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NOV/2017

【俳優・濱田岳】「流されていこう、自分の意志で」比較しない、悩まない、決め付けない働き方

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一流の仕事人には、譲れないこだわりがある!
プロフェッショナルのTheory

今をときめく彼・彼女たちの仕事は、 なぜこんなにも私たちの胸を打つんだろう――。この連載では、各界のプロとして活躍する著名人にフォーカス。 多くの人の心を掴み、時代を動かす“一流の仕事”は、どんなこだわりによって生まれているのかに迫ります。

働く女子は、どこかで自分探しの時期に直面するもの。「もっと自分らしい仕事がしたいな」と思ってみたり。「何が自分らしさなんだろう」と悩んでみたり。答えなんてないのは分かっていても、ついぼんやりとそんなことを考えて立ち止まってしまう。

そんなとき、ふとテレビでこの人を見かけると、何だか妙に安心する。俳優・濱田岳さん。

濱田さんが演じる役どころはいつも、どこか親しみやすく、いい意味で“濱田岳っぽい”。同世代の中でも屈指の個性派としてのポジションを確立しながら、濱田さんは常に自分らしいスタイルで、競争の激しい世界をマイペースに進んでいる。

濱田岳
濱田 岳(はまだ がく)
1988年6月28日生まれ。東京都出身。98年、ドラマ『ひとりぼっちの君に』でデビュー。06年、『青いうた〜のど自慢 青春編〜』で映画初主演を飾る。映画『アヒルと鴨のコインロッカー』で第22回高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞。ドラマ『釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜』で主役・浜崎伝助を演じ話題に。現在、連続テレビ小説『わろてんか』に出演中

Amazonオリジナルドラマ『日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~』もそんな濱田岳らしさが全開の作品だ。どうして濱田さんはこんなにものびのびと自分らしくいられるんだろう。その仕事への向き合い方から、自分らしく働くということについて考えてみたい。

「誰かと自分を比較しない」悩み知らずで仕事を続けるコツ

本作で濱田さんが演じるのは、人生に行きづまり、強い男になるべく、一旦仕事を止めバイクで日本一周を目指すマンガ家・吉本浩二。と言っても、決して自由でカッコいいロードムービーというわけではない。バイクが故障して、雨の中、ロードサービスが来るのを待ったり。フェリーで胡散臭い男に絡まれて、寝られず一晩過ごしたり。一念発起して日本横断の旅に出たにもかかわらず、吉本は情けなくって冴えないまま。そんな等身大の主人公が濱田さんにぴったりと似合う。

「吉本くんは強い男を目指して旅に出るわけですけど、僕から見たらすでに十分強い男です。だって旅に出るという決断ができたわけだし、野営で日本一周なんて、そうできない。まあ、たまに欲に負けてホテルに行っちゃったりするんですけど、そこも人間らしくて魅力的なキャラなんです」

実は、濱田さん自身はあまり深く悩まない性格なのだとか。

濱田岳

「これまでの人生を振り返っても、行きづまるとか、何カ月も同じことをグルグル考えたという経験が1回もない。ネガティブになる瞬間もあんまりないかな。うっかり『YouTube』で怖い動画を見ちゃって寝られなくなるくらいです(笑)」

そうおどけて周りを笑わせる。根っからのポジティブではない。言わば、ゆるいポジティブ感が、濱田さんの魅力だ。

「たぶん親の育て方が影響している部分はあると思います。うちの親はたとえばポケモンが流行っていた当時、『皆が持ってるから僕も欲しい!』って言ったら、『本当に皆が持ってるの?』と問いつめるタイプ(笑)。そういう日常の小さいところから常に『あなたはあなたなの』と育てられてきたせいもあって、あまり人と比べることがないのかもしれません。別に自分に自信があるわけではないですけど、自分なりにできることで楽しもうって。そういう性格は子どもの頃からずっと変わってません」

「誰かみたいになろう」と思って努力するより、自分らしさを大切にしたい

芸能界デビューは10歳のとき。「良い経験になるよ」と連れ出された初めてのオーディションで大役を射止めた。その芸歴の長さと飄々とした演技が評価され、まだ20代ながら演技派俳優の呼び声は高い。だが意外なことに、いわゆる演技レッスンと呼ばれるものはほとんど受けたことがないのだそう。

「後にも先にも演技レッスンと呼ばれるものを受けたのは、初めての現場(ドラマ『ひとりぼっちの君に』)のときだけ。そこで監督に『台本に句読点は打っているけど、君は喋るときに句読点を打って喋っているのか? 書かれているままやろうとせず、自分らしく普段どおりに喋りなさい』って教えられたんですよ。その言葉が子ども心にしっくり来て。そこから仕事の現場でも普段通りの自分でいるというか、『自分は自分らしく』というスタンスになっていきました」

だからだろうか。独特のテンポで繰り出される台詞回しも相まって、濱田さんの演じる役柄は、いつも濱田岳らしさがにじみ出る。

濱田岳

「役づくりも、あくまでベースは自分。もちろん物語の中の彼らはそれぞれの人生を送っているんですけど、その役と似ている部分や共感する部分を自分の引き出しの中から見つけ出して、それを膨らませるという感じです。だから今回の吉本にしても、例えばハマちゃんにしても、全部僕と言えば僕なんですよ」

貫いてきた自分らしさ。それは、人と比べ合いになるような場でも決して変わらない。

「今までたくさんオーディションを受けてきた中で、自分を上手にプレゼンできる人を見て、すごいなと思うことももちろんありました。でもそういうときも、その人を羨んだり真似するんじゃなく、『じゃあ僕はどうしようか』って考えるのが、僕のやり方。仕事に取り組むときは、いつだってそう。代わりなんていくらでもいる世界だからこそ、僕ならどうできるかを常に考えてきたし、最終的に『濱田岳と一緒に仕事できて良かったね』と身近な人から言ってもらえることが、一番の幸せなんです」

「ありのままでいい。徒然なるままでいい」

生き馬の目を抜く芸能界で、キラリと光る濱田岳という個性。ただ一方で、そうしたパブリックイメージに縛られ、仕事や役柄が限定されることに抵抗を感じることはないのだろうか。

「そういうイメージを持ってもらえるのは、この仕事をやる上ではありがたいことのみだと思うので、嫌な気分は一切ないです。自分のイメージを変えたいとか突き破りたいというのも全然ないかな」

一般の会社員の仕事に置き換えてみても、周囲の人から「あなたはこういう人だから」と決め付けられてしまうことで、息苦しさを感じることはあるものだ。

濱田岳

「イメージは周りが勝手につけてくれるものだから、それに自分が左右される必要はないと思います。あくまで自分は自分。他人がどんなふうに自分を見ようと気にせず、好きにやればいいと思う。そもそも僕はあんまりオンオフというのも持たない主義なんで、どれが素というのもない。全部ひっくるめて自分は自分。だから、楽でいられるというのもあるかもしれない」

人の目を気にしない。人と比べない。自分のペースでいけばいい。屈託のないその語り口は、悩みがちな私たちをそう勇気づけてくれている気がした。そんな濱田さんは、最後にこんな話をしてくれた。

「僕は小さい頃からブルーハーツが好きなんですけど、昔、甲本ヒロトがどこかで言ってたんですね。『流されていこう、自分の意志で』って。それがまだ少年だった僕の胸に妙に沁みて。無意識に流されるのは良くないかもしれないけど、自分の意志で流されるのはアリなんだと思ったら、何だかすごく元気が出た。ありのままでいいんだ、徒然なるままでいいんだ、というのが僕のモットー。何だかしんどいなと思ったら、時には自分の意志で流されてみることも必要なんじゃないかなと思います」

濱田岳

インタビューを終えた濱田さんは、そのままカメラの前に。フォトグラファーのオーダーに応えて無邪気な笑顔を見せてくれたり、どこにいてもまったく力が入っていない。

この人を見るとつい親しみを覚えてしまうのは、こんな自然体のところにあるのだろう。

ぐっと踏ん張っていた足の力を抜いて、まずはそっと踵を下ろしてみる。そうしたら、ほんの少し目線が下がって、見えなかった足下の景色が見えてくるかもしれない。そこにきっと自分らしい仕事のヒントが転がっている。濱田さんの肩肘張らないまあるい背中が、そんなことを教えてくれた。

濱田岳
取材・文/横川良明 撮影/洞澤佐智子(CROSSOVER)


Amazonオリジナル『日本をゆっくり走ってみたよ~あの娘のために日本一周~』
Amazonプライム・ビデオにて独占配信中
配信開始日:2017年10月20日(金)
毎週金曜日1話更新(全14話)
視聴ページはコチラ

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