好きな仕事と不妊治療の両立が難しい…後悔しないために知っておきたい “どちらも捨てない”両立法 【相坂サオリ】

好きな仕事と不妊治療の両立が難しい…後悔しないために知っておきたい “どちらも捨てない”両立法 【相坂サオリ】

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20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します

今回寄せられたのは、不妊治療と接客業の仕事の両立に悩む女性のお悩み。

やりたい仕事と不妊治療の両立が難しい場合は、どっちを優先したら後悔しない……?

そんな相談に回答するのは、企業向けの「女性のキャリア研修」講師であり、ワーママのキャリアとビジネスについての書籍『らしく起業』の著者でもある相坂 サオリさん。

自身も不妊治療とキャリアの両立に悩んだ経験がある相坂さんに、自身の経験とキャリアコンサルタントの視点を踏まえて、アドバイスをもらいました。

株式会社LASSIC 代表取締役CEO 相坂 サオリさん

株式会社LASSIC 代表取締役CEO 相坂 サオリさん

青山学院大学卒業。株式会社電通を経て、2020年に株式会社LASSICを設立。自身が不妊治療とキャリアに悩んだ経験から国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、個人向けキャリア支援や、企業向けキャリア研修講師などを担当。2025年、女性のキャリアとビジネスについて書いた著書『らしく起業家~キャリア迷子の会社員だった私が見つけた、“ゼロからマイビジネスを作る”自分らしい働き方~』を出版。他、多数メディア・イベント出演 ■X

お悩み:好きな仕事と妊活…どっちを優先すべき?

32歳/アパレル販売員/転職経験1回

アパレル販売員として働いていますが、シフト制のため不妊治療との両立が難しく、転職を考えています。

職場の人たちは協力的なのですが、通院日が急に決まることも多く、その度にシフト調整をお願いするのが精神的につらくなってきました。

不妊治療との両立を優先するなら、リモートワークやフレックス勤務が可能な事務職などに転職したほうがいいのではと思う一方で、今の仕事にはやりがいを感じており、「やりたい仕事」と「不妊治療と両立しやすい仕事」のどちらを優先すべきかで悩んでいます

アパレル販売員の仕事を続けながら両立する方法を考えるべきなのか、それとも今は妊活を優先して働き方を変えるべきなのか。どのような視点で選択すれば後悔しないでしょうか。

好きでやりがいのある仕事を続けたい気持ちと、不妊治療を優先したい気持ち。その間で揺れて、出口のないモヤモヤした悩み、私も経験しました。

特に不妊治療は、通院日が直前に決まったり、体調が読めなかったりと、スケジュール管理が難しいものですよね。

周囲が協力的であっても、毎回シフト調整をお願いすることに申し訳なさを感じてしまい、その精神的ストレスすら不妊治療によくないのではと考えてしまう、ということもあるかもしれません。

多くの方がここで、「仕事を取るか」「妊活を取るか」という二択しか答えがないと思いがちですが、両者をすり合わせて折衷案も出すことができます。

すべて理想のかたちとはならなくても、働くうえで譲れないものはキープしながら両立する方法について、お話ししていきますね。

「どちらか捨てる」以外の選択肢を見つける3つのステップ

私はこれまで、企業の人事や経営に関わる立場として多くの女性のキャリア相談を受けてきましたが、後悔の少ない選択をしていただくためによくアドバイスしているのが、「今すぐどちらかを捨てる」のではなく、「選択肢を整理して考える」ということです。

今回のお悩みの解決策は、「好きな仕事か、妊活か」ではなく、

・何を優先したいのか、何だったら妥協できるのか

・何を一時的に調整できるのか

・将来の自分にとって納得できる選択は何か

を整理することです。

そのための具体的な考え方を、一緒にステップで整理していきます。

アパレル販売の仕事をする女性

【STEP1】今の仕事で「何が変われば両立できるか」を言語化する

まず、「辞めるか続けるか」を考える前に、今の仕事を前提にした場合、何が変われば両立可能になるのかを書き出してみてください。

例えば、

・曜日固定のシフトにできれば続けられる
・店舗異動で通院しやすいエリアに移れれば可能
・売り場からバックオフィス業務に一時的に変更できれば続けられる

など、具体的に選択肢を棚卸ししてみます。

ここで重要なのは、はじめから「会社には調整してもらえない」と決めつけないこと

実際、企業側も人材確保が難しい時代です。優秀でやる気のある人材をつなぎ止めたいと考えている会社も多く、勇気を出して相談してみると、案外あっさり調整できたりします。

一度、上司や人事に「治療期間中の働き方について相談したい」と正式に話し合う機会を持つのも一つの選択肢です。

【STEP2】「やりがい」の正体を分解する

「今の仕事が好き」という気持ちは、とても大切です。

でも、その「好き」の正体は何でしょうか。

お客さまと直接接すること?
コーディネートを提案すること?
売上をつくる達成感?
ファッションそのものへの情熱?

やりがいの中身を分解すると、「アパレル販売」という職種でなくても満たせる要素が見えてくることがあります。

例えば、

・ファッション系ECサイトやアプリを運営
・ファッション系の広報やSNS担当
・スタイリング提案を活かせるカスタマーサポート
・アパレル以外の接客業

など。

リモートやフレックスが可能なかたちで、業界内でキャリアを横に広げる選択肢もあります。

また最近では、イメージコンサルタントなど、ファッション系の職種でフリーランスとして活躍する人もいます。

大切なのは、「職種」にとらわれずに、自分のやりがいの正体を見抜くことです。

そうすると、おのずと具体的な選択肢が見えてきます。

自分のやりがいの正体が分かれば、転職することにしたとしても、好きな仕事を完全に手放したという気持ちもなくなるのではないでしょうか。

アパレル業界において本社で働く女性の写真

【STEP3】転職するなら「働きやすさのリアル」で見る

STEP1・2を整理したうえで、それでも転職を考える場合は、「なんとなく両立しやすそう」で選ばないことが大切です。見るべきは、その会社で本当に両立できるかどうか

見極めるポイントは3つ。

1.制度が「ある」ではなく「使われている」か
フレックスやリモート制度があっても、実際に利用している人がいなければ意味がありません。産休・育休の取得実績や、フレックス・リモートの普及率を確認しましょう。

2.評価のされ方
評価制度は、プロセス重視なのか、成果重視なのか。通院がある場合は、成果重視の企業の方が調整しやすい傾向があるので、企業カルチャーも口コミサイトなどでチェックしましょう。

3.納期や締め切りが長い職務かどうか
職務内容的に、長期的なスケジュールで動ける仕事か、それとも短納期や締め切りが多い仕事かで、両立のしやすさが変わります。

例えば、企画や経営戦略などの職種は長期的に仕事を進める傾向があるため、スケジュールも調整しやすいことが多いです。

クリエーティブ職や広報は短い納期で動くことが多い傾向があるため、具体的な仕事の進め方をよく確認することをおすすめします。

締め切り間近に多忙を極める女性の写真

不妊治療で悩んだ経験は、キャリアの糧になる

私自身もこれまで仕事と不妊治療の両立で、何度も悩み、そして何度も涙した経験があります。

一人目のときに、会社員を辞める選択をし、二人目のときは、すでに独立はしていましたが体外受精までステップアップしたので仕事をセーブせざるを得ませんでした。

その中で常に自分に問いかけていたのは、「どうすれば後悔しないか」ということです。

感情のまま決めると、「あのとき続けていれば」「あのとき挑戦していれば」と後悔が残ります。でも、ちゃんと自分と向き合って、心に正直になって選んだ答えなら、どの選択肢を選んで、どんな結果が出たとしても、自分の生き方に納得ができるはずです。

好きな仕事を持てていることは、とても素晴らしいことです。同時に、自分の体と向き合おうとしていることも、尊い選択です。

二つを天秤にかけるのではなく、「どうすれば両方を守れるか」「どの順番なら納得できるか」を考えてみてください。

私は、不妊治療も子育ても、キャリアの一部だと思っています。

真剣に悩み抜いた経験、どうすればうまく両立できるか工夫と気遣いに奔走した経験は決して無駄ではありません。きっと、これからのキャリアの糧にもなるはずです。

いつか部下や後輩が同じような状況に置かれたときも、あなたの経験はきっと彼女の励みになるでしょう。

焦らなくて大丈夫です。キャリアの道のりは、まだ長く続きます。

あなたが主体的に選んだ道なら、その選択はきっと、未来の自分を支えてくれると思います。

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