辻希美「昔は一人で育児を抱えてた」応援される働くママの“周り育て”の秘訣
2025年8月に第五子を出産し、家族7人の暮らしをスタートさせた、辻希美さん。
YouTubeに映る杉浦家の穏やかな日々に、「理想の家族」と憧れを抱く女性は多い。夫の杉浦太陽さんや子どもたちが「働くママ」としての辻さんを尊敬し、自然に支え合う姿も印象的だ。
しかし辻さんは、「最初から夫と協力して子育てできていたわけではなかった」と語る。長女・希空さんが幼かった頃はうまく周囲を巻き込めず、育児を一人で背負い込み、夫婦げんかばかりしていたという。
そんな日々を越えて、今では夫や子どもたち、祖父母、仕事仲間までが辻さんの“応援団”になっている。辻さんはどうやって、周りの人たちを味方につけ、「協力される働くママ」になっていったのか。辻ちゃん流“周り育て”の秘訣に迫る。
辻希美さん
1987年6月17日生まれ。2000年、モーニング娘。の第4期メンバーとして選ばれデビュー。04年に同グループを卒業後、ユニット活動を経てソロとして活躍。07年に結婚、出産。現在は5人の子の母として育児の傍ら、TV・イベントに出演のほかアメブロやインスタグラムを日々更新中。You Tube「辻ちゃんネル」では、等身大のリアルな姿が共感を呼んでいる。25年8月8日に第5子が誕生
■Instagram / YouTube
周囲の人みんなが育児のサポーターに
辻さんが上梓された『杉浦家、7人生活スタートです。』(講談社)の中で、パートナーの杉浦太陽さんやお子さんたちが「仕事を頑張ってるママがかっこいい!」「12歳からこの業界で頑張り続けてるのがすごい!」と語っている姿がとても印象的でした。
先日誕生した第五子・夢空ちゃんのお世話も、家族みんなで協力しているそうですね。
そうですね。長女の希空はヒマさえあれば抱っこしてるし、ミルクをあげてからゲップを出すところまですっかりマスターしました(笑)。
長男も次男も三男も、「ゆめは?」っていつも気にしてます。
想像するだけでほっこりします。
それにしても、5人も子どもを育てながら働き続けられるのは本当にすごいです……!
いや、私一人だったら仕事を続けるのは絶対無理です! 家族のサポートがあるからこそ続けられてるなと、日々感じます。
特にどんな時にサポートのありがたみを感じますか?
日々感じてますが、いちばん実感するのは子どもが体調を崩した時かな。
どうしても仕事に行かなければならない場面は多いので、母に助っ人をお願いして乗り切ることもよくありました。「母がいなかったらどうなっていただろう」と思うことは、これまで何度もありましたね。
おばあちゃんの手助けはありがたいですね。
辻さんの場合は、パパとの協力体制についても「うらやましい!」「すてきなパートナー!」という声が働くママたちからたくさん上がっていますよね。
子どもが5人いるので、協力せざるを得ないっていうのもありますけど(笑)、パパの助けには本当に救われています。
第五子の夢空の出産が夏休み中だったので、みんな家にいたんですけど、私は動けないじゃないですか。そんな時にパパが子どもたちを外に連れ出して、夏休みを楽しませてくれたのはすごくありがたかったです。
マネージャーさんや仕事仲間の方たちにも本当に助けてもらっていて、周囲の人たちには感謝しかないです。
育児との両立をサポートしてくれているのは、ご家族だけじゃないんですね。
はい。特にマネージャーさんは、第一子の希空が赤ちゃんの頃からずっと一緒に見てくれていて。希空がわがままを言った時なんか、私以上に叱ってくれたりもして(笑)。
すごい!もう家族みたいですね。
本当にそうなんです。手を貸してくれるだけじゃなくて、愛情を持って一緒に子どもたちの成長を見守ってくれる人たちがいることは、私にとってすごく大きな支えになっています。
一人目はほぼワンオペ育児、夫に不満をぶつけてばかりの毎日
辻さんの周りには、家族をはじめ支えてくれる方がたくさんいて、すてきですね。
なかなかパートナーの協力が得られない働くママからすると、うらやましくなっちゃいます。
よく言われますけど、実は最初はそうでもなかったんですよね。希空が小さい頃はパパがすごく忙しくて、ほぼワンオペ育児でした。
意外です! そうなると、育児の分担をめぐって揉めたりしませんでしたか?
しょっちゅうケンカしてましたよ。
当時は男性の育休も今ほど一般的じゃなかったし、「お父さんが育児をするのは当たり前」という空気もまだ薄かった。そういう時代の雰囲気も、少なからず影響してたのかなと思います。
今のお二人からは想像がつかないですが、変化のきっかけは何だったんですか?
一人目の時は、なんだかんだ私一人でも回せちゃってたんですよね。でも二人、三人と子どもが増えていくと、さすがに私だけじゃ手が足りなくなる。その様子を一番近くで見ていたから、パパも少しずつ協力モードに変わっていったんだと思います。
辻さんの方から何か働きかけたこともあったんでしょうか?
怒りや不満をぶつけるだけだと、なかなか良い変化って生まれなくて。だから、コミュニケーションの取り方をちょっと変えてみました。
「パパだと泣き止むね」みたいに、いいなと思ったことはちゃんと口に出して褒めるというか、持ち上げるというか(笑)。
それと、良かれと思ってやってくれたことに文句を言っちゃうと、「じゃあもういいよ!」って気持ちになっちゃうと思うので、指摘の仕方もなるべく気をつけるようにしましたね。
大人……! でも、不満が溜まっている時に褒めたり持ち上げたりするのって、正直かなり難しくないですか?
私一人で頑張ってたら、難しかったかもしれないです。でもうちは、お互いにコミュニケーションの取り方を変えたから、うまくいったのかなって思います。
私も彼も、お互いの性格をちゃんと踏まえたうえで、「こう伝えたら届くんだな」とか「こういうやり取りなら仲良くいられるな」とか、二人で一緒に学んでいった感じなんですよね。
私も意識して持ち上げてたし、たぶん彼も、同じように私のことを持ち上げてくれてたんじゃないかな。
なるほど……。これから結婚や出産などのライフイベントを迎える女性たちも、早い段階からパートナーと、お互いが心地よくいられるコミュニケーションの取り方や、気持ちの伝え方を探っておけると安心につながりそうですね。
軽いノリなら「つらい、しんどい」を口にする勇気が出る
辻さんの場合、パートナーだけでなく、お子さんたちや仕事仲間までみんなが両立を応援してくれていますよね。
周りの人たちを“応援モード”にできているのは、なぜだと思いますか?
私は仕事でも育児でも、つらいことやしんどいことがあったら、夫や母、職場の人たちに「助けて」ってすぐ言っちゃうんです。そうすると、みんながそのつらさを一緒に受け止めてくれて、ふっと軽くなる。
しんどさって、口に出さないと伝わらないんですよね。だから素直に「つらいよ、しんどいよ」って言ってみると、周りの人たちも少しずつ“応援する側”に回ってくれるんじゃないかなと思います。
働く女性の中には、辻さんのように口に出したい気持ちはあっても、うまく助けを求められない人も多い気がします。
そういう人が、周りに協力してもらいながら「応援される働くママ」になっていくには、まず何から始めるといいでしょうか?
しんみりと「ちょっと話を聞いてほしいんだけど……」って入ると、言う方も勇気がいりますし、聞く方も構えちゃうかもしれない。だから私は、あえてライトなトーンで話すことが多いです。
イライラしたこととか悩んだこととかを、いつものテンションでぽんって出す。そうすると相手も気負わず聞いてくれることが多いんですよね。
たとえその場で解決しなくても、話せただけで気持ちが軽くなるし、状況を知ってもらえるだけでも十分って思うようにしています。
実際、吐き出すだけでスッキリしちゃうこと、けっこうあります(笑)
なるほど。まずは一番身近なパートナーに、日々の小さな「しんどい」を少しずつ共有していくことが、周囲を応援モードに変えていく第一歩になりそうですね。
そうですね。ズーンと深刻な空気で話すんじゃなくて、「お茶しながら雑談する」くらいのトーンで、「今こんなことが大変でさ……」って出していけるといいと思います。
辻さんのお子さんたちも、働くママをリスペクトしてすごく協力的ですよね。お子さんたちにもお仕事の話をするんですか?
子どもたちにはあまり仕事の話はしないです。
ただ、小さい頃は現場に連れていくこともよくあったし、YouTubeを始めてからは家で撮影したり、パソコンで作業したりする姿を見せることが増えたので、“働くママの背中”をリアルに見ているから、自然と応援してくれているのかもしれないですね。
言葉にしなくても、お母さんの働く姿を見て「かっこいい」「応援したい」って気持ちが育っていったんですね。
それは、あるかもしれないです。
今は第五子を出産されたばかりで、すごく大変な時期だと思いますが、これからお仕事でチャレンジしたいことはありますか?
今はYouTubeの仕事がメインなんですけど、やっぱり私はバラエティーが大好きなので、バラエティーのお仕事もまたやりたいなって思っています。
それと、今回本を出しましたけど、自分の経験をもっといろんな場所で発信していきたいですね。
働くママたちも、これからライフイベントを迎える女性たちも、辻さんの発信に救われたり、背中を押されたりする人がきっとたくさんいると思います。
そうだったら、すっごくうれしいです!
取材・文/光谷麻里(編集部) 撮影/笹井タカマサ
書籍情報
『杉浦家、7人生活スタートです。』(講談社)
希空(長女)、青空(長男)、昊空(次男)、幸空(三男)、
そして夢空(次女)が誕生!
家族が好き。子育てが好き。仕事が好き。
5人めを迎えた「辻ちゃんのすごすぎる日々」が1冊に!
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「子育てをしていると楽しいことばかりではありませんよね。
不安になったり、怒ったり、泣いたり…… 悩みは尽きません。
完璧な母になれるとは思ってないけれど、
それにしてもうまくいかないことばかり。
5人の母になっても子育ての正解は見つかっていません」
(「はじめに」より)
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