渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』10年ぶりの再集結で語る“いい仕事”を続けるために大切なこと

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』10年ぶりの再集結で語る“いい仕事”を続けるために大切なこと

特集:推しのお仕事!

いま日本各地で熱烈に「推されている」注目の人に、仕事に対する知られざる努力とこだわりをテーマにインタビュー。彼・彼女たちがファンから「激推し」される理由を探ります!

2012年に『週刊少年ジャンプ』で連載がスタートし、社会現象とも言える広がりを見せた『暗殺教室』。

実写映画化、テレビアニメ化を経て、多くのファンに“推され続けてきた”この作品が、TVアニメ放送10周年プロジェクトの大団円として2026年3月20日から『劇場版「暗殺教室」みんなの時間』となって帰ってくる。

そこで今回は、本作で潮田渚役(シオタ ナギサ)・蛍役(ホタル)の1人2役を演じる渕上舞さん、赤羽業役(アカバネ カルマ)を演じる岡本信彦さんにインタビュー。

10年という時間は、キャラクターだけでなく、演じる側にも変化をもたらしたはず。それでもなお、10年の時を経て自然に役へ立ち戻れた理由は何か。

そこには、キャリアを重ねる中で培ってきた仕事への向き合い方と、「いい仕事」を続けるための矜持があった。

渕上 舞さん

渕上 舞さん

5月28日生まれ。福岡県出身。主な出演作は『ドキドキ!プリキュア』四葉ありす、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』イオナ、『ガールズ&パンツァー』西住みほなど。2018年には、ソロ名義でのCDデビューを果たし、アーティストとしても活動 XInstagram

岡本信彦さん

岡本信彦さん

10月24日生まれ。東京都出身。2009年第三回声優アワード『新人男優賞』受賞、11年第五回声優アワード『助演男優賞』受賞。主な出演作は『青の祓魔師』奥村 燐、『僕のヒーローアカデミア』爆豪勝己、『ハイキュー!!』西谷 夕、『鬼滅の刃』不死川 玄弥など。XInstagram

10年ぶりに再集結した『暗殺教室』の現場

『暗殺教室』
編集部

TVアニメ放送から10年。久しぶりに『暗殺教室』の世界に戻ってみて、率直な感想を教えてください。

渕上さん

もっと時間の経過を感じるのかなと思っていたんですが、アフレコが始まったら一瞬で当時の感覚に戻れたんです。皆さんの声を聞いた瞬間に「あ、この空気だ」と思えて。

10年経っているはずなのに、時間を感じさせないお芝居で、本当にプロのすごさを感じました。

岡本さん

僕も同じですね。今回、アフレコが本当にあっという間に終わって。ロビーでしゃべっている時間の方が長いんじゃないかってくらい(笑)。

滞りなく進んでいく感じが、「みんなの中にキャラクターがちゃんと生き続けているんだな」と思わせてくれました。

渕上さん

今回は残念ながら、岡本さんと共演する場面はなかったのですが、本当にその通りでしたね。

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
編集部

では「10周年だから」と、特別に意識したことはなかった?

岡本さん

そうですね。思い出そうというよりも、現場でみんなの声を聞けば自然に戻れるだろうと、あえて構え過ぎないようにしていました。

渕上さん

私も準備をしすぎるというよりは、今の自分で素直に向き合おうと思っていました。10年前と同じようにやろうとするのではなく、今の自分でできることを大切にしよう、と。

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
編集部

10年という時間を経たからこそ、感じたことはありますか?

渕上さん

この10年で、それぞれ環境も立場も変わっていると思うんです。でも、マイクの前に立つと自然と当時に戻れる。その感覚がとても心強かったですね。積み重ねてきた時間があるからこそ、安心して身を委ねられる現場だったなと思います。

岡本さん

当時はとにかくがむしゃらでしたけど、今は少し俯瞰して役を見られるようになったかもしれません。

同じ役でも、「どう魅せるか」を考える余裕ができたというか。経験を重ねた分、余白を持って向き合えた感覚があります。

「皆と同じじゃなくていい」捉え方が変わったワケ

編集部

ここまで自然に役へ立ち戻れた背景には、お二人それぞれのキャリアの積み重ねがあると思います。これまでを振り返って、ターニングポイントになった出来事はありますか?

岡本さん

今回僕が演じた「赤羽業」のような少し尖ったキャラクターを演じる機会が多くなった頃が、一つの転機だったと思います。

正直に言うと、自分の地声とは距離がある役だったので「できるのかな」と思う部分もありました。でも、やってみたら意外と演じやすかったんです。

自分自身が普段あまり怒らない性格だからこそ、ファンタジーとして思い切り振り切れる。自分と遠いからこそ、客観的に組み立てられたのかもしれません。

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
編集部

“自分と違う役”だからこそ、フィクションとして演じられるようになったと。

岡本さん

そうですね。例えば、怒っている人を俯瞰して見てきた経験が、芝居に生きたこともありました。自分の性格そのままで勝負するというよりは、「どう料理するか」を考えるようになった。その意識の変化は大きかったと思います。

編集部

渕上さんのターニングポイントはいかがですか?

渕上さん

私にとっては『ドキドキ!プリキュア』ですね。それまでは新人だったこともあって、「若手たるもの元気よく、イエスマンで、ちゃんと頑張らなきゃ!」という気持ちが強かったんです。でも、その現場はすごく空気がよくて。無理にみんなと同じでいなくてもいい、という雰囲気があったんですよね。

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
編集部

「プリキュアらしさ」も感じますね。具体的に、ご自身にどんな変化があったのでしょうか。

渕上さん

「人は人、私は私」と思えるようになったことです。輪の中心にいなくてもいいし、無理に合わせなくてもいい。自然体でいても受け入れてもらえたことで、肩の力が抜けました。

そこからは、 少し影のある役や、表面では笑っているけれど本音が別にあるような役をいただくことが増えていきました。自分に向いている役、そうでない役を俯瞰して考えられるようになったのも、その頃からです。

「何でも完璧にやらなきゃ」ではなく、「自分の強みをどう生かすか」と考えられるようになりました。

編集部

お二人とも、“自分を知ること”が転機だったのですね。

岡本さん

そうかもしれません。自分の得意な角度をより理解した方が、結果的に仕事は面白くなる気がします。

渕上さん

私も同じです。本当は、何でも100%でできちゃうのが一番良いとは思うんですけれど、そこはもう考え方次第なのかな、と。

「いい仕事」は自分が楽しむことから

編集部

お二人が考える「いい仕事」とは何でしょうか。プロとして大切にしていることを教えてください。

岡本さん

お芝居に関して言うと、正解はないと思っています。だからこそ、自分の中で「どう楽しむか」がすごく大事だと思っていて。

僕が事務所の後輩にまず伝えるのは、「キャラクターの好きと嫌いを見つけてね」ということと、「遊び心を持とう」ということですね。

編集部

“遊び心”はたしかに大切ですが、“好き嫌い”も?

岡本さん

キャラクターを他人事にしないためです。好きなところ、嫌いなところをちゃんと見つけると、急にその役が自分の中で立体的になる。あとは、自分自身で仕事を楽しんでいくこと。人生一回きりですし、どうせなら楽しんだ方が得だと思うんです。

編集部

たしかに岡本さんは、常にポジティブなイメージがあります。

岡本さん

じつは学生時代、ネガティブな方だったんです。でも仕事を続ける中で、「ポジティブでいた方が楽だし、結果的にうまくいくことが多い」と気付いたんです。だったら、そっちを選ぼう、と。

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
編集部

渕上さんにとっては、プロとして大切にしていることは何ですか?

渕上さん

私も「楽しむ」という点はすごく共感します。ただ、私はもともと超ネガティブで、石橋を叩いて渡らないタイプだったんです(笑)。人と話すのが苦手で、現場であまり話せなかった時期もありました。

編集部

そこから変わろうと思ったきっかけは?

渕上さん

「もっとこうしておけばよかった」と後悔することが増えたからです。だったら、うまくいくかどうかは置いておいて、とりあえず一歩踏み出してみようと。最近は、現場で誰かに話しかけることを意識しています。

編集部

演技以外の部分からも、現場を良い時間にしようと。

渕上さん

はい。たとえお芝居が思い通りにいかなかった日でも「あの人と話せて楽しかったな」と思ってもらえたら、その現場は私にとって意味のある時間になる。そうやって自分の中で“良い一日”を増やしていくことが、結果的にいい仕事につながるのかなと思っています。

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
岡本さん

結局、自分の機嫌を自分で取れるかどうか、なのかもしれないね。

渕上さん

本当にそうだと思います。

“推され続ける”二人の原動力

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』
編集部

日頃“推される”存在でもあるお二人が、日々の仕事を頑張る原動力になっている「推し」は何ですか?

岡本さん

僕はチョコレートですね。

渕上さん

本当に好きだよね(笑)

岡本さん

ごはんがチョコでもいいくらい好きです。好きなパティシエさんもいて、時間があればチェックしています。筋トレもしていますけど、チョコはやめられないんですよね。その分、スクワットをすればいいかなと(笑)。一粒食べたらスクワット20回。

編集部

きちんと帳尻を合わせているんですね(笑)

岡本さん

好きなものを我慢しすぎると続かないと思っているんです。楽しみがあるから頑張れる。そのバランスは大事にしています。

編集部

渕上さんはどうですか?

渕上さん

「推し」というわけではないのですが、原動力になっているのは、デビュー当時から掲げている「働かざる者、食うべからず」という自分なりのテーマです。働いた分だけ、自分の好きなものを買ったり、経験したりできる。それがシンプルにうれしいですね。

あとは娘のものを選ぶ時間も楽しいですし、そのためにも頑張ろうと思えます。働いて得たもので自分や家族の時間が豊かになる。それが一番のモチベーションかもしれません。

岡本さん

仕事って大変なこともありますが、ちゃんと自分に返ってくるものでもありますよね。

渕上さん

はい。だからこそ、できるだけ前向きに続けていきたいなと思います。

編集部

自分のことを知って、自分の機嫌を取ること。それがお二人にとって「いい仕事」につながるのだと分かりました。ありがとうございました!

取材・文/於ありさ 撮影/笹井タカマサ 編集/大室倫子(編集部)

2026年3月20日『劇場版「暗殺教室」みんなの時間』全国公開!

渕上舞×岡本信彦『暗殺教室』

公開日:2026年3月20日(金)全国公開
タイトル:『劇場版「暗殺教室」みんなの時間』
原作:「暗殺教室」松井優征(集英社 ジャンプ コミックス刊)
出演:福山潤、渕上舞、洲崎綾、岡本信彦、ほか
監督:北村真咲
脚本:上江洲誠
音楽:出羽良彰、石塚 徹
主題歌:『Teacher』/友成空(cutting edge)
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ 
クレジット:©松井優征/集英社・アニメ「暗殺教室」製作委員会 2025
公式サイト:https://ansatsu-anime.com/
公式 X:@ansatsu_anime  #劇場版暗殺教室