる、ということはないですか?

塲田さん

当社では評価やアサインの仕組み自体が、ワークライフバランスを重視して設定されています。ですから、年齢、性別にかかわらず、プライベートの事情が影響することはありません。

横河デジタル株式会社 タレント・アクイジション・ディレクター 塲田 聖さん
編集部

森本さんによると、コンサルティング業界では「成果主義」の評価制度を取り入れている企業が多いということでしたが、横河デジタルではいかがですか?

塲田さん

当社では、利益に直結する目標だけでなく、プロセスの目標も設定しています。金額が大きすぎて一年じゃまとめきれないプロジェクトもありますから、プロセスも大切な評価指標になるんです。

また、製造業は安全性を担保することが重要視されるので、納期だけでなく仕事の丁寧さも評価の対象になります

編集部

量ももちろんある程度は大事ですが、質が重視されるのですね。

ワークライフバランスありきのアサイン、プロセスも重視される評価制度と、「アップ・オア・アウト」とは真逆のカルチャーを感じます。

塲田さん

そうですね。当社では、「3年以内にここまで結果を出さなきゃ」というモチベーションの社員よりも、長期的な目線でキャリアを考えている社員が、男女ともに多いです。みんな、長く働き続けることを前提にキャリアプランを考えているんだと思います。

塲田さん

長く働いていると、やりたいことの方向性が変わったり、新しいチャレンジがしたくなったりすることもありますよね。

そういう時にも本人の「やりたい」を最優先できるように、社内公募制度も充実させています。横河のグループ会社を横断して社内公募制度に応募ができ、上長の許可は不要で応募することができるので、希望ベースの異動や兼務をする社員も多数います。

コンサルタント以外の職種に異動して専門性を深めていくことも、スキルの幅を広げていくことも、本人の希望次第でどちらの道も選択できる環境です。

編集部

長く働くことを考えると、ビジネス領域の将来性も気になります。

塲田さん

日本はモノづくり大国なので、たくさんの工場があります。まだまだデジタル化が遅れているところも多く、業務改善やDX化を推進していくことの重要性が認識され始めているフェーズです。

そのため、製造業に対し業務改善やDX、エネルギーの効率化などの提案ができるコンサルタントのニーズは、今後さらに拡大していくと思います。

たとえ日本中の工場がDX化したとしても、海外にもニーズは山のようにあります。実際、横河電機は売上の7割がグローバルです。

当社もグローバルからの引き合いは多く、海外でスキルの幅を広げている女性コンサルタントもいます。

編集部

一見、長く働きたい女性には不向きと思われがちな領域でも、企業の体制や風土を深ぼってみると、長期的にキャリアを描ける企業もあるんだなということが分かりました。

塲田さん、お話をありがとうございました!

横河デジタル株式会社 タレント・アクイジション・ディレクター 塲田 聖さん

取材/光谷麻里(編集部) 文/宮﨑まきこ 撮影/笹井タカマサ

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