
リトルミイから学ぶ“自分らしく働く”勇気「たたかうってことをおぼえないかぎり、あんたは自分の顔をもてるわけないわ」【女の転職type20周年記念】
2025年10月にサイトオープン20周年を迎えた『女の転職type』。その道のりの半分である10年間を、イメージキャラクター『リトルミイ』と共に歩んできました。
この節目を記念して、『女の転職type』編集長・小林佳代子と、日本国内における『ムーミン』のライセンスを管理し、その魅力を広めてきたライツ・アンド・ブランズの代表取締役社長・伊東久美子さんによる特別対談が実現。
なぜ、リトルミイは時代を超えて私たちの心を掴むのか。そして女性作家として生涯活躍を続けた作者トーベ・ヤンソンの生き方から見えてくるものとは。
「ムーミン」の世界から、働く女性たちが変化の激しい時代を「自分らしく」働き続けるためのヒントを探ります。

株式会社ライツ・アンド・ブランズ 代表取締役社長 伊東久美子さん(写真左)
外資系飲料メーカー等にてマーケティングやサプライチェーンマネジメントに従事。その後、ビジネススクールへの進学・留学を経て、国際機関におけるマーケティング業務、北欧ブランドを扱う専門商社を経て、2021年4月より現職。博士(東京工業大学〈現・東京科学大学〉)。国内ビジネススクールにおいても継続的に講師を務めている
株式会社キャリアデザインセンター『女の転職type』編集長 小林佳代子(写真右)
東京女子大学卒業後、新卒でキャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』の求人広告制作に携わる制作部に配属され、1000社以上の企業の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。25年より『Womantype』編集長を兼任。20年にわたり、多くの働く女性の、迷いや悩みを広い視点で捉えつつ、常に深く寄り添い続けてきた。私生活では二男の母として奮闘中
自分に正直、常に前向きに挑戦するリトルミイの生き方
『女の転職type』がリトルミイをイメージキャラクターにお迎えして10年が経ちました。
『女の転職type』は、サービス名に「女の」という文言があるものの、その根幹には「すべての人が自分らしく生きていくため、叶えたい生活を実現できる良い仕事に出会えるように伴走していく」という基本理念があります。
リトルミイは、まさに自分を偽ることなく生きているキャラクター。自分の軸を持って生きるその姿は、『女の転職type』が目指す理想の姿です。
自分に正直で、常に前向きに挑戦するリトルミイの生き方は、『女の転職type』のメッセージとまさにベストマッチですよね。
日本でリトルミイが絶大な人気を誇る背景には、彼女の生き方への共感の高まりと、『女の転職type』が発信し続けてきたメッセージも影響していると感じます。

この10年で、働く女性を取り巻く環境には追い風が吹いてきましたが、一個人が「自分らしく働く」ことの難しさを感じる場面はまだ多いのが現状です。
だからこそ、自分の軸を持ちつつ他人に価値観を無理強いしないリトルミイの姿勢に、私たちが届けたい想いが重なります。

リトルミイを起用した『女の転職type』のキャッチコピー「自分の未来、探してミイ!」
リトルミイを始め、「ムーミン」のキャラクターは誰もが自分の価値観を大切に生きていますし、「自分らしく生きる」の定義もそれぞれ。
『女の転職type』のサイトからも「自分がそう思えればいいんだよ」と背中を押してくれる肯定的なメッセージを感じます。
ありがとうございます!孤独になりがちな転職活動で、「あなたの未来を探してみなよ」と隣で応援してくれている。そんな感覚を届けられていたら嬉しいですね。
働く女性たちが「心の中にリトルミイを持つ」ことが、大きな支えになるのではと思います。
ムーミン谷が教えてくれる“自分の人生”の本質
原作でも、リトルミイは物語を動かす重要なキャラクターとして描かれていますよね。
物語でのリトルミイは、スパイスのように「刺激を与え、開眼させてくれる存在」。
誰かが感傷に浸っているとハッと現実に戻してくれる、モヤモヤした状況に一石を投じる役割なのです。
例えば、茂みの中に何かがいるかもしれないと怖がるムーミントロールに対して、「あんたはなんでもびくびくしすぎよ」(※1)と言うシーン。
とてもシンプルな言葉ですが、心配しすぎて石橋を叩いて叩いて壊してしまうような人にとっては、一歩を踏み出すきっかけにもなるようなお話です。
現代にも通じる色褪せないメッセージが多いですよね。伊東さんが一番好きなリトルミイのセリフは何でしょうか?
私自身が大好きな言葉は「あのさ、たたかうってことをおぼえないかぎり、あんたは自分の顔を持てるわけないわ」(※2)というもの。
自分の考えを持ち、主体的に一歩前に出なければ、何も始まらないことを象徴しています。
私もその言葉が一番好きです!
それから「自分の家をたてなよ!そしたら 部屋はみんなあんたのものじゃない?」(※3)という言葉も本質的ですよね。他人の人生をうらやむのではなく、自分自身の家(人生)を建てなさい、と。

ムーミンシリーズの話で大盛り上がりのお二人
あとは「ねえ、だから走りなさいってば! あんたは走れないの? それとも、ぴょんってはねることさえもできないの?」(※4)という言葉も。
リトルミイは怒っているように見えて、実は「あなたの足で走ればいいんだよ」と力強く応援してくれていると感じました。
いいですよね。リトルミイの他にもムーミン谷には個性的なキャラクターがたくさんいますが、誰も排除されることはなく、「違いがあっていい」という多様性が当たり前に存在します。
例えばムーミンパパは、家族想いでありながら冒険好きで自由。スナフキンは「大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかっていることだよ」(※5)という価値観を持つ。
彼らに共通しているのは「他人と比較せずに、自分の人生を生きている」ことです。
ムーミン谷の皆を見ていると「大切なのは自分の人生を生きること、仕事はそのための一つの手段」という当たり前のことに気付かされます。
私たちも、サービスを使ってくださる方が自分の人生にとって大事なものを見つけ、それを叶えるための仕事探しをサポートする存在でありたいと、改めて感じますね。
(※2)小説『ムーミン谷の仲間たち』(講談社)より
(※3)コミックス4巻『恋するムーミン』(筑摩書房)より
(※4)小説『ムーミン谷の仲間たち』(講談社)より
(※5)小説『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)より
「自分の心に正直に」作者トーベ・ヤンソンの生き方
「ムーミン」の物語の根底には、作者のトーベ・ヤンソンが育ったフィンランドでも浸透している、「平等」を大切にする価値観が息づいています。
フィンランドは、世界で初めて女性に参政権と被選挙権の両方を認めた国であり、男女共に育休を取るのが当たり前とされるなど、今やジェンダー平等や多様性を尊重する文化が根付いている国として知られています。

ただし、トーベ・ヤンソンがムーミンの物語を描いていた頃のフィンランドは、女性の参政権こそ制度化されていたものの、市民生活のなかに「平等」の価値観が浸透していたとはまだまだ言い切れなかったようです。
彼女自身も、芸術家として、そして一人の女性として、社会の中で自分らしく生きることに葛藤しながらも、常に「自分の心に正直に」生きようとしていました。
そうした彼女の姿勢が「ムーミン」の物語にも自然と反映されており、また、現在のフィンランドに流れる文化や価値観とも共通する部分がある気がします。
私も10年ほど前にフィンランドを訪れ、平日の昼間に男性が当たり前のようにベビーカーを押している光景に衝撃を受けました。
私もフィンランドに行くたびに、その「フィンランドの当たり前」のカルチャーには驚かされます。本当の意味での平等や多様性について、強く意識させられますよね。
トーベ・ヤンソンさんと言えば、生涯仕事を続けてきた女性としても知られていますよね。フィンランドの文化に加えて、彼女自身の人生も、物語の世界観に反映されているのでしょうか。
これはトーベ本人ではなく、姪のソフィア・ヤンソンなどから伝え聞いた話になりますが、彼女は生涯を創作活動に捧げた「自分に非常に正直な人」でした。

人生で二つの世界大戦と内戦を経験する中で、「こうあってほしい」と願う理想の世界をムーミンの物語に描き、多様性や自由、平等といった普遍的な価値観を表現したのです。
そこで描かれた価値観や、自然との共生といったテーマは、作品が発表された80年前から今に至るまで色褪せることがありません。
また、同性のパートナーと添い遂げるなど、生き方そのものも正直な人でした。まだ社会がそれを認めない時代に、「それでも一緒にいたい」という自分の心に従い、貫いたのです。
トーベさんが生きた時代は、決して彼女の生き方をすべて肯定する社会ではなかったはず。その中で「これが私の幸せだ」という思いを貫いた意志の力は、本当にすごいと思います。
私たちはつい、社会の価値観や他人の評価に縛られてしまいがちですが、トーベさんのように「自分にとっての心地よさとは何か」「何を選ぶことが自分の幸せか」という自分自身の価値基準を持つことが、「いい仕事、いい人生」を見つけるための第一歩なのだと改めて感じました。
「自分らしく生きる勇気」を後押ししたい

トーベさんのように、他人に依存せず自分の足で立ち、経済的な自立を手にすることも、女性が自分らしく生きるためには不可欠な要素です。
だからこそ『女の転職type』では「自分の人生の舵は自分で取ろう」というメッセージを働く女性たちに伝えていきたいと思っています。
すてきですね。私たちは、80年前からトーベが作品に包摂していた「多様性」や「自由」といった普遍的な価値観を、現代に合わせて再解釈し、伝えていくことを役割としています。
『女の転職type』と共に、今後もその価値を届けられたらと思います。
そう言っていただけて嬉しいです!
ムーミンブランドのコアバリューの一つに「Courage(勇気)」という言葉がありますが、私はこれを「自分らしく生きる勇気」だと感じています。
自分の人生の舵を取るには、一人一人の勇気が必要不可欠。『女の転職type』はこれからもリトルミイと共に、すべての女性が「自分らしい人生」を実現するための一歩を、応援し続けていきたいと思います。
取材・文/上野真理子 撮影/笹井タカマサ
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Woman type編集部